2015/01/31 本日の日本経済新聞より「大機小機 「格差」論からの示唆」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「「格差」論からの示唆」です。

ピケティ論から日本の目指すべきところを明示している点で、秀逸な記事です。しかも、短編でわかりやすい。ただし、アジアの中産階級をあてにするだけでは、日本という国の内から湧き上がる強さに結び付かない。国内でも財の偏在を改める国家制度が必要と思われる。





 世界的に話題を呼ぶフランスの経済学者トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」が、日本で翻訳されてベストセラーになっているという。

 この「ピケティ現象」そのものが、日本を含め先進国で国民の資産・所得の格差に対する関心がかつてないほど高まっていることを示している。

 教授は、入手しうる限りの統計を駆使して欧米の主要国の富の分布状況をほぼ200年にわたって観察した。その結果、「資本の収益率が経済成長率より高い状態が続いてきた」という結論を導き出している。

 金持ちはますます金持ちになり、時の経過とともに貧富の格差が拡大する、というのである。教授はこれについて、「論争の余地のない歴史的事実だ」としている。

 ピケティ教授の結論から何を読み取るべきか。最も重要なのは、このまま富の偏在が進むと、先進国経済の成長力が低下して長期停滞に陥る可能性が強まる、ということではないだろうか。

 少数のお金持ちに富が集中する傾向が強まると、経済全体の消費需要は停滞する。金持ちの消費性向は低所得者より低いからだ。こうして経済成長率が低下する。需要の伸びが期待できなくなると、将来に向けた投資も停滞し、成長力そのものも失われてゆく。

 一方、しばしば指摘されるように、各国間に信じられないほどの大きさの資産・所得格差が存在する。しかし、中国をはじめ成長するアジア諸国では膨大な数の中産階級が生み出されてきている。これら中産階級の旺盛な需要は世界経済の成長に大きく寄与するようになっている。

 英エコノミスト誌編集の「2050年の世界」では、全世界の中流階級の集団は、30年に現在の2.5倍、50年にはさらに膨らむと予測する。

 以上から成長戦略を形成するうえで読み取るべきは、アジアで膨張する需要の取り込み、つまり日本経済のグローバル化が不可欠だということだ。

 具体的には全貿易財の抜本的な自由化、サービス貿易や市場アクセス、労働分野など非関税分野を含めた包括的な自由化を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結と参加である。

 今通常国会では、与野党とも、TPP参加に向けた関連法制の整備に全力で取り組んでほしい。

(一直)

2015/01/31 本日の日本経済新聞より「スギ花粉症治療ワクチン開発へ アステラス製薬 近く臨床試験開始」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業2面にある「スギ花粉症治療ワクチン開発へ アステラス製薬 近く臨床試験開始」です。

私は花粉症患者なのでシダトレンに期待していましたが、その治療プロセスの長さに対し、効能が絶対的ではないため、少し残念に思っていたところです。そこに現れたこの記事、非常に期待したい思いで、注目しています。





 アステラス製薬は30日、スギ花粉症の治療ワクチンの国内開発を始めると発表した。ワクチンを接種することで体内の免疫を整え、「花粉症のアレルギー症状を長期間改善するワクチンを目指す」(アステラス)という。ワクチンは米製薬ベンチャーから導入。近く国内で臨床試験(治験)を開始する予定だ。

 ワクチンは米イミュノミックセラピューティクス社から導入する。アステラスは一時金として1500万ドル(約18億円)を支払い国内での開発、販売権を得る。開発の進捗に応じ、最大で5500万ドル(約65億円)を別途支払う可能性がある。

 治療ワクチンは数回接種する。花粉症の症状を引き起こすアレルギー成分を体内に取り込むことで、免疫バランスを調節。スギ花粉が体内に入ってきても、過剰に反応しないようにする。

 スギ花粉症の治療薬では鳥居薬品が昨年秋、医療用飲み薬「シダトレン」を発売している。ただ毎日1回、数年間飲み続ける必要がある。

2015/01/30 本日の日本経済新聞より「試練の欧州 いま再びの危機(3) ポスト「冷戦後」 域益担う覚悟見えず」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「ポスト「冷戦後」 域益担う覚悟見えず」です。





