2014/12/10 本日の日本経済新聞より「点検アベノミクス 識者に聞く(5) 経済政策 課題は」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「点検アベノミクス 識者に聞く(5) 経済政策 課題は」です。

内部留保に課税という発想は面白いが、人手不足や投資環境の課題を解決しなければならない点は留意が必要と思われる。

中小企業、保護から転換を 経営共創基盤最高経営責任者 冨山和彦氏

 ――安倍政権の成長戦略をどう評価するか。

 「アベノミクスの第3の矢は、企業統治の強化や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革などで成果が出ている。円安や資産価格の上昇もあり、グローバル企業やその従業員、金融資産を保有している層に恩恵が広がっている」

 ――地方経済には恩恵が及んでいないのでは?

 「第1幕はグローバル経済圏に働きかけるもので、ローカル経済圏が潤わないのは想定の範囲内だ。地方経済を支えているのはサービス産業。グローバル企業とは産業の連関が断ち切られており、中小企業にも恩恵が及びにくい。むしろ円安がコストを押し上げ、しわ寄せが大きくなる」

 ――日本経済全体を底上げするには何が必要か。

 「第2幕はローカル企業をいかに押し上げていくかが焦点だ。現在の中小企業政策は弱者保護型。生産性が低くても雇用を維持してくれればよいというデフレの発想に基づいた政策だ。人手不足が進んでいるのだから、いかに労働生産性を高めていくかという視点で政策の歯車を回すべきだ

 ――具体的には?

 「労働基準の監督はむしろ厳しくし、最低賃金を引き上げ、生産性の低い企業には退出してもらうことが地方の成長につながる。産業の新陳代謝が進むように支援金を出してもよいから転業や廃業を促すべきだ

 「人件費を削って生き残りを図るような経営でよいのか。必要なのは高い人件費を払える生産性の高い企業だ。優秀な経営者が足りないのなら東京の人材を地方に移す仕組みが必要だ

 産業再生機構で活躍した企業再生のプロ。明快な語り口で政官界での人気も高い。

高い成長率、前提にするな 立命館大教授 高橋伸彰氏

 ――政権は今がデフレ脱却の好機と訴えています。

 「政権に近い学者は、金融緩和でたくさんお金を供給すればデフレを抜け出せると説く。だがモノやサービスの需要を増やさなければデフレから脱却できない。需要を増やすには賃金の大幅な引き上げが必要だ」

 ――どうやって賃金を上げますか。

 「企業の利益が賃金に回る道筋をつくる。一定額を超える内部留保の積み増しや株主への還元に課税すれば、企業が従業員に分配するようになるだろう

 ――高い成長が続けば自然に賃金は増えませんか。

 「経済政策は高い成長を前提にしてはいけない。日本の潜在成長率は0%台だ。今のように実質2%といった高い成長率を目標に掲げると、財政出動に頼らざるを得ず、赤字が膨らむ」

 ――成長しなければ、税収や社会保険料が増えず、制度が行き詰まります。

 「高い経済成長をあてにして、国民の負担増を先送りしてきたことの方が問題だ。所得税の最高税率の引き上げや企業向けの税優遇の見直しで財源を財政赤字解消や社会保障に回すべきだ。消費増税も必要だ」

 ――成長なしに増税すれば消費が減ります。

 「むしろそうした負担増で財政や社会保障への信頼が高まれば、国民の将来不安が和らぐ。もっとお金を使うようになるだろう」

 ――ゼロ成長なら暮らしも豊かになりません。

 「それは違う。成長率がゼロでも技術は必ず進化する。同じお金でより良い商品やサービスが買えれば、暮らしはより良くなる」

 日本経済研究センターなどを経て現職。成長より働く人への分配を重視する。

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