2014/12/16 本日の日本経済新聞より「西岡常一ら著「木のいのち木のこころ」(2) 百工あれば百念あり多様な才能、まとめるのが棟梁」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「西岡常一ら著「木のいのち木のこころ」(2) 百工あれば百念あり多様な才能、まとめるのが棟梁」です。





 法隆寺に代表される飛鳥建築の時代、山に入って木を選ぶことは宮大工の棟梁(とうりょう)の大事な仕事でした。

 「木を買わず山を買え」。法隆寺の棟梁家に伝わる口伝の一つです。「木は生育の方位のままに使え」と続きます。山の南斜面でたくさんの日を浴びて育った木は建物の南側で使うと力を発揮し、北斜面で積雪に耐えて育った木は北側で使うとよいといいます。

 棟梁は山に入り、様々な木を見ながら、これはこういう木だからあそこに使おう、これは右にねじれているから左ねじれのあの木と組み合わせようという具合に選びます。要は適材適所。万能の木はありません。

 選んだ大木を運ぶだけでも一苦労でしたが、加工も大変です。縦引きのノコギリがなく、楔(くさび)を打ち込んで木を割り、一つ一つ柱や板を作っていました。西岡氏によれば、法隆寺の部材には一つとして同じものはないそうです。不ぞろいの部材でできていながら、全体として調和が取れているのです。

 癖と個性のある木を加工し不ぞろいの部材を現場で組み立てるのは、これまた癖ある職人たちです。ここがまた棟梁の腕の見せどころ。口伝は続きます。

 「百工あれば百念あり、これを一つに統(す)ぶる。これ匠長(しょうちょう)の器量なり」。それに続くのが西岡氏がお気に入りの口伝です。「百論をひとつに止めるの器量なき者は謹み恐れて匠長の座を去れ」。多くの職人をまとめられなかったら、棟梁の資格はない、自分から辞めなさいというのです。木と職人の癖や個性という「多様性」を生かし、まとめることが棟梁の最大の役目なのです。

 日本の社会は同質性が高いと言われますが、「木」を扱う文化の中枢で「多様性」を前提とした思想が育まれてきたことには感銘を覚えます。組織の上に立つ者として、その重要性を改めて考えさせられます。

(ケーススタディーなど全文を「日経Bizアカデミー」に掲載)

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