2014/12/06 本日の日本経済新聞より「中国・パキスタン経済回廊 3000キロ、30年完成 輸送網や発電設備」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「中国・パキスタン経済回廊 3000キロ、30年完成 輸送網や発電設備」です。





 【イスラマバード=岩城聡】中国、パキスタン両政府が「中パ経済回廊」の構想を進めている。中国の北西部からパキスタンの南西部グワダル港に抜けるルートで運輸や電力のインフラを整備し、5兆円を超す総工費を見込む。中国側はインドに対抗する意思を共有するパキスタンに急接近し、中東への影響力の拡大も視野に入れている。

 「経済回廊は中国とパキスタン両国の経済協力を促す『触媒』となる」。パキスタンのシャリフ首相は11月に北京を訪れて習近平国家主席と会談し、関係強化に期待感を表明した。両首脳はインフラ整備に関連した約20の覚書に調印した。

 パキスタンの計画・開発・改革省高官は日本経済新聞に事業の概要を明らかにした。経済回廊を整備する距離はグワダルから中国新疆ウイグル自治区カシュガルまでの約3千キロに及ぶ。総工費は450億ドル(約5兆3千億円)で、2030年の完成を計画する。

 第1段階として17年までにアラビア海沿岸のグワダル港の開発や国際空港を建設し、中国企業の参加を想定する。中国に向かうカラコルムハイウエーの拡幅や、南部カラチ―東部ラホール―北部ペシャワル間の鉄道網の改良も進める。中パ間を光ファイバーケーブルで結ぶ計画もある。

 パキスタンにとってはエネルギー不足の解消が最大の魅力だ。中国は回廊沿いに340億ドルを投じ、石炭火力や太陽光・風力など発電施設を次々と整備する方針だ。慢性的な電力不足は製造業を中心に外国企業の進出を妨げてきた。職もなく政府に不満を持つ若者らはイスラム過激派へと引き込まれ、治安悪化にもつながってきた。

 中国にとっては念願の「中東への玄関口」を確保する狙いがあり、グワダル港に原油貯蔵施設や製油所を建設し、ウイグル自治区まで道路やパイプラインで運ぶ考えだ。有事の際に米国やインドによって封鎖される可能性があるマラッカ海峡を通らずに、中国の内陸部までエネルギーや物資を輸送できる体制が整う。分離独立運動がくすぶる西部地域の開発にもつなげる。ウイグル自治区とパキスタンはともにイスラム教徒が多い。

 パキスタンのシンクタンクで南アジア情勢が専門のサバリー・ミトラ氏は「共にインドが交戦国だった中パは互いに『敵の敵は味方』として今後も経済と軍事を含む長期的なパートナーとなる。回廊は中国の南アジアへの関与を深める口実にもなる」と解説する。

 インドが中パと領有権を争っているカシミール地方を回廊は通過する。グワダル港に将来、中国海軍の艦艇が派遣される可能性もインド側を刺激しそうだ。

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 パキスタン政府は回廊に絡む事業について中国が主導して来年設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の融資案件になると期待している。計画・開発・改革省高官は「日本からの政府開発援助(ODA)にも期待したが、インドの支援に傾斜して、我々を見ようとしない。我々には中国と組む選択肢しかない」と語った。

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