2014/12/21 本日の日本経済新聞より「展望2015(1) 人口減、「民」に潜在力 国際協力銀・渡辺総裁」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「展望2015(1) 人口減、「民」に潜在力 国際協力銀・渡辺総裁」です。





 冷戦終結から四半世紀を経た世界。政治経済とも不安定さを抱える中で日本はアベノミクスが正念場を迎える。2014年の総括と15年の展望を内外の識者に聞いた。

 「欧州の回復が予想以上に遅れており、世界経済全体の底打ちは来年後半だろう。財政政策に頼れないなか『金融緩和』を各国が進め資産価格が上昇したが、その富が経済全体にうまく回っていかない」

 ――日本にどう影響するのでしょうか。

 「原油安の追い風が加わり、来年は希望が持てる年だ。年明けから消費や設備投資へのプラス効果がはっきりと見えてくるだろう。15年は実質1%前後の経済成長が見込めるのではないか。低すぎると思う人もいるだろうが、労働力が減っていく成熟した社会では悪くない姿だ」

 ――原油安は日銀にとってジレンマです。

 「2%の物価上昇率目標との関係に限れば、原油安は日銀にとって逆風になる。外的条件の大きな変化ということなのだから、その要因は差し引いて考えればよい話だ。原油安の影響を除いて1%台強の上昇率が達成できていれば成功の部類ではないか」

 ――円安は行きすぎではありませんか。

 「確かに1ドル=120円前後というのはちょっと下げすぎかな、と思う。来年後半から再来年にかけ米国が本当に金融引き締めに入った場合には、ドル高の進行は自然な姿だと思うが、そこを少し先取りしすぎて市場が反応した面がある」

 ――消費再増税を延期し、財政再建への道筋も課題です。

 「1年半という延期の期限を決めたので、国債の格下げも1段階で済んだ。来年夏につくる新しい財政健全化計画では、『事実』に基づいて示すべきだ。甘い成長見通しではなく、確実な前提を置きこのままだとこのくらい財源が足りない、という部分をしっかり確定する。そのうえで歳出を削るか、増税するかだ」

 「2020年度に基礎的財政収支を黒字化する目標の達成が難しくても、まずは現実を直視した成長や財政の見取り図を出すことだ。そもそも前提が甘いという思いが国民や金融市場にあると政策の議論など進みようがない。団塊の世代の貯蓄取り崩しが想定より遅いといわれているが、先行きに確信がもてないことも影響している」

 ――日本は超高齢化や人口減など課題先進国なのに、解決策は後進国のようです。

 「日本の高齢者は資産を持っている。しっかりした高齢化社会をつくるパイオニアになりうるが、実際になれるかは政策の選択にかかってくる」

 「社会保障でいえば、選択と集中だ。誰がお金を出すのかについて腹をくくるべきだ。税金などの公的な負担に限界があるなら、民間のお金を使うしかない。医療では一部の例外を除いて自己負担を高め、所得が少ない人には後で還付する仕組みにする。しっかりした収入を得ている高齢者には公的年金の支給を減らすだけでなく停止し、より高齢な無収入の人に回すことを考えてもいい」

 ――産業としての育成も重要です。

 「監視の仕組みを整えたうえで、規制緩和による企業参入をもっと促すことだ。まずは介護分野だろう。経営力と資本力のある企業が参入し小規模零細の現状を改めれば生産性が上がる。介護の現場で働く人の所得を高めることにもつながる。農業と観光は日本経済をけん引する主要産業になる潜在力がある。来年はその育成も重要な論点になる」

渡辺 博史氏(わたなべ・ひろし) 通貨外交を担う財務官を2004年から3年間務めた。13年12月から現職。65歳。

(聞き手は編集委員 大塚節雄)

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