2014/12/02 本日の日本経済新聞より 「一目均衡 「ROE10%の壁」を超えろ 編集委員 小平龍四郎」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「一目均衡 「ROE10%の壁」を超えろ」です。





 フィデリティ・ワールドワイド・インベストメントのアジアのファンドマネジャーらが先週、東京に集まった。各国の経済や投資テーマを検討するためだ。最高投資責任者のドミニク・ロッシ氏もロンドンから駆けつけ、150人余りの議論の輪に加わった。

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 「日本はマクロの経済政策もさることながら、個別企業の変化に注目すべき点が多い」。社外取締役の活用や事業の絞り込みによって自己資本利益率(ROE)を向上させた日立製作所などの事例研究を通じてロッシ氏は確信した。

 折しも日本は政治の季節。衆院選に向け消費税や社会保障制度など、経済の枠組みに関する議論におおかたの関心は集まる。しかし、アベノミクスへの期待から2年余りにわたり株高を支える役割を担った外国人投資家の視線は、変身を模索する企業に注がれる。

 資本効率を重視した経営は、日本企業にとって古くからの課題だ。独自の信用格付けで知られた三国事務所の三国陽夫氏は、1981年に日本経済新聞紙上で「自己資本が企業の規模や利益に比べて過大になっている会社もある」(「月曜経済観測」)と指摘している。ROEや資本コストを重視する立場から、当時の公募増資ラッシュに警鐘を鳴らす内容だった。

 今や経営トップがROEを自ら、繰り返し株主に語る。「やっと変わった」(ロッシ氏)。日本を長年見てきた投資家ほど隔世の感を強めている。

 10%の壁――。野村証券シニアストラテジストの西山賢吾氏は最近のリポートでこんな問題を提起した。

 日本企業は70年代にはROEが10%を超えていたが、第2次石油ショック後の81年度にひとケタに落ちた後、ずっと10%を下回っている。リーマン・ショック前の2000年代半ばに8%前後だったのが直近で最も高い水準。中期的に10%の壁を超えるには、配当・自社株買いによる総配分性向を現状の35%から50%へと高めていく必要があると西山氏は試算する。

 もちろん、株主配分を増やすことによって自己資本を減らすという、ROEの分母対策だけが投資家の求めではない。投資を増やして利益成長を追う、分子対策への関心も高い。

 大胆な株主配分で市場の人気を集めたアマダ。最近は株価が一進一退を続け、PBR(株価純資産倍率)は市場平均を下回る。資本政策だけで現状3%のROEを会社が目標とする10%に高めるのは難しい、と有力アナリストは見ている。M&A(合併・買収)など成長戦略に関する次の一手こそ、市場の聞きたいメッセージだ。

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 日経平均株価が史上最高値をつけてから間もなく25年になる。これまでに日本企業は利益成長と株主配分がともに貧弱だった時期を経て、配分重視の姿勢には転じた。さらに今後、成長も配分も高める戦略へと進めるのか。それが安倍相場の3年目に企業が持ち越した課題だ。



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