 「ロシアは今すぐ武装勢力への武器提供をやめ、停戦合意を守るべきだ」。21日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で講演したウクライナのポロシェンコ大統領は、数日前に砲撃を受けた民間バスの破片をつかみ、声を震わせて訴えた。

キエフで20日、戦闘で死亡した兵士のひつぎを抱えるウクライナ兵=ロイター

「裏庭」が震源

 同国東部では年明けから戦闘が再び激化し、昨年以降の犠牲者は5千人を超えた。

 怒りの矛先はロシアだけではない。「ウクライナの将来には政治的、経済的、防衛的支援が必要だ」。欧州連合(EU)への謝辞を述べたはずのポロシェンコ氏の言葉には、自国への支援でも対ロ制裁でも煮え切らない欧州各国へのいらだちもにじんだ。

 戦闘長期化やロシアによる天然ガスの供給停止で経済は急速に悪化、債務不履行の瀬戸際にある。EU財務相は27日の理事会で18億ユーロ(約2400億円)の追加融資で合意したが、ウクライナが目指すEU加盟の道筋は示されていない。

 ドイツのシュタインマイヤー外相は昨年11月、ウクライナのEU加盟について「遠い将来」の可能性にすら懐疑的な見方を示した。

 冷戦終結から25年を経て米国の指導力が低下するなか、世界各地で地政学リスクが再燃している。その大半がウクライナや中東など歴史的にも距離的にも欧州に近い「裏庭」が震源だ。

 ポスト「冷戦後」の世界秩序では欧州が米国とならんで役割を果たす必要性が高まるが、それぞれの国益を超えて「域益」を担おうとする覚悟は各国に見えない。

 「欧州各国がもっと積極的に作戦に参加してくれたら……」。イラクやシリアで勢力を拡大する過激派「イスラム国」に苦戦するオバマ米政権の高官はこぼす。空爆に際して有志連合の枠組みをつくることができたのは政府軍と協力できるイラクだけ。シリア領での作戦開始の遅れが、過激派の増長を招いた。

 かつてコソボ紛争やリビアでの軍事作戦では英国やフランスなど北大西洋条約機構(NATO)が主導した。米政権はイスラム国掃討作戦でもこの流れを期待したが、欧州各国の腰は想定していたよりも重かった。2011年のリビアでは空爆の9割を米軍以外が実施したとの推計もあるが、今回の空爆では計1千回を超す空爆のうちフランス軍が実施したのは120回程度。「欧州各国は自国のテロ警戒で手いっぱい」と冷めた見方が出る。

国防費は低下

 ストックホルム国際平和研究所によると、欧州全体(ロシア除く)の国防費総額は1988年に世界の約25%を占めたが、08年以降の度重なる金融危機下の緊縮財政で削減を加速し、13年に18%まで低下。10年以降は軍事費で急速に台頭する中国などアジア・オセアニア地域にシェアで逆転された。この間北米は一貫して世界の国防の4割前後を担う。

 中東に近い南欧諸国から、ロシアと国境を接する東欧・北欧諸国まで多様な国を抱える欧州は外交上の利害も多様だ。

 テロ対策のように連携が重要な問題もあるが、協力強化は今後の課題だ。英王立国際問題研究所ディレクターのゼニア・ウィケット氏は「全体の団結を損なわずに決断を早める仕組みが急務だ」と指摘する。

2015/01/29 本日の日本経済新聞より「試練の欧州 いま再びの危機(2) 揺らぐ「移動の自由」 極右、移民排斥の動き」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「揺らぐ「移動の自由」 極右、移民排斥の動き」です。





 「(欧州の人の移動の自由を定めた)シェンゲン協定を凍結すべきだ」(仏国民戦線=FN=のルペン党首)

11日、週刊紙銃撃事件に抗議するフランス極右政党の支持者ら=AP

 「我々の国のパスポートを持ちながら、我々を憎む人たちがいる」(英国独立党=UKIP=のファラージュ党首)

