2015/02/28 本日の日本経済新聞より「日米同盟、最重要期に 「戦後70年と積極的平和主義」シンポ 日本の歴史認識に注文も」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「戦後70年と積極的平和主義」シンポ 日本の歴史認識に注文も」です。





 日本国際問題研究所は27日、シンポジウム「日本の戦後70年と積極的平和主義」(後援・日本経済新聞社)を都内で開いた。アジア太平洋地域における日本の役割や国際秩序について日米欧、アジアの専門家が議論した。カート・キャンベル元米国務次官補は集団的自衛権の行使を認める日本政府の閣議決定を評価し、日米同盟が「現在ほど重要な時期はない」と発言した。

基調講演する米外交問題評議会のハース会長(右)とパネリスト(27日、東京都港区)

 米外交問題評議会のリチャード・ハース会長は冒頭の基調講演でウクライナ危機や過激派「イスラム国」の台頭、サイバー空間の脅威などを挙げ、「かつてのリベラルな国際秩序の活力が失われつつある」と警鐘を鳴らした。

 1国が単独で国際問題の解決にあたることが難しいなか、米国にとって「日本が制約の少ないパートナーになることが必要」とも述べ、日本がより幅広く国際貢献できる体制を整えるべきだとの考えを示唆した。

 パネル討論では中国の動向が焦点になった。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のエドワード・シュワック研究員は「中国のアジアにおけるビジョンは普遍的価値・体制ではない」とけん制した。大国化に向けた自国民の世論形成をうまく進める中国と比べ、「日本は(何を目指すのか)国民に一貫したメッセージが伝わっていない」と指摘した。

 インドネシア戦略国際問題研究所のリザル・スクマ所長は、米国主導の世界秩序がアジアの繁栄をもたらしたと評価し、「中国には米国にかわって指導力を発揮する意図はないし、能力もない」と主張した。日本に対しては、「日中韓の前向きな関係を構築すべきだ」と進言した。

 新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン上級顧問は「中国を日米の中に取り込んでいくことが重要」との認識を示した。

 日本の歴史認識への注文も目立った。韓国外交部国家外交研究所のチェ・ウソン准教授は「従軍慰安婦問題を解決できなければ日韓関係は前進しない」と訴えた。

 海洋安全保障が議題になった討論では、ヘンリー・ベンサルト在サンフランシスコ・フィリピン総領事が、南シナ海で領有権を争う中国を念頭に「海の紛争を平和裏に解決するには、海洋法を尊重するほか選択肢がないことを各国が認識する必要がある」と主張した。 米戦略国際問題研究所日本部のザック・クーパー研究員は、米国がこれまで東アジアへの介入を深めるリスクを恐れすぎていたと振り返り、「(米国は)海上の紛争地域で、警備活動や巡回を担う人員を増員すべきだ」と述べた。

2015/02/27 本日の日本経済新聞より「朴政権 3年目の憂鬱(下) 「輸出主導の成長」限界 中小育成も財閥頼み」

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 昨年12月、韓国南東部の慶尚北道亀尾市を訪れた朴槿恵(パク・クネ)大統領は上機嫌だった。「結婚式で息子や娘を送り出すようなうれしい気持ちだ」。朴氏は自らの肝煎りで準備してきた「創造経済革新センター」の開所式に臨んだ。

朴大統領(中)が創造経済革新センターにかける期待は大きい(昨年12月、慶尚北道亀尾市)=聯合ニュース提供

17カ所で育成

 同センターは昨年9月の大邱を皮切りに、今年6月までに全国17カ所に開く中小・ベンチャー企業の育成拠点だ。1997年の通貨危機の後、韓国の重点課題であり続けた「脱財閥経済」を推し進める原動力として期待が高まっている。

 中小企業を育てる取り組みは長く必要性が叫ばれながら、遅れてきた。朴氏は結果を出すため、奥の手と言える仕掛けを用いた。財閥を中心とする大企業に17のセンターをそれぞれ受け持たせ、技術開発や販路開拓を手ほどきする仕組みだ。

