2014/09/29 本日の日本経済新聞より 「エコノ フォーカス 円安でも輸出伸びぬ謎 高級車、値下げ困難/家電、競争力低下 世界需要、盛り上がり欠く」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞13版の3面(総合・経済)にある「エコノ フォーカス 円安でも輸出伸びぬ謎 高級車、値下げ困難/家電、競争力低下 世界需要、盛り上がり欠く」です。





 円相場は1ドル=109円近辺と2008年秋のリーマン・ショック前の円安水準に戻った。円安で企業の輸出競争力は高まるが、1~8月の輸出額は約46.9兆円と、リーマン前(07年1~8月)の9割に届かない。円安の追い風でも、なぜ輸出回復の足取りは鈍いのか。背景を探った。

 リーマン後の円高基調が円安に変わったのは12年秋。それから約2年間で円は対ドルで約3割下がった。05年1月~07年6月の前回の円安局面の下落率(約2割)と比べると今回の方が円安ペースは早い。

 円が下がると企業は輸出先で外貨建て価格を下げることができ、輸出数量を伸ばせる。実際、05年4~6月期から08年1~3月期まで物価変動の影響を除いた実質輸出(季節調整値)は前期比プラスが続いた。ところが今年8月の実質輸出は前月比0.2%下がり、四半期でも4~6月期まで2期連続で低下した。

 低迷の原因は大きく2つある。ひとつは輸出を引っ張ってきた自動車や電機産業の構造変化だ。

 自動車各社はリーマン後の超円高を受け生産拠点を海外に移した。影響はてきめんで、13年の自動車の輸出数量は07年と比べ3割弱も減った。この流れは足元まで続いている。今年1~7月期は円安で自動車輸出額は前年同期比5.1%増えたものの、数量は同1.4%減った。

 海外生産に移ったのは主に大衆車で、輸出の主力が高級車に変わったことも数量が伸びにくい一因だ。トヨタ自動車の海外生産比率は08年の約44%から15年は約65%へ高まる見通し。トヨタへの聞き取りから輸出台数に占める高級車レクサスの比率を推計すると07年の15%から14年1~7月は23%に上がった。

 高級車はブランド価値を保つため円安でも現地で値下げを控えることが多い。円安・現地通貨高で輸出企業の収益は増えるが、輸出数量は伸びにくい。8月の日銀統計で、契約通貨で見た輸送用機器の輸出物価は12年12月と比べ1.7%の下落にとどまった。前回の円安のピーク07年6月の輸送用機器の輸出物価が05年1月と比べ2.7%下がったのと比べ小幅だ。

 テレビや携帯電話など電気機器の輸出額は07年から13年までに3割も減った。自動車と異なり、海外生産比率はほとんど変わっていない。日本総合研究所の山田久氏は「日本企業の競争力低下が主因だ」と指摘する。

 電気機器は部品を輸出し、製品を輸入する傾向が強まっている。テレビや携帯電話、パソコンなど「情報通信機械工業」の国内出荷量に対する輸入品比率は14年4~6月期に約50%に達した。09年の約24%から2倍に膨らんだ。携帯電話は13年の輸入超過額が1.6兆円と07年の8倍強だ。

 輸出回復が鈍いもう一つの理由は、世界の需要の盛り上がりが弱いことだ。国際通貨基金(IMF)によると、世界経済の成長率は07年の5.3%に対し、14年は3.4%にとどまる見通しだ。 米国の輸入額は12年から足元までほぼ横ばいだ。シェールガス産出に伴い製造業が米国内に戻り、輸入が増えにくくなったとの見方も一部にある。日本にとって中国と並ぶ輸出先である米国の輸入が伸びなければ、円安でも日本の輸出は増えにくくなる。

 (森本学、杉本耕太郎)

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