相次ぐテロ警戒

 フランスの週刊紙銃撃事件など相次ぐテロを機に、欧州の極右政党は移民の制限を訴え、支持伸長への意欲を隠さない。

 バルス仏首相は「我々が戦っているのはテロ行為であり宗教ではない」と繰り返す。だが市民も、過激な暴力拡大に「移民は怖い」と萎縮する。

 統合欧州のエンジンとして成長を支えてきた人の自由な移動。テロの恐怖がその存続を脅かす。

 欧州の社会民主主義的なモデルとして世界から注目されてきたスウェーデンでもイスラム系移民を巡る緊張が高まっている。「イスラムは人権や民主主義への脅威」。極右・スウェーデン民主党のマティアス・カールソン党首代行は26日、テレビ番組で移民や出稼ぎ労働者の入国を制限するよう訴えた。

 同国では格差に不満を募らせる移民による暴動が頻発する一方、イスラム教礼拝所(モスク)への放火も相次ぐ。寛容と調和を誇った成熟社会が大きく揺れる。

 広い欧州では1つの国が不況でも、他の国が不況とは限らない。移動の自由は気軽に職を探しに行ける利点をつくり、欧州全体で柔軟性のある労働市場を生んだ。

 EUは28カ国、人口は5億人となり、企業は格段に人材を集めやすくなった。ある欧州企業の担当者は「国籍は関係なく、優秀な人材を採用するのが重要」と話す。ルーマニアやギリシャなど欧州では比較的貧しい国出身の若者が、英国やドイツの大企業を目指す。就職するにあたっての制限はほぼない。

 ユーロ圏最大の経済大国ドイツに滞在する外国人は今や800万人。2013年のドイツへの移民は52万人を超えた。

 昨年7月、ドイツのソフトウエア会社、SAPは「欧州会社(SE)」になったと発表した。SEは01年の法律に基づき認められた地位。欧州市場統合の果実のひとつで、各国ごとの複雑な法律や規制の制約を受けずに、国境を越えた事業を展開しやすくなる。企業もヒトも域内では国境を超えた活動を一段と活発にしている。

「頭脳の不均衡」

 もちろん、いいことばかりではない。域内の「頭脳の不均衡」を生む面もあるからだ。

 スペイン人のルイマン・キャブレラさん(33)は13年、母国で失業し、パリの医療関連会社で働き始めた。スペインの昨年1月時点の20~39歳の人口は1260万人と10年に比べ約1割減った。危機時に失業率が50%を超えた同国の若者は旧植民地の中南米に加え、ドイツや英国、フランスなどに向かう。「若者は国の活力なのに」。経済省幹部は頭を抱える。

 人材の流出国は構造改革を通じて競争力を高めるよりほかない。だが現実は、極右や極左政党の大衆迎合的な主張に傾きがちだ。主流の政党や指導者ですら「テロの脅威」を口実に自由化の流れに抵抗しようとしているフシがある。

 移動の制限は経済の効率性を奪うだけでない。結果的に過激派が望むような分断された社会に一歩近づくことでもある。

2015/01/28 本日の日本経済新聞より「試練の欧州 いま再びの危機(1) 動揺するギリシャ 改革の痛み政治に綻び」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「試練の欧州 いま再びの危機(1) 動揺するギリシャ 改革の痛み政治に綻び」です。





 欧州が試練の時を迎えている。債務危機からの回復は失速し、低インフレと低成長、高齢化による日本化懸念が影を落とす。ロシアとの対立は深刻化、テロの脅威も増す。環境変化に直面する欧州の悩みと行方を探る。

25日、選挙勝利に沸くギリシャ急進左派連合の支持者=AP

ユーロまた混沌

 再び欧州問題の中心地となったギリシャ。6年連続でマイナス成長に陥り、苦境が続くなか、25日の総選挙で反緊縮を掲げる政権への交代が決まった。同国と欧州の単一通貨ユーロの行方がまたもや混沌としてきた。

 首都アテネに貧困層向けに無料で食事や診療サービスを提供する場所がある。支援組織「連帯」が運営、全国約40カ所あるうちの一つだ。

 「連帯」の活動は法律スレスレだ。料金を払えず電気を止められた世帯の盗電を手助けし、差し押さえられた自宅の競売も妨害している。「緊縮を押しつける欧州連合(EU)に対する闘争だ」と事務局のクリストス・ジオバノポロスさん(45)は言い切る。

