2014/09/19 本日の日本経済新聞より 「中ロの挑発的行動、世界秩序への脅威」英国際戦略研 14年版「戦略概観」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞14版の6面(国際1)にある 「中ロの挑発的行動、世界秩序への脅威」英国際戦略研 14年版「戦略概観」です。





 世界の安全保障や軍事問題を専門に分析する英国際戦略研究所(IISS)は18日、最新の外交・軍事情勢についてまとめた2014年版「戦略概観」を発表した。ロシアと中国による周辺国に対する挑発的行動が世界秩序への脅威となっていると指摘。米国の安全保障政策がテロ対策に偏り、外交戦略が欠如していたのが両国の影響力拡大を招いたと分析した。

 戦略概観はロシアに強い警戒感を示した。ウクライナ危機を受けて、米国と欧州連合(EU)は経済制裁などによりロシアの国力をそぐ対応を進めてきた。ただ、欧州主要国は国防費の増加になお及び腰だ。「1989年のベルリンの壁崩壊以降の防衛政策の前提が見直しを迫られている」と危機感を表明した。

 欧米各国は9月上旬の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、ロシアをけん制するために、最短2日間で数千人規模の兵力を展開できる即応部隊の創設などを決めた。この動きについては、「欧州の軍事同盟の新しい役割に向けた第一歩になる」と評した。

 ロシアの影響力の拡大を許した背景には、米国の安全保障政策の失敗があると分析する。米国が「テロ対策を重視しすぎ」たことで大国への対応がおろそかになっていたと指摘。「外交政策は軍隊を派遣するかどうかという二択ではない。今年前半に表面化した軍事的衝突の脅威に対しては、より巧妙で幅広い選択肢が求められる」と戦略の見直しを求めた。

 もっとも、米国の影響力の維持はすでに困難になっていることにも踏み込んでいる。米国は年内にアフガニスタンの戦闘部隊を撤退する方針。「2015年

 ロシアと並んで、東アジアで脅威を増す中国にも警戒感を示した。沖縄県の尖閣諸島のほか、ベトナムやフィリピンとも南シナ海における領有権を巡って対立が深まっているためだ。IISSは、習近平国家主席がアジア各国との外交について「一時的な関係悪化は長期的に戦略的な優位を得るための代償とみている」と分析する。

 日本の外交については、首脳の強硬姿勢が緊張を高めていると指摘した。安倍晋三首相の歴史観について、歴史修正主義的な行動が「中国や韓国だけでなく、中国との対立回避を優先する米国との関係も悪化させる」として、日本の孤立を一層強めると懸念した。

 18日にスコットランドで独立の賛否を問う住民投票を実施した英国に関しては、「独立になれば、国家のあり方に疑義が高まることになる」と指摘。15年の総選挙で与党保守党が勝利し、17年に公約に掲げるEUからの離脱を問う国民投票が実現すれば、世界における英国の存在感は一段と揺らぐことになるとみる。

(ロンドン=黄田和宏)

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