2014/09/30 本日の日本経済新聞より 「新人コンサル、徒弟制で鍛錬 ボスコンの育成術 「スライド2000枚」「世にない資料を」」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞14版の33面(キャリアアップ)にある「新人コンサル、徒弟制で鍛錬 ボスコンの育成術 「スライド2000枚」「世にない資料を」」です。





 企業の課題を見分けて改善策を提示する経営コンサルタント。財務や人事、販売戦略など幅広いテーマを手掛けるため、広い知識と高い問題解決力が求められる。新人コンサルタントをどのように育成しているのか。2、3年で独り立ちさせるというボストンコンサルティンググループ(BCG)の育成術を探った。

 「プレゼンテーションに使うスライドの作り方を教えて」――。BCGの若手、繁田健さんは、担当する顧客企業の社員からこう声を掛けられると丁寧にスライド作りのコツを教え始めた。

 繁田さんは入社後の研修で、インストラクター役の先輩社員からスライド作成の特徴はわかりやすさの追求にあると、厳しくたたき込まれた。

 BCGではまず、先輩社員が新人や若手の先生役となり、同社の世界共通のフォーマットを基に指導する。基本形を覚えたら、新人や若手は実際にスライドを書いて、先輩に赤ペンで添削してもらう。情報の盛り込み過ぎで活字だらけになったり、何が言いたいかわからない、データの裏付けがないといったダメな事例に陥らないよう指導を受ける。

 若手は「2千枚書けばBCG流のスライドが身につく」という先輩の言葉を信じながら、赤字がなくなるまで何度も書き直しを繰り返す。

 BCGでは世界で使用された過去のスライド資料をデータベース化しており、優れた“お手本”を検索して参照できるのも特徴だ。スライド作りはコンサルタントに必須のスキルの一つと位置付けているだけに、伸びる若手ほど門外不出のデータベースを活用しているという。

 多角化した企業が経営資源の最適な配分を決めるため、BCGは各事業を「金のなる木」や「負け犬」など4つのカテゴリーに分類する有名なマトリックスを独自に考案。顧客の経営課題の本質をわかりやすく説明するコンサルティング業務で、米国や日本などで実績を残してきた。

 コンサルティングではコミュニケーション能力も重要な資質となる。顧客企業の課題を発見し、優れた処方箋を書くには根気よく顧客の声に耳を傾けることが欠かせないためだ。

 高田優哉さんは入社後のアジア各国の新人が集まる合宿で、印象的な経験をした。テーマは「話し掛けても耳を貸さない顧客にどう聞き入れてもらうか」。会議室に入室すると相手はスマートフォンの画面を触り続けて目を合わせる気配がない。架空の企業の重要なポジションを務めており、コンサルタントに関心がないという設定だ。

 何を聞いても反応がなく、困り果てた高田さんがその場で助言を受けたのは「議論をさせてください」と話しに行くことだった。情報を聞き出そうと話しかけても良い反応は得られず、自らが仮説に基づいて考察を顧客にぶつけることが大事だとわかったという。

 「世の中にない資料を作れ」。柴田偉斗子さんは上司からこう指示され、困惑したという。そのミッションは、ある顧客企業が新製品を投入する際の市場規模を類推することだったが、ニッチ(隙間)商品だったことから参考になるデータが乏しかったのだ。柴田さんはBCGの世界の社員に、海外での類似商品の市場動向などを問い合わせたりして情報収集に努めた。集めたデータを基に仮説を立てて検証を繰り返し、顧客企業が納得する推定値を弾き出した。

 情報収集と分析の先には、経営課題の抽出と解決策の立案がある。その段階では「思考のクリスタライズ(結晶化)が欠かせない」(BCG)と強調する。BCG出身者は「脳が擦り切れるまで考えることで本質が浮かびあがる」といい、例えば「トヨタ生産方式」で有名な「なぜ」を5回繰り返すといった思考方法を実践することが成果につながるとしている。

 多くのスキルを身につけ独り立ちする過程で、若手は先輩から依頼された資料の作成や、そのために必要な情報収集もこなす。その対価として、若手は先輩に対し「フィードバックを下さい」と、与えられた指示をこなせていたかどうか、改善点はどこにあるかといったことを聞く権利を持つ。フィードバックは先輩社員の義務であり、BCGの人材育成術にはこうした「徒弟制度」の仕組みが残っている。

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