2014/12/29 本日の日本経済新聞より「経営の視点 「世界標準化」挑んだ2014年 失敗恐れれば停滞不可避 編集委員 西條都夫」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「「世界標準化」挑んだ2014年 失敗恐れれば停滞不可避 編集委員 西條都夫」です。





 2014年の企業経営の特徴を一言でいえば、「世界標準化」の進展である。世界標準という言葉に抵抗があるなら、「欧米企業では普通に行われていることが、日本の企業社会にも定着し始めた」と言ってもいい。具体的にどういうことか、以下に説明しよう。

 1つ目はグローバル化の手法として、「内→外」のM&A(合併・買収)が盛んになってきたことだ。日本企業の世界展開は、その先陣を切った自動車産業がお手本になったせいか、「出来合いの企業を買うのではなく、グリーンフィールド(更地)から工場や販売網をつくり、事業基盤をコツコツ固めるのが正道」という漠然とした思い込みがあった。外国企業を買っても、うまく経営できず、痛い目にあった過去のトラウマも日本企業の「M&Aフォビア(恐怖症)」に拍車をかけた。

 だが、世界を見渡せば、買収や合併抜きにグローバル化をなし遂げた企業のほうが例外的だ。例えば医療装置の世界では1980年代以降、米ゼネラル・エレクトリックやオランダ・フィリップスの主導で世界的な再編が起こり、勢力地図が固定してしまった。オーガニック(内発的)成長にこだわった日立製作所や東芝など日本勢は置き去りにされ、今もニッチプレーヤーの域を出ない。

 こんなもどかしい状況に風穴が開いたのが2014年だった。「自前主義の権化」のような存在だった三菱重工業が、敗れたとはいえ仏アルストムをめぐる国際買収合戦に参戦したのは、特筆に値する。日立製作所もイタリアの鉄道関連事業を買収する。

 今年の大型買収ランキングにはサントリーホールディングスやミツカンホールディングスなど食品会社の名前も目立ち、いわゆる内需型産業にも内→外買収の波が広がりつつある。海外での買収を成功に導くための経営力の有無が、今後、企業の成長性を左右する重要なカギになるだろう。

 2番目はスカウト人事の盛り上がりだ。日本企業は人材面でも自前主義が強かったが、今年は資生堂やサントリー、武田薬品工業といった有名どころで、外部からのスカウトによる新社長が誕生した。

 経営が順調な間は生え抜き人材のほうが安定感を発揮するが、しがらみを断ち切り、会社の方向性を大胆に変えなければいけない変革期や危機の時代は、外の人材を登用して組織に新風を吹き込むのも面白い。日本航空は経営破綻後に京セラ創業者の稲盛和夫氏を会長に招き、企業文化を変革した。古くはゴーン革命に成功した日産自動車の例もある。

 3つ目もやはり外部人材がらみの話題だが、社外取締役の定着だ。会社法の改正によって、これまで消極的だった企業も重い腰を上げざるを得なくなった。「外部の視点」をボードに導入することで、経営の客観性を担保しようとするのは悪い試みではない。

 先回りして言っておくと、買収やスカウト人事については失敗例も必ず生まれるだろう。だが、失敗は「学びの機会」でもある。失敗が怖くて新しいことに挑戦しなければ、その先に広がるのは停滞である。

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