2014/12/24 本日の日本経済新聞より「冷戦終結25年 識者に聞く 米政治学者ブレマー氏 米に失望「Gゼロ」生む 新秩序見えるまで10年も」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「米政治学者ブレマー氏 米に失望「Gゼロ」生む 新秩序見えるまで10年も」です。

世界覇権についての論評で名高い識者ブレマー氏によると、中国は多くの面で米国に及ばず、経済規模だけが突出した超大国に留まるとの見解です。





 冷戦後の新たな国際秩序を見いだせないまま迷走する世界。これを「Gゼロ」と命名したのが、米政治学者のイアン・ブレマー氏(45)だ。冷戦体制がGゼロへと至った力学、「ポストGゼロ」への道のりを聞いた。

 ――冷戦で勝利したはずの資本主義、民主主義が色あせました。

 「米国の政治や経済に人々が失望し、米国は自らを手本に世界を率いる力を失った。理由はイラクやアフガニスタンでの戦争、2008年の金融危機、国内の経済格差の拡大、米国家安全保障局(NSA)によるスパイ活動の暴露などさまざまだ。異なる政治経済モデルで急発展した中国の存在も無視できない」

 ――指導者不在の国際秩序を「Gゼロ」と命名して4年になります。

 「Gゼロの傾向は一段と強まった。まず米国の姿勢。最近でも化学兵器の使用をめぐる対シリア制裁、防空識別圏を設けた中国への当初の対応が米国の対外関与の覚悟に疑問を投げかけた」

 「一方、欧州などの同盟国も国内政策への対応で手いっぱい。中国など新興国も大きな役割を担う気はない。Gゼロはまだ序の口といえる」

 ――冷戦期より世界は不安定にみえます。

 「冷戦期はキューバ危機など核戦争の危険をはらみながらも総じて安定していた。Gゼロの世界は違う。大国間の戦争はなくても戦闘は頻発し、難民も増える。過激派や無法国家が活動する余地も広がった」

 ――こうした状態はいつまで続くのでしょう。

 「Gゼロは何十年も続かないが、次の秩序が見えるまで5年、10年はかかる。次への移行には2つのシナリオがある。1つは米国が中国などの意向をくんだ新たなルールや機構を受け入れるシナリオ。パワーバランスの転換を反映して体制が少しずつ進化する展開だ」

 「もう1つは国際社会が手に負えない大きな危機に直面し、その中で新秩序が生まれるシナリオだ。きっかけは中東やアジア地域の紛争かもしれないし、想像を絶する大災害やエボラウイルスのような病原菌の拡散、制御不能のサイバー戦争の可能性もある」

 ――米ロの新冷戦という言葉も耳にしますが。

 「間違いだ。まずロシアにそんな力はない。第2に欧州が本気で米国を支持しない。第3に米国も本音ではロシアと争いたくない。それに万一の時は中国がロシアをなだめるはず。今後も中国は何もしなくても影響力が増す。ロシアがあまり船を揺さぶって混乱させるのは望まないだろう」

 ――米中の冷戦の可能性はありますか。

 「長期ではそのほうが心配だ。5年後、10年後のポストGゼロの世界で米中が2つの陣営に分かれる可能性は十分ある。ただ中国は外交力、技術力、資源、ソフトパワーなど多くの面で米国には及ばない。超大国となっても経済規模だけが突出した超大国にとどまる」

=インタビュー詳細を電子版に▼Web刊→紙面連動

 イアン・ブレマー氏 米スタンフォード大で博士号(旧ソ連研究)。1998年に世界の政治リスクを分析する調査会社ユーラシア・グループ設立。「『Gゼロ』後の世界」で主導国のない時代を、「自由市場の終焉」で資本主義と国家資本主義の相克を論じた。45歳。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です