2014/12/08 本日の日本経済新聞より「経営の視点 アベノミクスと企業格差 規制改革で起業の機会を」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「アベノミクスと企業格差 規制改革で起業の機会を」です。





 14日投開票の衆院選は折り返し点に差し掛かった。争点とされるアベノミクスの評価は企業経営者にとっても悩ましい。円安で潤う輸出企業があれば、原材料高に苦しむ内需企業がある。大企業は法人税減税を歓迎するが、中小企業は優遇税制撤廃を警戒する。アベノミクスに企業間格差を助長する側面があることが浮き彫りになってきた。

 公示日から一夜明けた3日、経団連の榊原定征会長は高松市で開いた四国経済連合会との懇談会後に2015年春闘について記者団にベースアップ(ベア)も「1つの選択肢」と述べ、2年連続でベアを容認する姿勢を示した。

 デフレ脱却を掲げる安倍晋三首相は連合の古賀伸明会長も顔負けするほど賃上げに精力的。11月19日の政労使会議で「円安のメリットを受ける輸出企業に賃金支給総額の増額や設備投資をお願いしたい」と大手製造業に要望する一方、サービス業や中小企業に「賃金引き上げの環境をつくるチャンスだ」と力説した。

 この政労使会議には榊原氏も出席し、会合後に「来年春の賃上げは必要と認識している」と記者団にコメントした。それから半月後さらに踏み込んで「ベア」に言及したのは、選挙戦突入後の政権与党への援護射撃の意味合いがあったのだろう。だが、企業経営の根幹をなす賃金問題で政府が介入の度合いを深めることに対する反発は根強い。

 「(現政権は)大企業向けの政策ばかり。中小企業は円安による原材料高騰で厳しい経営を強いられている」。愛知中小企業家同友会(名古屋市)の杉浦三代枝会長(スギ製菓会長)は11月26日に記者会見を開き、衆院選に向け中小企業支援を各政党に訴えた。

 杉浦氏が強調したのは法人実効税率引き下げの代替財源として浮上している外形標準課税強化に対する危機感。赤字でも資本金や従業員の給与総額などに応じ税負担を求める外形標準課税の対象は資本金1億円超の「大企業」だったが、1億円以下の「中小企業」に拡大すべきだとの議論が政府や経済界の一部にある。

 安倍首相は10月2日の参院本会議で外形標準課税について「中小企業、小規模事業者に配慮する」と慎重な姿勢を示した。だが、大企業が潤い、恩恵が中小企業に及ぶ「トリクルダウン(浸透)」を唱えるアベノミクスに中小企業経営者らの不安は消えない。

 中小企業の「賃上げの環境をつくる」なら経営者に圧力をかけるより、既得権益者に富を偏在させる規制の改革が政府の役割のはず。世界銀行が毎年公表する規制や税制など企業を取り巻く事業環境(会社運営や起業のしやすさの比較)の国・地域別ランキングがある。10月発表の2015年版で日本は29位と前年から2つ順位を落とした。

 成長戦略が遅れているのは大胆な規制改革に踏み込まないからだ。選挙後の政権は岩盤規制に穴をあけなければならない。オールドエコノミーの既得権者を優遇するばかりでは日本にグーグルやアマゾンは生まれない。構造改革で起業のチャンスが増えれば、それを生かすのは企業の役割だ。経済再生と格差是正には官民双方の努力が要る。

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