 大邱と慶尚北道はサムスングループ、南西部、光州は現代自動車、釜山はロッテが担い、主な支援業種も各財閥の得意分野により違う。財閥同士のプライドや政権への忠誠心を競わせる狙いだ。慶尚北道のセンター長にはサムスン電子出身の金鎮漢(キム・ジンハン)氏が就いた。

 朴政権が中小・ベンチャーの育成をテコに内需拡大をめざす背景には、財閥による輸出主導の成長モデルの限界がある。ウォン高で現代自は日本勢との競争に苦しみ、サムスンは中国でスマートフォンのシェアを奪われた。韓国貿易協会によると、14年の輸出は前年比1.5%減の603兆ウォン(約63兆円)と2年連続で前年割れとなった。

地位乱用の悪弊

 目先の雇用吸収力が弱まるだけでなく、急速な少子高齢化が将来の危機感を増幅する。韓国の生産年齢人口(15~64歳)は17年に減少に転じる見通しだ。1990年代から日本が長く経験してきた人口減による低成長のワナから逃れるには、1人当たりの稼ぐ力を高めるほかない。

 一方で中小企業の育成を財閥に頼む皮肉な構図には限界も浮かぶ。

 「契約書を作らずに口頭で納品を要求し、報酬を払おうとしない」「強引に資料を持ってこさせて技術を奪う」。韓国で中小・ベンチャーが育たなかった主因は、優越的な地位を乱用した財閥による搾取の現実がある。朴政権が旗を振ってもすぐに悪弊が改まる保証はない。

 さらに17カ所のセンターの職員には公務員や財閥の関係者が多く、斬新な発想や起業の意識を高められるのか不安がつきまとう。朴氏を支えるはずの政府関係者から「財閥は節目節目で成果を演出するだけだ」「政権が代わればセンターは尻すぼみに終わる」と冷ややかな声が早くも漏れる。

 「国民はこの2年の朴政権の経済政策が完全に失敗したとの評価を下した」。最大野党の新政治民主連合は朴政権のかじ取りを激しく批判する。昨年8月には非正規労働者の数が初めて600万人を超えた。中小・ベンチャーの育成には時間がかかる。国民の不満を希望に変えられるかどうかが、朴政権の残り任期3年を左右する。

 内山清行、小倉健太郎、加藤宏一が担当しました。

2015/02/26 本日の日本経済新聞より「朴政権 3年目の憂鬱(中) 「原則外交」で自縄自縛 南北・日韓、改善見えず」

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原則外交、つまり、柔軟性や器用さを欠く外交が韓国自信を追い詰めている、このような趣旨の記事です。日本、北朝鮮、中国、米国、韓国の外交は中国の台頭以降、この4か国に囲まれる形です。朴政権になってからは、日本や北朝鮮とは首脳会談を見通せず、経済では中国へ、安全保障では米国へ接近という構図で、これらは韓国が自ら選んだ道。果たして外交の安定につながっているのかと言えば、大いに疑問符が付くところです。

ひと時の感情や環境変化によって対応そのものを反転させるのは、相手国からの信頼を損ない、理にかなっていないように思われます。各国家との関係は長いスパンで構築していくべき、この事象を通じて再認識されるところです。





 今年に入り南北朝鮮の指導者がお互いに対話を呼びかけた。

 「最高位級会談もできない理由はない」。まず金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が元日の演説で言及すると、朴槿恵(パク・クネ)大統領は1月12日の記者会見で「北朝鮮はこれ以上ためらわず対話に応じるべきだ」と強調した。

 2人の言葉は宙に浮く。昨年10月、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長ら金氏の側近3人が突如訪韓した際に合意した高官級の協議すら実現していない。

 経済が疲弊する北朝鮮の狙いは外貨収入につながる金剛山観光事業の再開など、韓国独自の制裁の解除だ。しかし朴政権は2010年の韓国哨戒艦沈没事件への謝罪などが先だと改めて主張し、膠着状態が続く。

秘密接触もなし

 韓国の歴代政権は表向き鋭く対立しつつも、北朝鮮との意思疎通の道を保つよう腐心してきた。李明博(イ・ミョンバク)前大統領は回顧録で、関係が悪い時期もシンガポールなどで秘密接触をくり返したと明かす。

