2014/12/26 本日の日本経済新聞より「成長戦略を問う(1)日本、「実力」底上げの時 人口減、生産性で克服」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「成長戦略を問う(1)日本、「実力」底上げの時 人口減、生産性で克服」です。

日本社会、全体のためという大義により政治や行政が作った数々の規制、これがグローバル競争の中で日本人の首を絞めています。潜在成長力が1%を切る伸びしろが期待しにくい中で、求められているのは大胆な変化です。日本の生産性が世界で20位台後半に低迷し、生産人口も減少する今、生産性の改善は成長への足掛かりとだ、こう言い切って間違いないと思われます。

全体のバランスを考えながら規制を緩和する、政府や行政が故にこういうアプローチにとらわれがちですが、これは結果として勝ち組にも負け組にもためにならない緩和となる恐れがあります。

難しい舵取りとなりますが、緩和によって恩恵を受けるターゲットを明確にし、ビジョンを明らかにし、反対を恐れずに進めてほしいと考えます。

 3年目に入ったアベノミクス。日本再生の本丸であるはずの第3の矢、成長戦略が本格始動せず、日本経済の実力である「潜在成長力」を底上げする道筋はみえないままだ。総選挙で盤石の政権基盤を得た安倍晋三首相に、あえてもう一度、成長戦略の意義を問う。

生産性向上のカギはイノベーション。青色LEDはその代表格だ

経済縮小連鎖も

 衆院の解散風が吹き荒れていた11月14日。安倍政権への「信任」を先取りした市場が円安・株高に沸く陰で、政府の「選択する未来」委員会に出された作業部会の報告書に、ひっそりとこんなことが書かれていた。

 「現状を放置すれば、いずれ経済成長の維持も困難となり、経済規模の縮小が加速する『縮小スパイラル』に陥る」

 2040年代から年0.1%程度のマイナス成長となり、60年まで続く。荒唐無稽と言い切れるか。内閣府や日銀の推計では、すでに日本の潜在成長率は0.5~0.6%まで低下している。

 政府は人口減を食い止めようと、1億人維持を掲げるが、成果を上げるのは簡単ではない。

 道はある。東京大学の吉川洋教授は「人口減を過度に悲観する必要はない」と唱える。労働力や資本を効率よく活用することにより、人口減を上回る勢いで生産性を伸ばせるかがカギを握る。

 起爆剤はイノベーション(革新)だ。代表格が今年ノーベル賞を受賞した青色発光ダイオード(LED)。消費電力が少なく長持ちするLED照明の世界市場は20年に13年比3.8倍の6.8兆円になる予測もある。

 難しい技術開発に限った話ではない。例えば、大人用の紙おむつ。乱暴に言えば子ども用を大きくしたものだが、高齢化で市場を切り開いた。ユニ・チャームでは12年度に売上高が子ども用を逆転した。新しい需要と結びつけるアイデアがあれば生産性を高められる。

柔軟な発想必要

 働き手を増やそうと、女性や高齢者、外国人労働者の活用も叫ばれる。だが「単に頭数をそろえようというだけの話ではない」(スタンフォード大学の星岳雄教授)。

 様々な人々が集まれば柔軟な発想が生まれ、生産性も向上する。日産自動車は新型「ノート」の企画責任者に専業主婦だった女性を起用。チャイルドシートに子供を乗せやすくした使い勝手の良さで、ヒットとなった。

 アベノミクスは本来、第1の矢の金融緩和と第2の矢の財政出動で時間を稼ぐうちに、第3の矢の成長戦略で、低成長の壁を突破する政策のはずだった。だが第3の矢がいっこうに飛ばない。

 円安で潤った輸出企業も攻めの設備投資には、なかなか踏み切れない。民間の創意工夫を引き出すために、政府は何をすべきか。大胆な法人減税で企業の投資意欲を刺激する。民間の自由な行動を妨げる規制を取り払う。柔軟な労働市場を整え、企業の新陳代謝を促す。魔法のつえはない。

 消費増税後に2四半期連続のマイナス成長になったのも、そもそも「経済の実力が低くプラスとマイナスが紙一重」(内閣府OB)だからだ。愚直に成長の底上げ策を進める覚悟が問われる。

(編集委員 大塚節雄)

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