 運動を後押しするのはほかでもない、与党の座についた急進左派連合だ。チプラス首相は「緊縮策がもたらした恥辱と痛み」からギリシャを救うと宣言し、EUが支援の条件とする歳出削減などを見直す立場だ。

 確かに国民の生活は苦しい。昨年の1人当たり国内総生産(GDP)は約1万5000ユーロと危機前に比べて2割減った。民間セクターの平均賃金は1年間で10%も下がり、購買力が1980年代の水準にまで低下したという。

 5年前の欧州債務危機もギリシャの財政問題が発端だった。イタリア、スペインとドミノ倒しのように南欧を飲み込んだ危機から抜け出すため、各国は過大な債務を減らし、構造改革で産業の国際競争力を高めようとした。だが痛みを伴う改革に政治は耐えきれない。

 「改革」を掲げて登場したオランド仏大統領も四苦八苦する。社会保障制度の見直しや、硬直的な労働市場の改革、それに中小企業育成など政策課題は山積しているが、どれも手つかずだ。

 多くの国は低成長と高失業率から抜け出せずにいる。欧州を覆う影をさらに暗くしているのが、物価上昇率の鈍化だ。経済の体温である物価は成長がなければ上がらない。12月末には域内平均で水面下に沈んだ。

「禁じ手」を採用

 結果として期待は金融政策に向かう。欧州中央銀行(ECB)が「禁じ手」の量的緩和という非伝統的手法に追い込まれたのは動かぬ政治のしわ寄せが及んだことを意味する。浮き彫りになったのは南北の構造問題だ。

 南欧は改革の手を緩めツケを自分たちに回そうとしているのでは? そう疑う北部欧州は冷めた視線を向ける。「構造改革をなし遂げ、持続的な成長力を手に入れるというのがEUの合意事項だったはず」とショイブレ独財務相は言う。

 一方の南欧は財政規律をごり押しするドイツへの不信感を膨らませる。「ドイツが財政出動して欧州全体を支えるべきだ」とフランスのマクロン経済産業デジタル相。

 南と北の思惑はすれ違い、危機からの出口は逃げ水のように遠くなる。

2015/01/27 本日の日本経済新聞より「経営書を読む 伊丹敬之著「経営戦略の論理・第4版」(3) 戦略の資源適合 経営資源さらに生み出す」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「伊丹敬之著「経営戦略の論理・第4版」(3) 戦略の資源適合 経営資源さらに生み出す」です。





 成功する戦略に必要な5つの適合のうち、資源、技術、心理が内的な要因です。今回は資源適合を見てみましょう。

 顧客、競争という外部要因に適合できたとしても、それを継続的なものにするには企業内部の要因とも適合しなければなりません。必要な経営資源を維持、獲得できるか、技術を望ましい形に進化できるか、などの課題があるのです。

 経営資源とはヒト、モノ、カネと「見えざる資産」たる情報です。戦略の実行に必要な資源の確保は最低限の要件ですが、特にノウハウなど「見えざる資産」は自社で十分と思っていても実は不足していたということも有り得ます。

 一方、自社で思う以上にあるが活用されていない場合も有り得ます。経営資源は利用し尽くすという観点が重要です。

 より高いレベルのテコ的な適合では、戦略を実行して得られた資源をさらに活用するというサイクルが考えられます。例えば、相乗効果(シナジー)とは、ある事業で獲得した資源を他事業がうまく「ただ乗り」している状態を指します。ただし、モノやカネという資源の場合、ある事業で空いた生産能力を他事業に回すことは相乗効果ではなく、相補効果と著者は呼んでいます。

 真の相乗効果とは、「見えざる資産」を他事業に転用できる場合です。複数の既存事業がノウハウを共用していればこそ、1+1=3という関係が実現可能です。

 この「ただ乗り」関係は、現在の事業と将来の事業でも成り立ちえます。これを著者はダイナミック・シナジーと呼んでいます。カシオ計算機は機械式計算機から電卓に展開し、そこで得た大規模集積回路(LSI)の設計ノウハウをテコに電子機器ビジネスに展開しました。現在は足りないかもしれない資源を戦略実行の過程で獲得し、増大させ、それをテコに新たな成長に進むというのが、ダイナミックな戦略的適合なのです。

