2014/09/18 本日の日本経済新聞より 「大機小機 ユーロ圏に迫るデフレ危機」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞14版の19面(マーケット総合2)にある「大機小機 ユーロ圏に迫るデフレ危機」です。





 ユーロ圏経済の回復は錯覚にすぎなかったようだ。今年第1四半期までは、多くのエコノミストが南欧の債務危機も峠を越え、ユーロ圏経済は着実に回復の途上にあると見ていた。しかし第2四半期以降、ユーロ圏経済は一変し再び世界経済の波乱要因となりかねない状況に陥っている。

 ユーロ圏の4~6月期の実質域内総生産(GDP)は前期比ゼロ成長となり、景気の停滞感が一気に強まった。フランスは2四半期連続のゼロ成長、イタリアはマイナス0.2%、盟主ドイツもマイナス0.2%と不況色に染まっている。

 独景況感指数も悪化し年後半の企業投資の減少が懸念される。直近のユーロ圏失業率は11.5%と高水準で、インフレ率は0.3%とデフレへの危険水域まで下がった。

 ウクライナ紛争で対ロシア関係が悪化したことがユーロ圏経済の急転のきっかけになったとの見方がある。冷戦終結後、欧ロは相互依存の経済関係を築いてきており、今回の制裁合戦で欧ロ経済の一部の分野には深刻な影響がでている。

 ただユーロ圏全体ではロシア向け輸出は7%で4番目の輸出相手国であり、GDPに占める比率は極めて小さい。このため、欧ロの関係が正常化されてもユーロ圏経済が直ちに回復に向かうことはないだろう。

 今回のユーロ圏危機の本質的な原因は、成長に不可欠な構造改革を推し進める強い意志と勇気を持った政治指導者が少ないことや、ユーロ圏の金融、財政ルールがあまりにも厳しく、危機に際して各国が機動的な政策をとれないことにある。ユーロ圏経済は今すぐにも大胆な量的緩和を必要としているが、なかなか決断に踏み切れない欧州中央銀行(ECB)の対応はあまりにも鈍い。

 今のユーロ圏は政府・日銀の対応の遅れでデフレに陥り、長期にわたる経済の停滞に苦しんだかつての日本と重なる。このままでは、日本が経験した失われた10年を再現することになろう。

 だがユーロ圏の危機はこれだけでは収まらない。各国でユーロ圏離脱を掲げる政党が勢いを増しており、フランスの最近の世論調査ではユーロ圏離脱を主張する極右政党・国民戦線のルペン党首が圧倒的な支持を得ている。デフレ不況の行方次第では、15年間続いた単一通貨ユーロの瓦解もあり得よう。

(逗子)

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