 これに対して朴政権の元政府高官は「首脳会談の準備はしていない。秘密接触も一切ない」と断言する。朴氏は就任来の金看板である「原則外交」にこだわるあまり、自縄自縛に陥っているようにもみえる。

 「首脳会談後に関係が逆戻りする懸念があるなら、大統領は絶対に金氏と会わないだろう」と先の元高官は予測する。朴氏自身も「当局で話し合いをしてこそ、制裁解除の議論もできる」と段取りを重視する。

 なかなか腹を割ろうとしない姿勢は日本との関係にも浮かぶ。「従軍慰安婦問題の解決に最善を尽くすのが第一歩になる」。13日、朴氏は訪韓した自民党の二階俊博総務会長にクギを刺した。

 現在、日韓のパイプは外務省局長級協議にほぼ限られる。青瓦台に探りを入れる日本側は「朴氏の真意がなかなかわからない」(外務省幹部)と嘆く。3月末にソウルで予定する日中韓外相会談が、近い将来の日韓首脳会談につながるかどうかは見通せない。

米中のはざまで

 一方、韓国外交は「安保は米国、経済は中国」と使い分けてきた。呼応するように米国はアジア回帰を進め、中国は地域の盟主をめざす。かみ合ってきたように映った韓米中の三角関係にもきしみが聞こえてきた。

 「この問題で中国との関係を壊すのは極めて望ましくない」。11日、最大野党である新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表が国会で迫った。在韓米軍が検討している「戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を慎重に考えるべきだとの訴えだ。

 THAADは高性能のレーダーを使って弾道ミサイルの動きをつかみ、はるか高い上空で撃ち落とすシステムだ。表向き北朝鮮対策だが、中国側は「我々へのけん制でもある」と警戒を強める。韓国の政界は「米韓同盟派」と「中国配慮派」に二分されかねない。

 米国が環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結に動く一方、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備を通じて韓国に秋波を送る。朴氏は1月12日の記者会見で「韓米同盟をきっちりと維持しながら、韓中の関係をさらに充実させたい」と述べ、米中双方の顔を立てた。二大国とは波風を立てたくない朴氏に踏み絵が続く。

2015/02/26 本日の日本経済新聞より「ジョコ政権、試される外交手腕 インドネシア、麻薬犯罪で外国人にも死刑」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「ジョコ政権、試される外交手腕 インドネシア、麻薬犯罪で外国人にも死刑」です。

法治国家としての信用、また、諸外国での死刑制度に対する認識の相違、これらがインドネシアの外交手腕を問う結果となっている、このような記事です。インドネシアの政治が成熟するか、問われています。





 【ジャカルタ=渡辺禎央】麻薬犯罪への極刑を堅持するインドネシアと、死刑廃止国のオーストラリアやブラジルが摩擦を広げている。インドネシアで収監されている自国民の死刑執行を控え、豪州などは外交的な圧力を強化。地域大国同士の不協和音は、経済や安全保障面での連携に悪影響を及ぼしかねない。経済改革が好調なジョコ政権の外交姿勢も試される。

召還した駐ブラジル大使(左)と記者団に応じるジョコ大統領(24日、ジャカルタ)=ロイター

 「わが国の政治と司法の『主権』の問題だ」。ジョコ大統領は24日、就任後第2弾となる死刑の正当性を強調し、豪州などの「干渉」をけん制した。

 インドネシアでは多量の麻薬の持ち込みや密売に関わった場合などに死刑となる。1月には6人の死刑が執行され、うち5人が外国人だった。自国民が銃で処刑されたブラジルとオランダは駐インドネシア大使を召還した。

 近く予定する豪州人ら7人の外国人を含む死刑を前に、ビショップ豪外相は「豪州人はどこで休暇を過ごすかを考え直すだろう」と述べ、バリ島観光などのボイコットを示唆。アボット豪首相も大津波の際の復興支援に触れながら恩赦を求めたが、インドネシアのカラ副大統領は「人道的な支援でなかったのなら返金するまでだ」と反発した。

 同様に死刑囚がいるフランス政府も駐インドネシア大使を召還した。ブラジルとの対立も深まっており、同国政府は20日、新たに着任したインドネシア大使の信任を拒否。インドネシア側も大使召還で対抗した。