(ケーススタディーなど全文を「日経Bizアカデミー」に掲載)

2015/01/27 本日の日本経済新聞より「働きかたNext インタビュー(4)「モーレツ」変わる?時間でなく成果で評価 日本電産会長兼社長 永守重信氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業1面にある「「モーレツ」変わる?時間でなく成果で評価 日本電産会長兼社長 永守重信氏」です。

労働者にとっての法の保護は日本の農業みたいなもの、事に仕えるのが仕事であるならば、まずはきっちり求められるものに応える、そういう心得を大事にしてほしい、このようなメッセージに感じます。経営は頼りになる労働者の支えがないと成り立ちません。ゴーイングコンサーンの大きなカギを握っているのは労働者である、永守社長が言いたいのは、このような内容ではないでしょうか。





 元日の午前中を除き、年365日働く。日本電産の永守重信会長兼社長はそんなモーレツ経営で、同社を売上高1兆円近い企業に育てた。ただ相次ぐM&A(合併・買収)で、外国人などグループ従業員数は今や10万人を超す。グローバル企業に変身するなか、「モーレツ」な働き方は変わるのか。永守氏に聞いた。

生産性を評価

 ――日本電産はハードワークで有名です。

 「創業当初は優秀な人材を採れず、大手に対抗するには長時間働くしかなかった。上場後はある程度人を確保でき、アタマも使う『知的ハードワーキング』を掲げた。最近はグローバル化が進んだため、昨年から時間に関わらず『できるまでやる』方針に変えた。やるべきことができれば早く帰っていい。ただ、できないのに早く帰れば競争に負けてしまう。そこは頑張ってもらうという考え方だ」

 ――社員の間で帰宅時間に差が出ませんか。

 「今はできるだけ生産性の高い人に仕事を回し、昇進や賞与で報いるようにしている。同じ仕事をするのに能率が良く早く仕事を切り上げる人より、効率が悪く長時間働いている人に残業代が付き収入が多くなるのはおかしい。(ホワイトカラー・エグゼンプションのような)ある程度の年収になったら時間でなく成果で評価するのは正しい」

 ――グローバル化にはどう対応しますか。

 「経営幹部に対しては、2017年にも世界同一の報酬体系を導入する。年俸制で世界で転勤があるグローバル幹部と、国を越えた転勤はなく地域ごとの雇用慣行や文化を適用させるローカル社員とに分ける」

 「雇用は守る。リーマン・ショック時も誰も切らずに平均5%の賃金カットをし、その後利子を付けて返した。いいときも悪いときも分かち合うのが日本の強みだ。うちは今や電機大手のリストラの受け皿。一生懸命働いて税金も納めているのに『ブラック企業』のように言われるのはおかしい。リストラする方がよほどブラックではないか」

生え抜きも育成

 ――女性が働きやすい職場をどう作りますか。

 「昨年、3人の女性を部長に初登用した。女性管理職を増やすのにゲタを履かせるのは反対だが、働きやすい環境づくりへの投資は進める。育児や介護で時間に制約がある人も、法務や税務など専門性の高い仕事であれば可能だと思う。在宅勤務のほか、朝だけ、午後だけといった働き方は今後増えてくると思う」

 ――外部の人材採用に積極的です。

 「昨年、電機大手から部長級だけで約100人採用した。中途採用は続けるが、生え抜き社員も重要だと気づいた。社風になじむのには時間がかかるからだ」

 「このため今年から経営幹部養成の経営塾、16年には国内外のグループ幹部向けの企業内大学校を開く。これまで高学歴者なら経営ができると錯覚していた。経営には知能指数(IQ)と、仕事への取り組み姿勢や執念といった心の知能指数(EQ)を併せ持った人材が必要だ。これは自社で育成する」

(聞き手は太田順尚)

 ながもり・しげのぶ 1967年(昭42年)職業訓練大電気科卒。73年日本電産を創業し、社長に就任。2014年から現職。社員が帰りやすくするため、最近は帰宅時間を早めているという。70歳。

