2014/12/04 本日の日本経済新聞より「点検アベノミクス 識者に聞く(2)」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「点検アベノミクス 識者に聞く(2)」です。





緩和のコストに配慮を 日本総研副理事長 翁百合氏

 ――アベノミクスの金融政策をどう評価する。

 「円安や株価上昇を通じ企業や家計のマインドを転換させた。輸出企業の収益も改善した。ただ円安が進んだ割には輸出が伸びていない。緩和効果は円安による株高が中心という構図が続いている。急速な円安の弊害の指摘も目立ち始めた」

 「日銀は2年程度で2%の物価目標の実現を確実にするとして10月末に追加緩和に踏み切った。しかし短期決戦にこだわる必要があるのかをよく考えるべきだろう。原油安が長引けば2年で2%の物価目標の達成は難しくなる。その場合、追加緩和がさらに必要になり、国債市場のメカニズムがゆがんだり、財政規律が緩んだりする懸念もある」

 ――政府・日銀の課題は。

 「金融緩和はリスクやコストも伴う。金利の急上昇や財政危機を避けるには、金融緩和の『出口』までに、政府が財政健全化の道筋をしっかり描く必要がある」

 「すでに過去最大規模の日銀のバランスシートは今後の追加緩和でさらに拡大する可能性がある。『出口』で金利が大幅上昇すれば日銀の財務が悪化し中長期にわたり政府が日銀から受け取る納付金が減る事態も考えられる。その分は国民負担にもつながる。金融緩和の潜在的コストをどう考えるのか、議論を深めるべきだ」

 「賃金上昇が持続的に物価上昇を上回らなければ、経済の健全な発展につながらない。成長戦略を実現し、生産性の向上に基づく賃金上昇を実現することが問われる」

 日銀出身のエコノミスト。京都大博士(経済学)。専門は金融論。

脱デフレの好循環生む メリルリンチ日本証券チーフエコノミスト 吉川雅幸氏

 ――日銀の金融緩和の評価は。

 「物価目標の2%には達していないがデフレからはほぼ脱することができた。日銀は2%の物価上昇に向け強い決意を示すとともに欧米に負けない強力な緩和を進め、異常な円高を一気に是正した。人々の間で物価は上昇するという考えも広がり始めている」

 「円安で製造業の収益が急回復し、脱デフレで中小の非製造業も利益が改善した。金利水準が物価上昇率を下回ったことで企業の設備投資意欲も高まっている。経済の動きは企業が起点となることが多い。金融緩和をきっかけに経済の好循環が生まれつつあり、潜在成長率が下げ止まる可能性が出てきた」

 ――足元の景気はもたついている。

 「想定外だったのは輸出の回復が鈍かったことだ。企業が生産拠点を海外に移し、海外景気の回復に比べ輸出が伸びづらくなった。消費増税後の個人の消費意欲の回復が少し遅れた」

 「それでも名目成長率は2012年度のマイナス0.2%から14年度は1.5%に上がる見込みだ。失業率も下がっており、景気は基調として回復している。政府は景気に配慮して消費増税を先送りしたが、仮に増税しても景気は腰折れしていなかっただろう」

 「今後は企業の利益が賃金へと回っていくかが鍵になる。来年の春闘でもしっかりとした賃上げが実現すれば消費意欲を高めるだろう。物価上昇率は目先は1%を下回る状況が続くが、円安や賃上げの効果で16年には2%が視野に入ってくる」

 野村総合研究所などを経て現職。国内外の景気や国際資本移動の分析に強み。

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