 ジョコ大統領は麻薬のまん延について「緊急事態だ」と宣言。麻薬対策で「寛容は禁物」との姿勢で、外国人に対しても極刑を主張している。

 2014年10月に発足したジョコ政権は、財政改善や投資促進策を次々に打ち出し、株式市場は活況に沸く。ジョコ氏は地方市長の出身で本格的な外交は未経験。国内での実直な政策運営と、異なる社会背景を持つ外国との関係維持をうまく両立できるかが焦点だ。

 特に隣国であり、米軍も駐留する豪州とインドネシアの関係悪化は、北方から中国が影響力拡大を図るアジア太平洋の安保で不安要因となる。13年11月に豪情報機関によるユドヨノ前大統領らの盗聴疑惑を理由に、協力関係をいったん凍結。14年8月に正常化したばかりだった。

 経済成長が低迷するブラジルなどにとっても、東南アジアで最大の人口と経済規模を擁するインドネシアの存在は大きい。ただ、カラ副大統領は、ブラジルからの防衛装備の調達の見直しを検討する構えだ。

 インドネシアでは当面、日本人の死刑囚はいない。ただ、2人が麻薬犯罪で服役しているほか、判決は未決ながら麻薬関連の容疑で拘留されている日本人も2人いる。

2015/02/25 本日の日本経済新聞より「株高持続の条件(上)」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「株高持続の条件(上)」です。





企業はリスク取る挑戦を ブラックロック・ジャパン取締役チーフ・インベストメント・オフィサー 河野真一氏

 ――株式相場の上昇基調が強まっています。

 「足元の株高は金融緩和などが支えてきたが、企業も自ら利益を生み出そうと動き出している。その象徴が設備投資の増加だ。経済統計にも兆しがあるが、投資先を調査するため全国の企業を回っても増加は実感できる。古くなった設備の更新需要が中心だったところに、将来の景気回復を見越した増産などへの成長投資がみられ始めている。経営者のマインドは前向きになってきた」

 「賃金の上昇も見込まれる。個人消費の拡大につながるが、同時に労働生産性が高まらないとコスト増が利益を抑える恐れもある。焦点は情報通信技術(ICT)投資がどれだけ増えるかだ。テクノロジーの利用で生産効率は大きく向上できる。この好循環が続けば今年の相場は高値を追う展開となるだろう」

 ――海外投資家は日本株をどう見ていますか。

 「これまで買っていたのは短期的な投資家が中心で、長期投資家は日本経済の改善にまだ半信半疑だ。長期マネーの本格流入には、日本企業がリスクを取る挑戦が必要だ。新たな成長へ大型の設備投資やM&A(合併・買収)に踏み切る例が増え始めた。利益成長で自己資本利益率(ROE)も上昇する。企業の変革の動きが広がれば、日経平均株価は2万円が視野に入る」

 ――安倍政権の成長戦略はどう評価しますか。

 「法人税減税をはじめ評価できる。最大の注目は環太平洋経済連携協定(TPP)の行方だ。規制や関税のハードルが下がり、新規参入で農業や医療といった規制の多い分野や地方経済に刺激を与えれば、生産性の向上が期待できる」

さらなる賃金上昇が必要 米グッゲンハイム・パートナーズ最高投資責任者(CIO)スコット・ミナード氏

 ――日本株に買いが続くにはどんな条件が必要でしょうか。

 「アベノミクスの第3の矢がカギだ。第1と第2の矢はうまくいった。第3の矢はまだ評価しづらい。賃金上昇が、まだ十分でないためだ。日銀の金融緩和で物価が上がっても、賃金が上がらない限り国内の消費拡大に結びつかない。経済成長を賃金の上昇と生活の質の向上につなげる必要がある」

 「労働人口を増やすための努力も不可欠だ。米国は増加が続くのと対照的に日本は働き手が減っており、それが成長の重荷になっている。現在はイノベーションや資本増強に頼って成長している状況だ。働く人口が増えなければ、長い目で見て日本の繁栄は難しくなるだろう。構造改革は長期的な課題だ」

