2014/12/14 本日の日本経済新聞より「革新力 The Company 製造業ネクスト(5) 不満10円で買います 設計図はあなたの心」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「革新力 The Company 製造業ネクスト(5) 不満10円で買います 設計図はあなたの心」です。

ビジネスモデルとして非常に面白い。

 「殺虫剤の外装の絵がリアルで気持ち悪い」「カメラを買っても次々に新製品が出て値打ちが下がる」。そんな不満の声を消費者から1件10円で買い取る会社が東京都新宿区にある。2012年創業、その名も「不満買取センター」だ。

イオンは世界の気候を再現し傘の品質をチェック

 学生や会社員など5千人を会員組織化し本音をすくい取る。その数、月2万件。集めた不満は1件5円で大手メーカーに売る。新商品のヒントを求める企業は数千件単位でまとめ買いする。「消費者がふだん感じている不満こそ宝の山」。不満買取センター社長、森田晋平(39)は話す。

 これまで300社に不満を販売し、ヒット商品も出始めた。例えば子育てママの安心自転車は、子供が座る位置を低くして転倒時の衝撃を減らした。不満を反面教師にした企画があちこちのメーカーで進む。

 民族学者の梅棹忠夫は著書「情報の文明学」で大量生産、販売、消費が広がった20世紀を「粗雑工業の時代」と呼んだ。人間の要求はそれぞれ異なり使い方も違うのに画一的なものを生み、放り出しているとした。緻密な製造業への突破口が「情報化」だ。消費者とじかに向き合う現場に多くのヒントが潜む。

 毎月2千万人が買い物する100円ショップ大手のセリアは、全国1200店の販売データをフル活用する。商品の人気度を数値化して40社強の提携メーカーに伝える。機敏に商品を開発してもらうためだ。

 例えば部屋を飾るウオールステッカーは当初わずか数種類。人気度が高いとみたセリアはメーカーに働きかけ20種類にした。詳細なデータがあればメーカーは生産を緻密に予測できコストも低減できる。メーカーとの共生がわずか1個100円の商品から約1割の営業利益率を引き出す。

 JR海浜幕張駅(千葉市)近くのビルの一室で白衣の研究員が人工雨のなか傘の性能を確かめていた。イオンの「生活品質科学研究所中央研究所」では世界各地の気候を再現できる。気温は零下30度~セ氏50度、湿度は40~95%。世界で売る衣料品などの耐久性や快適さを日々探求する。

 同社のプライベートブランド(PB=自主企画)は6千品目。メーカー顔負けの施設で商品を知り尽くしてこそ知恵が出る。そんな思いがイオンを駆り立てる。

 米デルがパソコン最大手に躍り出る原動力になった受注生産・無店舗販売。米GAPなどが確立した、アパレルが製造まで担うSPA(製造小売業)……。小売りと製造が大胆に融合したとき革新は起こる。

 100年を超すメガネ産業の歴史を持つ福井県鯖江市。中国製の台頭などで生産が落ち込むなか東京・品川のベンチャーが11月、鯖江市にオフィスを開いた。世界400ブランド、2万種類以上のメガネをネットで売るオーマイグラスだ。

 「市場を見ずに思いつきで商品をつくっていてはせっかくの技術が生きない」。創業者の清川忠康(32)は鯖江の職人技と消費者をつなぐ事業モデルの構築に挑む。「製造業こそ日本の競争力。可能性を最大限引き出したい」。ものづくり大国を鍛え直し、次の100年も輝かせる余地はまだあるはずだ。

(敬称略)

=この項おわり

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