2015/01/27 本日の日本経済新聞より「インドネシア、成長拡大 15年5.7%、原油安追い風 日経センター予測、中国は7%に鈍化」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のアジアBiz面にある「インドネシア、成長拡大 15年5.7%、原油安追い風 日経センター予測、中国は7%に鈍化」です。





 日本経済研究センターは中国と東南アジア主要国の経済成長率予測をまとめた。2015年はインドネシアやフィリピンで伸びが拡大し、6%前後の水準を確保する。主な輸出先の米国景気が堅調なほか、原油安の恩恵を受ける。中国は減速しつつも7%成長を見込む。日本企業の主戦場として、アジアは引き続き重要な位置を占めそうだ。

 日経センターが初めてまとめた「アジア短期経済予測」は中国とインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンの計5カ国における15年以降の実質国内総生産(GDP)伸び率を予測した。

 アジア経済の追い風となるのは原油安だ。15年は価格指標の1つであるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル平均54.6ドルと前年比4割の下落を見込む。原油の純輸出国であるマレーシアを除き成長率を押し上げる。好調な米国経済も景気を下支えする。

 インドネシアは5.7%と4年ぶりに伸び率が拡大する。昨年就いたジョコ・ウィドド新大統領が財政を圧迫してきたガソリン補助金の廃止に乗り出した。ガソリン値上がりで消費の冷え込みが懸念されたが、原油安で相殺できる見込みだ。補助金削減で浮いた予算をインフラ開発などの成長策に回しやすくなる。

 フィリピンは6.2%と高い成長率を維持する。原油安が貿易収支の改善につながるほか、GDPの1割を占める出稼ぎ労働者からの送金で内需が堅調を保つ。タイはクーデターなど政情不安で14年は1%未満に落ち込んだもようだが、15年は輸出や消費が持ち直して3.9%成長を見込む。

 一方、減速するのは中国とマレーシアだ。中国は不動産市況が冷え込んでいる。政府も緩やかな安定成長に移る方針だ。国際通貨基金(IMF)は中国の伸び率を6.8%に見直したが、日経センターは原油安や当局の金融緩和の効果を織り込み7.0%を見込む。

 16年は原油価格の70ドル台への緩やかな反発を見込み、マレーシアが5.0%に持ち直す。中国は6.7%と減速が続く。

 アジア経済にはリスクもある。国ごとの景況感のばらつきだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)は15年末に経済統合を控えるが、日経センターの増島雄樹主任研究員は「域内の政策協調が難しくなるリスクがある」と指摘する。

 日経センターは今後、「アジア短期経済予測」を年2回発表する予定。

2015/01/26 本日の日本経済新聞より「起業の軌跡 「銀だこ」マザーズ上場 「作りたて」から業態拡大 ホットランド社長 佐瀬守男氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の新興・中小企業面にある「「銀だこ」マザーズ上場 「作りたて」から業態拡大 ホットランド社長 佐瀬守男氏」です。





 全国に400店以上を展開するたこ焼き店「築地銀だこ」。運営するホットランドは2014年9月に東証マザーズに上場した。たい焼き店やアイスクリーム店など新たな業態も積極的に手掛ける。創業者で社長の佐瀬守男(52)は「食べてホッとできる」という社名に込めた思いをさらに広めようと知恵を絞る。

 「小さい時からサービス業に興味があった」という佐瀬。しかし、専門学校を卒業し、群馬県桐生市の実家の機械工場に入った。

 転機は25歳の時。近くに開店したファストフード店を見て、サービス業への関心を呼び起こされた。愛車を売って得た40万円を元手に、同市内に焼きそばとおむすびの店「ホットランド」を開いた。

 じゃがバターやドーナツなども販売し、当初はそこそこ繁盛したが思い描いた水準にはほど遠い。「何が足りないのか」。たどり着いた答えが「作りたて」。それまで扱っていたのは、ほとんどが「作り置き」だったのだ。

 商品も時間帯を選ばずに売れていたたこ焼きに絞り込む。商品面での独自性として、現在に続く表面がパリパリで中がふわふわの「外パリ中フワ」を考えつく。ヒントは北京ダック。工場勤務の経験を生かし、佐瀬自身が考案した鉄板を使っており、仕上げに表面を焼き上げる。

