2014/12/27 本日の日本経済新聞より「原油安ショック 中東産油国の財政悪化 サウジが歳入減で赤字、海外投資に逆風も」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「原油安ショック 中東産油国の財政悪化 サウジが歳入減で赤字、海外投資に逆風も」です。

サウジアラビアの原油覇権に対するこだわりが明確になっている記事であり、行く末が見えるかのような記事です。特に、1バレル20ドルでも減産しないという姿勢は、強烈に映ります。

 【ドバイ=久門武史】原油価格の急落で、中東の産油国の財政が悪化している。サウジアラビアの2015年予算は約4.6兆円の財政赤字を見込み、イランやイラクは想定していた原油価格を大幅に下げて緊縮予算を組んだ。まだ余裕のあるサウジと、他の産油国の表情は異なるものの、豊富な資源収入が支えてきた海外への積極投資が鈍る可能性はある。

サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相(中央)は原油安を容認する考えを明確にしている(21日、アブダビ)=AP

 サウジ政府が25日発表した15年予算は歳出が8600億リヤル(約28兆円)と14年予算に比べ微増ながら過去最大となった。一方で原油安が直撃する歳入は7150億リヤルと同16%も縮小し、差し引き1450億リヤルの大幅な赤字になる。赤字予算を組むのは4年ぶりだ。

 アッサーフ財務相は発表前に、原油高だった過去数年の財政黒字と準備金が「必要とされるときの余力」をもたらしたとして大規模な公共支出を続けると明言していた。赤字は準備金の取り崩しで補う方針だ。

 原油価格は今年6月をピークに下落を続け、石油輸出国機構(OPEC)が11月末に減産の見送りを決めると下げ足を速めた。国際指標の北海ブレント原油は足元で1バレル60ドル前後と年初来高値の半値に迫っている。

 輸出収入の8割以上を原油・石油関連製品に頼るサウジが現状を受け入れる構えなのに対し、その比率が9割以上のクウェートは警戒感を隠さない。サバハ首長は9日、「国家収入と開発計画に影響し始めた原油価格」に懸念を表明した。

 さらに危機感を強めるのがイランだ。ただでさえ核開発問題による米欧の経済制裁で痛手を負い、原油収入が細れば財政と国民生活にダブルパンチとなる。「短期的に収入は減る。イラン経済は石油以外の輸出を増やさなければならない」。ロウハニ大統領は7日、15年3月に始まる来年度予算案を出した国会で訴えた。予算案は総額8400兆リアル(約37兆円)と名目で4%膨らむが、2桁のインフレ率を考慮すると実態はマイナスだ。収入の柱である原油の想定価格は今年度の1バレル100ドルから72ドルに下げた。

 イラク政府は23日発表した来年の予算案で、想定原油価格を1バレル60ドルに引き下げた。首相府報道官によると、191億ドル(約2.3兆円)相当の財政赤字を見込む。

 各国は帳尻合わせに躍起だ。イランはパンへの補助金を減らし、所得税などの増税も取り沙汰される。アラブ首長国連邦(UAE)ではアブダビ首長国が水道・電気料金の引き上げを決めた。

 サウジやUAE、クウェートはまだ豊富な外貨準備を持ち、政府系ファンド(SWF)の資産も莫大だ。SWF研究所によると、アブダビ投資庁の資産規模は7730億ドル、サウジ通貨庁は7572億ドルに達し「政府支出の数年分をカバーする緩衝材」(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)になっている。

 ただ原油安が長引くとSWFに割り当てる資金は細り、運用の姿勢も慎重になりそうだ。欧州などの有望な企業の株式や不動産への投資を控える動きなどを通じてオイルマネーの退潮が世界経済を冷やす恐れもある。

サウジ石油相「1バレル20ドルでも減産せず」 シェア優先

 【ドバイ=久門武史】サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は1バレル20ドルまで下がっても減産に動かない考えを示す。財政の一時的な悪化を容認してでも、台頭する北米のシェールオイルなどとの価格競争に耐え、原油市場でのシェアの維持を優先する方針だ。

サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相(中央)は原油安を容認する考えを明確にしている(21日、アブダビ)=AP

 「減産したらシェアはどうなるのか。ロシアやブラジル、米国のシェールオイルに奪われる」。ヌアイミ氏は21日、中東専門誌ミドル・イースト・エコノミック・サーベイに「20ドルに下落しても関係ない」と述べ、減産は石油輸出国機構(OPEC)加盟国の利益にならないと強調した。

 国際通貨基金(IMF)はサウジの来年の財政収支を均衡させる原油価格を1バレル90ドル強と推計している。足元の60ドル前後では大幅な赤字に陥るが、2011年からおおむね100ドル超の高値が続いたため「貯金」は十分にあるとみる。中央銀行の在外資産は7300億ドルを超えており、こうした余力で、より生産コストの高い米シェールの開発が滞るのを待つ構えとみられる。

 ヌアイミ氏は21日、記者団に「最も効率的な産油国が生産すればいい」とも語った。価格安定のためにOPECばかりが生産量を調整することはもはやない、との意思は鮮明だ。アラブ石油輸出国機構(OAPEC)の21~23日の閣僚級会議で、クウェートのオメール石油相も減産する必要はないと発言した。

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