 ――日本株の先行きをどうみますか。

 「今後も上昇余地はある。原油安と円安の恩恵で輸出関連企業を中心に収益が今後も改善するとみられるからだ。日銀の金融緩和も、株高につながるだろう」

 「だが、世界的な比較では、バリュエーション(投資尺度)で日本より魅力的な市場があるのは確かだ。アジアでは中国やインドのほうがおもしろさがある。欧州ではスペインやイタリア、ドイツ株のほうが割安で、投資の魅力がある」

 ――米連邦準備理事会(FRB)の利上げはどんな影響があるでしょうか。

 「歴史を振り返ると、利上げ後は短期的ショックで売りが出てもその後の株価は戻っている。気がかりは、米経済の強さを背景とするドル高で、米国のグローバル企業の海外事業が不利になる点だ。一方、ドル高・円安は日本の輸出企業にプラスの効果がある」



2015/02/24 本日の日本経済新聞より「経営書を読む なぜ、わかっていても実行できないのか(3) 怖い上司の下で働きたいか 前例踏襲・保身に走る恐れ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「なぜ、わかっていても実行できないのか(3) 怖い上司の下で働きたいか 前例踏襲・保身に走る恐れ」です。





 人は怠けるから成果を出すためにはプレッシャーを与えて緊張感を持たせる必要がある、と考え恐怖政治を良しとする組織があります。フェファーらはそれを否定しており、「怖い上司ほどスゴ腕だと信じている人は少なくないが、そのような上司の下で働きたいという人に会ったことはない」と述べています。

 新しいことにチャレンジするには、組織に信頼関係と安心感があることが必要です。すぐに職を失ったり、自尊心が傷つけられたりする恐れがある環境では、前例に従い身の安全を図りたくなるものです。上司を恐れて問題を隠してしまうような事態は本末転倒です。逆に悪い知らせを早く伝えた人こそ、ほめられるべきです。

 フェファーらは「行動して成功しなかったことではなく、行動しなかったことを罰すべき」と主張します。そのような組織になるには、リーダーが率先して自分の失敗を語ること、特に、失敗から学んだ経験を共有することが重要です。

 評価指標は重要事項に絞った単純なものが良く、誰もが努力すれば良い評価が得られるように、公平でなければなりません。企業活動は相互に依存しており、個人の業績や貢献度を測るのは難しいのです。プロセスや結果に至る行動を評価し、それらが企業文化や戦略に合っているかを俯瞰(ふかん)して見ることが大切です。

 過度な社内競争が妨げになる場合もあります。良い仕事をすることと、他人を打ち負かすことは別です。一握りの勝者以外全て敗者になると自尊心も組織への忠誠心も失われ、転職に伴う知識の流出やコストも負担となります。人と協力して仕事をする能力と意欲のある人を採用し定着させる、同僚たちの成功があって初めて個人の成功と言える、という文化を培うことが重要です。

 それにはリーダー自身が共同で仕事をしたり、助け合ったりして手本を示すことが必要です。

2015/02/24 本日の日本経済新聞より「経済教室 長期金利が示すもの(中) 国債、流動性失い乱高下も バブル招く懸念併存 倉都康行 RPテック代表取締役」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「長期金利が示すもの(中) 国債、流動性失い乱高下も バブル招く懸念併存 倉都康行 RPテック代表取締役」です。





 日本では5年物国債利回りが先月、一時的にマイナス金利となった。低金利の嵐は欧米にも吹き荒れ、いまや先進国共通の現象といえる。

 欧州では長期金利が1%を割り込む国が続出し、ドイツやデンマークの10年債利回りは日本を下回る。欧州10カ国では中短期債利回りがマイナスに落ち込み、スイスでは10年債すら一時マイナスとなった。今年の利上げが濃厚とみられている米国でも10年債は最近まで1%台で推移した。

 世界的な長期金利の低下は、台頭し始めたディスインフレ(インフレ率の低下)やデフレへの懸念の反映であるが、その低下スピードを、原油安とともに主要な中央銀行による金融緩和が加速していることも明らかだ。

 米連邦準備理事会(FRB)や英イングランド銀行(BOE)は既に量的緩和を終了したが、低金利政策は維持している。物価上昇目標の達成に苦しむ日銀は、巨額の国債購入を継続中である。デフレにおびえる欧州中央銀行(ECB)も1月にドイツ勢の猛反対を押し切って量的緩和の導入を決定したばかりだ。

