2014/12/13 本日の日本経済新聞より「大機小機 国際版「3本の矢」」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「国際版「3本の矢」」です。





 2008年のリーマン・ショックから6年間、世界景気の減速が続いた。だが、2015年は国際版「3本の矢」で先進国主導の景気拡大が始まる年になるだろう。

 第1の矢は原油価格の下落だ。今世紀初頭に1バレル25ドル前後だった原油価格は、乱高下を繰り返しつつ4倍の100ドル前後まで上昇した。同様に国際商品価格指数も約2.5倍になった。

 この結果、1次産品の生産国を中心に新興国が豊かになり先進国が疲弊した。だがシェールオイルの生産拡大で石油輸出国機構(OPEC)が価格支配力を失う。11月の減産見送りで原油価格は1バレル60ドルを割り込んだ。

 似た経験が30年前にある。北海油田などの生産が増えてOPECの世界シェアが5割を切りカルテルが崩壊した時に、原油は35ドルから10ドル台に急落した。同時に交易条件が改善した先進国主導の景気拡大が始まった。今回も原油下落で先進国が息を吹き返しつつある。

 第2の矢は日欧の金融緩和だ。米国の量的緩和の終了で世界経済に与える打撃が懸念されているが、日銀の追加緩和に続き、欧州中央銀行(ECB)も量的緩和に踏み切ると見られている。

 日銀による80兆円のマネタリーベース拡大に加え、ECBが期待通りに1兆ユーロ拡大すれば合計で約2兆ドルだ。米国の量的金融緩和第3弾(QE3)で供給した約1.6兆ドルを上回る。日欧の金融緩和で世界景気の下振れを回避できそうだ。

 第3の矢は国内総生産(GDP)の2兆ドル増加を目指す20カ国・地域(G20)の成長戦略だ。世界の需給ギャップを解消し、インフラ中心に世界経済の成長基盤を構築する計画だ。国際版3本の矢で世界景気の回復が始まろうとしている。

 日本は急激に円安が進み原油下落の恩恵に十分浴していない。だが、足元で輸出は増加に転じて貿易赤字が縮小した。旅行収支などの改善で季節調整済みのサービス収支は黒字に浮上、第1次所得収支が拡大して経常黒字も急増し始めた。

 こうした国際収支の大きな変化を見落としてはなるまい。投機的な円安が一巡すれば、原油下落の効果で景気が浮上するはずだ。消費増税の延期で景気の腰折れ懸念もなくなった。来年は先進国経済の回復とともに、日本がデフレから脱出して景気拡大が始まる年になりそうだ。

(富民)

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