2014/12/29 本日の日本経済新聞より「月曜経済観測 金の国際相場、低迷続くか 新興国の需要が下支え WGC日本代表 森田隆大氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「金の国際相場、低迷続くか 新興国の需要が下支え WGC日本代表 森田隆大氏」です。





 金の国際相場は2011年の史上最高値から4割近く下落した。米国の政策金利引き上げを視野に、投資マネーの流出は続くのか。金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の森田隆大日本代表に聞いた。

中間層が拡大

 ――金の国際相場は1トロイオンス1200ドル弱で低迷しています。

 「21世紀に入って金の国際相場が大きく上昇した要因はおもに2つある。ひとつは中国、インドを中心とした新興国が経済発展し、中間所得層が拡大したこと。もうひとつは米国経済に不安が強まり、ドルの信用力が低下したことだ」

 「米国経済が立ち直り、ドル相場が回復すれば金の国際相場は下げる。来年、米国が金利引き上げに動けば一段の下げ圧力となるだろう」

 ――金相場は中長期的に下げ続くのでしょうか。

 「そうは考えない。現在の相場は800~900ドルだったリーマン・ショック直前の水準を上回る。金上場投資信託(ETF)の投資残高も当時より多い。リーマン・ショックや欧州危機で金市場に逃避していたマネーは株式市場などに戻ったが、新興国などの買いは着実に続いている」

 「世界の金需要は今年も3500トンを超え、3千トン程度だった07年以前を上回りそうだ。ヘッジファンドなどが金ETFを売り、余った現物はアジア地域などに移動している。金市場で売り手だった中央銀行も10年以降は買い手に変わった。新興国の中央銀行が準備資産の分散を進めているためだ。一方で世界の産金コストは金相場とほぼ同水準まで上昇し、採算が見込めないため金の開発は今後止まるだろう」

 ――金はインフレ対策で買われるといいます。原油相場の急落で金相場が下がる可能性はありますか。

 「実は統計分析で原油と金相場に相関性はほとんどない。原油の急落でインフレ期待が後退し、金利が低く抑えられれば金利を生まない金の投資に適した環境が続く側面もある」

 ――国内投資家の動きに変化はありますか。

 「まだ規模は大きくないが、ETFなどを通じて金に投資する機関投資家が増えてきた。株式や国債相場が大幅に下落する万一のリスクに備え、資産全体の価値を安定させる手段として金投資を試している」

日本の信用低下

 ――地政学リスクや国債相場の急落リスクなどが念頭にあるのでしょうか。

 「地政学リスクは世界に広がっている。日本の国債相場は良好な需給関係が支えているが、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスが今月格下げしたように信用低下は明らかだ。需給がいつ崩れるかはだれも分からない」

 ――日本国債がさらに格下げされる可能性は。

 「格付け会社が安倍政権の経済政策、アベノミクスがうまくいかないと判断すれば格下げの可能性はある。格付け事業に長年携わった経験からすると、その時の格下げは1段階にとどまらないのではないか。国債の信用低下は金融機関の活動、日本企業の資金調達にも波及する。それだけに安倍政権が経済政策を確実に成功させる責任は重い」

(聞き手は編集委員 志田富雄)

もりた・たかひろ 米ムーディーズ社の社債格付け日韓責任者から転身。57歳

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