 日欧国債の最大の買い手は中銀となり、最終的には中銀が買うから不合理な価格でも(つまり金利がどんなに低くても)買うという行動が起きる。冷静な経済分析や投資判断が入り込む隙はない。

 日本では異次元緩和の効果がなかなかみえないことも超低金利定着の背景にある。当初は円安が輸入物価を押し上げ消費者物価指数は上向いたが、円安一服に原油安が加わり足元では一転してインフレ率が低下し始めている。エネルギーを除く指数も昨年初めから鈍化傾向がみられており、必ずしも原油安だけが原因とは言い切れないところもある。賃金も実質ベースでは低下傾向が止まっていない。

 巨額の国債購入が財政ファイナンス(財政赤字の穴埋め)に近似するリスクへの警戒感もあるが、現時点での注目はむしろデフレとの戦いに注がれており、「日銀は追加緩和に踏み切らざるを得ない」との思惑が一段の金利低下を促してきた。恐らくユーロ圏市場も同じ軌道をたどり始めることになるだろう。

 一方で、米国は量的緩和による景気回復に成功した、といわれる。確かに米国経済はいまや「独り勝ち」の状態で、今年も3%前後の成長を遂げそうだ。だが物価や賃金の上昇力は鈍く、FRBの目標とする2%のインフレ率の早期達成を阻んでいる。

 FRBは6月利上げの路線を堅持しているが、債券市場にはディスインフレ構造からの早期脱却は困難との見方が根強く、30年債利回りは年初に過去最低水準を更新した。日本やユーロ圏の金利水準があまりに低いため、投資先に悩む世界のマネーがより高い利回りを求めて米国債市場へ流入し、長期金利が合理的と思われる水準を割り込んでいる、という側面もある。

 また、FRBと同様に量的緩和を終了したBOEも、昨今の物価上昇率の低迷を背景に利上げ先送りの姿勢をみせており、同国の長期金利は一時1.5%前後へ低下した。

 量的緩和が生み出す長期金利の押し下げ圧力は、住宅ローン金利引き下げや低利融資など様々なルートで景気を刺激する。だが、実体経済に見合わない水準にまで金利が低下すれば、様々な副作用を通じて「市場金利が実体経済との整合性を失うリスク」を高めてしまうことにもなる。

 懸念材料として、第一に、投資に見合わない金利水準の市場から投資家が去り、取引量が大幅に減ることが挙げられよう。国債が量的緩和を通じて市場流通分が中銀に吸い込まれた結果、市場の流動性が枯渇して円滑な売買ができなくなれば、何らかの原因で大量の売買ニーズが発生した場合に深刻な問題が生じる。

 それは、市場で売りたくても売れない、買いたくても買えない状況になり、価格が急激に変動してしまう懸念だ。実務的には、流動性は月間売買量で計るものではなく、希望する売買金額が納得しうる価格で取引できるかどうかで判断されるものなのである。

 流動性の蒸発現象の代表例として、1987年に起きた日本国債での「タテホ・ショック」が思い出される。タテホ化学工業が債券の財テクで失敗して多額の損失を出したことを機に、長期金利は当時、真空地帯を抜けるように半年足らずの間に2%台から6%台へと急騰した。パニックが起きた時に緩衝材として働く流動性が無ければ、こうした状況が再び国債市場を襲う可能性は否定できない。

 第二に、超低金利の長期化で投資資金がより高いリターンを求め、ハイリスク商品へ流れやすくなることが挙げられる。不動産や株価が活気づくのは良いことだが、合理的水準を超えた価格上昇やリスク管理が甘い商品の増殖といった「資産バブル」は、過去に何度も痛い目に遭ったはずなのに絶えず繰り返される。

 市場流動性の欠如と資産バブルという二層構造は、市場の脆弱性を増幅する。米国では量的緩和の副作用として投資不適格のジャンク債やレバレッジドローン(信用力の低い企業向けの融資)市場でバブル気味の状況が生まれたが、昨年来の原油安でエネルギー関連企業への経営不安が強まり、一部社債やローンの投げ売りが出て価格が急落するという現象が起きている。

