2014/12/28 本日の日本経済新聞より「成長戦略を問う(3)新陳代謝阻む規制破れ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「成長戦略を問う(3)新陳代謝阻む規制破れ」です。





 アベノミクス第3の矢である成長戦略は失速したのか? そう疑いたくなる数字がある。

順位下がる日本

 最新の2015年版の世界銀行のビジネス環境ランキングで、日本は29位。前年の27位から低下した。先進国に限った順位も前年の15位から19位に下がってしまった。

 「20年までに先進国3位以内に入る」というのが成長戦略で掲げた目標だったが、15年版でトップ3の一角をしめるようになったのはお隣の韓国だった。「日本を世界で一番ビジネスしやすい国にする」というふれ込みとはまったく逆の流れだ。

 起業・開業や不動産登記に必要な手続き数の多さやかかる日数の長さ、納税手続きの煩雑さ……。手をこまぬいているうちに、日本はスイス、オーストリア、ポルトガル、オランダに抜かれてしまった。

 日本の開業率と廃業率はいずれも5%未満で、10%前後の米英に大きく水をあけられている。新しい企業や産業が古いものに取って代わる「新陳代謝」がすすまなければ、潜在成長率を上げるのは難しい。

 新陳代謝は生産性向上の源だ。企業の新規参入が増えると、競争が激しくなる。その結果として「負け組」が市場から退出すれば、競争力の高い企業の売り上げやシェアが増え、経済全体の効率が高まる。

 森川正之経済産業研究所副所長は、企業の参入と退出を促す新陳代謝の効果だけでも「0%台といわれる潜在成長率を約0.2%分押し上げられる」と試算している。

 日本はこれまで、競争力の劣る企業の退出を迫ることに二の足を踏んできた。その象徴が、中小企業の融資が焦げついた場合に国などが肩代わりする信用保証制度だ。

 一部業種は今なお焦げ付きの全額が保証され、先進国では異例の中小企業保護政策を続ける。いわゆる「ゾンビ企業」を温存させてきた政策はそろそろ段階的に手じまいする時だろう。

 「実は全額保証の存続を求めているのは銀行」と政府関係者はあかす。信用保証を使えば、リスク資産を減らし自己資本比率を高めに保ちやすくなるからだ。ここにメスを入れ、銀行や融資先企業のモラルハザード(倫理の欠如)に歯止めをかけられるかが焦点だ。

 新陳代謝を高める王道は、新規参入を促し、衰退部門から成長部門へとヒト、モノ、カネを移す規制改革だ。安倍晋三首相が「成長戦略の1丁目1番地」と位置づける規制改革の加速は待ったなしの課題だ。

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 保険診療と保険外診療をくみあわせた混合診療の拡大。農協改革。労働時間に縛られない「ホワイトカラー・エグゼンプション」という新しい働き方。既得権益を守る「岩盤規制」の突破はこれからが本番だ。

 今年6月の成長戦略では風穴をあけたが、それをどこまで広げられるかは「来年1月召集の通常国会に出す法案の中身しだい」(規制改革会議の関係者)。4月の統一地方選を前に抵抗勢力に屈して後退すれば、首相の本気度が疑われる。

 衆院解散のあおりを受けて臨時国会に提出していた国家戦略特区法改正案は廃案になった。地域限定の保育士や家事支援のための外国人材受け入れといった追加策や、特区の追加指定は当初の想定よりも半年遅れる公算が大きくなっている。

 「いっそう大胆なメニューを追加し、決意も新たに次期通常国会に法案を提出する」と首相はいう。

 外国人医師による日本人患者向け診療の解禁、企業による農地所有の実質解禁といった骨太な追加策を打ち出し、改革の足踏みを補って余りある中身にパワーアップできるか。それが1つのリトマス試験紙となる。

(編集委員 瀬能繁)

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