2014/12/20 本日の日本経済新聞より「日銀総裁「原油安が物価押し下げ」 2%目標、来年正念場」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「日銀総裁「原油安が物価押し下げ」 2%目標、来年正念場」です。

ここにきて想定外の物価下落要因が出てきたことにより、日銀の姿勢がどのように変化するのか、注目されています。





 日銀の黒田東彦総裁は19日、金融政策決定会合後の記者会見で原油急落について「短期的には物価を押し下げる」と懸念を示した。ガソリンなどの価格下落は、2015年度に物価上昇率2%の達成を目指す日銀にとっては逆風となる。市場には追加金融緩和の観測も浮かぶものの、行き過ぎた円安など副作用の懸念もあり、難しい金融政策運営を迫られる。

 「来年前半は(原油安で)物価上昇率が加速していくとは考えにくい」

 19日の記者会見は原油急落の影響についての質疑が半分弱を占めた。日銀は10月末に電撃的な追加緩和に踏み切ったがその理由が「原油安による予想物価の下振れ」だったためだ。足元では10月末時点より原油価格が3割も下がっており、市場の関心はもう一段の緩和に早くも移っている。

 実際、物価上昇率は当面は目標の2%を大きく下回りそうだ。黒田総裁は就任直後の13年4月に「今後2年程度で物価上昇率を2%に高める」と宣言しており、15年度はいよいよその実現が求められる。にもかかわらず急激な原油安で物価は伸び悩み、野村証券の松沢中氏は「来年前半にマイナスに転落する可能性も否めない」と指摘する。

 「原油安は経済活動には好影響で、やや長い目でみれば物価押し上げ要因になる」

 普段は歯切れの良い発言で知られる黒田総裁だが、原油相場の影響についての答弁はかなり長くなった。原油価格が下がればガソリンや灯油の値段も下がって「石油をほとんど100%輸入する日本には経済を押し上げる効果を強く持つ」(黒田総裁)。個人消費や企業投資といった景気のプラス効果は「早く出てくる」とも強調した。

 黒田総裁が10月末の緩和決定時と異なり、原油安の景気押し上げ効果を繰り返し指摘したのは、「過度な緩和期待をいさめる狙い」と市場は受け止める。総裁は2%の物価上昇率目標が達成できないとみれば「ちゅうちょなく追加緩和する」と繰り返しており、市場には「原油安による物価低迷で、来年1月に追加緩和に迫られる可能性も出てきた」(SMBC日興証券の牧野潤一氏)との観測まで浮かんでいた。

 日銀の金融緩和で原油安を反転させるのは難しいうえ、政府や産業界には緩和によって過度な円安を招くことへの不安もある。黒田総裁は10月の追加緩和時に「戦力の逐次投入を行わない」と強調しており、19日も「15年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」と述べて、過剰な追加緩和観測をやんわりけん制した。

 「物価2%の達成には、やはり賃金が持続的に上昇していくことが必要不可欠だ」

 黒田総裁はデフレ脱却に向けて来年の春季労使交渉に強く期待する。賃上げが進めばサービス価格の上昇を通じて物価を押し上げるだけでなく、個人消費自体も底堅さを保てる。原油価格のような外的要因ではなく、個人消費が増えて生産拡大や賃上げにつながる好循環によって物価上昇を目指す考えを示した。

 1ドル=120円前後まで進んだ円安については「安定的に推移することが望ましい」と述べた。「輸出の増加といったプラス効果の一方で、輸入コストの上昇で中小企業の収益や家計の所得に押し下げ圧力となる」とも指摘。10月末の追加緩和によって外国為替市場で円売りが急速に進んだが、負の側面を指摘することで行き過ぎた円安には警戒感をにじませた。

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