 1997年に築地銀だこの1号店を出店。できたてにこだわり、注文後に顧客の前で焼くスタイルを導入した。しかし、当時のたこ焼きには屋外の屋台のイメージが強かったこともあり、テナントとして導入することに消極的な商業施設の担当者もいたという。

 佐瀬は自ら「外パリ中フワ」のたこ焼きを焼いて担当者に持参。「持ち帰ってもおいしい」と訴えた。人気は口コミで広がり、着実に店舗網を広げた。

 銀だこは国内で1000店まで増やしたい考え。「商品のアイデアは無数にある」。たこ焼きのように身近な食べ物にひと味違ったアイデアを加え、さらなる成長を目指す。

=敬称略

(中川竹美)

 させ・もりお

1983年東京YMCA国際ホテル専門学校卒。91年にホットランドを設立して社長に。群馬県出身。

2015/01/26 本日の日本経済新聞より「グローバルオピニオン ロシア経済、悪化する一方 米ピーターソン国際経済研究所シニアフェロー アンダース・オースルンド氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「ロシア経済、悪化する一方 米ピーターソン国際経済研究所シニアフェロー アンダース・オースルンド氏」です。

沈下するロシア経済について、この先の時間軸と起りそうな現象を整理し、帰結を予測した説得力のある記事です。





 ロシアは深刻な金融危機に陥った。原油価格は昨年6月半ば以降、約5割下落し、通貨ルーブルも同程度の下げ幅で昨年の取引を終えた。外貨準備は大幅に減少し、インフレ率は2ケタに達した。今後事態は悪化する一方だろう。

 ロシアが現在の苦境から脱出できるかどうかは、強大な権力を持つプーチン大統領にかかっている。ところが大統領が行動を起こす気配はない。これまでのところ、何の危機も存在しないかのように振る舞っている。しかし永遠に何も起きていないふりはできない。プーチン大統領がようやく現実を認めるころには、かじ取りの余地はほとんど残っていないだろう。

 もちろん、プーチン大統領はウクライナ東部から自らの部隊を撤退させ、欧米に経済制裁解除を促すことができる。しかしそれは敗北を認めることを意味する。おそらくそれはしないだろう。

 大規模な戦争でも始めない限り、プーチン大統領に原油価格を引き上げるための選択肢はほとんどない。そのうえ、原油価格の暴落以前から、縁故資本主義によって経済成長は止まってしまっていた。

 ロシアの政策決定者の中に経済の専門知識を持つ人材が払底しているわけではない。問題は、経済知識が不足しているクレムリン(大統領府)に政策決定が集中していることだ。プーチン大統領は、経済政策の最高責任者だった首相の権限も取り上げてしまった。プーチン氏が12年に大統領の座に返り咲いて以来、メドベージェフ首相は完全に蚊帳の外に置かれている。

 経済の専門家ではないプーチン大統領が全ての主要な経済政策を決定し、場当たり的に国営企業の経営者や個々の閣僚に命令を下している。その結果、ロシアの経済政策策定は断片的で機能不全に陥っている。外為市場はこうした調整の欠如を露呈している。

 財政状況もあまり変わらない。プーチン大統領が最優先するのは軍と治安機関、国家機関だ。第二に大統領とその仲間が巨万の富を得ている主要なインフラプロジェクト、そして最後が国民の支持を維持するために必要な社会保障費だ。ところが突然、石油収入でこれら3つをまかなえなくなってしまった。

 プーチン大統領がロシア経済の大惨事を回避しようとするなら、優先事項を変えなければならない。まず手始めに、大型の長期的インフラプロジェクトを棚上げすべきだ。さらに、社会保障費と軍事費を含む今年の公共支出を10%削減すべきだ。しかしこれまでの経緯を考えると、そうする可能性は低いだろう。

 ロシア最大の問題は、事態を悪化させる一方の政策やプロジェクトを追求し、現実を否定するその指導者だ。

((C)Project Syndicate)

Anders Aslund 1952年スウェーデン生まれ。英オックスフォード大博士。専門はロシア東欧経済。91~94年にロシア・エリツィン政権の経済アドバイザー。