 米国では、金融規制強化の観点から投資銀行の自己ポジションに大きな制約がかかっていることも、流動性問題を深刻化させている。国債の低金利に引きずられるように他のリスク資産の利回りも低下しており、急激な反動が起きれば、リーマン・ショックほどではないにしても、資本市場の大混乱を呼び込み、好調な実体経済にまでその影響が及ぶことは否定できない。

 第三の問題は、長期金利が合理的水準から外れることで「市場シグナル」としての機能が低下し、政府の財政規律の緩みに対してブレーキが利かなくなったり、資本の適正配分ができなくなったりすることだ。市場機能の低下が商品開発や資産運用あるいは金融工学など「金融力」の衰退に拍車を掛ける恐れもある。

 第四に、銀行経営への悪影響が挙げられる。日本では、本業である貸し出しで総資金利ざやがマイナスとなる銀行が散見されるが、今3月期決算では恐らくその数はかなり増えるだろう。多くの邦銀は、国債などの証券運用でも内外で長短金利差が急縮小したために期間収益を満足にとれなくなっているはずだ。そんな逆風のなかで、経営基盤の脆弱な地銀が貸し出し意欲を失い始めている、との指摘もある。それは地方創生への大きな打撃となりかねない。

 もっとも、昨年来の原油価格の急低下が長期金利を混乱させていることは否定できない。日米欧中銀は、原油安の物価への影響は一時的で、むしろ長期的には経済成長にプラス材料となり、物価もいずれ上向くとの見方をとる。

 だが機関投資家の間では、米ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授が指摘するような「世界経済は長期停滞の状態にある」との仮説を支持し、ディスインフレが長期化するシナリオを採用し始めたところも少なくない。昨今の世界的な景気減速感でそうした投資方針が広範囲に波及すれば、各国の長期金利が一層低下することもありうる。

 その将来像の最悪なパターンは、流動性を失った超低金利の国債が「リスクフリー資産」ではなく「リターンフリーのリスク資産」とみなされ、投機筋の売買対象に転落してしまうことだ。長期金利の急騰は為替や株価も乱高下させ、我々の日常生活を大きく揺さぶることになる。財政赤字の拡大だけが「国債リスク」の源泉ではないのである。

<ポイント>○日欧中心に中銀緩和が低金利の嵐を呼ぶ○取引減少で価格が振れやすくなる可能性○リスク資産に資金流れ市場が不安定化も

 くらつ・やすゆき 55年生まれ。東大経卒。旧東銀、チェース・マンハッタンを経て現職

2015/02/24 本日の日本経済新聞より「ビジネスTODAY 雪国まいたけ、脱・創業家へ奥の手 米ファンドTOBに賛同、水面下で周到に準備」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業2面にある「雪国まいたけ、脱・創業家へ奥の手 米ファンドTOBに賛同、水面下で周到に準備」です。

株式で受けている融資の焦げ付きを鞘にした手法があるとは、驚きました。





2015/02/23 本日の日本経済新聞より「グローバルオピニオン 近隣の友情を「買う」中国 清華大学現代国際関係研究院院長 閻学通氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「近隣の友情を「買う」中国 清華大学現代国際関係研究院院長 閻学通氏」です。

中国の大学教授の中には、国の施策に意見を述べることで当局から拘束される事例が相次いでいます。そんな中、閻学通氏は米国のカリフォルニア大学バークレー校の政治学博士号を取得し、中国で北京大学の次に位置づけられる精華大学で教鞭を取る注目の論者です。政権寄りの話が主体ですが、政権のポジションを西側諸国でも分かりやすく説明できる論客として、注目しています。





 2014年11月、中国共産党・政府は8年ぶりに「中央外事工作会議」を開催した。これは外交政策を転換するときにだけ開く会議だ。習近平国家主席は鄧小平氏の時代からの方針を変更した。従来は米国や欧州諸国を相手にする「大国外交」が主軸だった。新たな国際情勢下で習氏が最も力を入れるべきだと主張するのは、近隣国との関係を強める「周辺国外交」である。

 鄧氏の最大の目標は国を豊かにすることだった。一方、習氏は「民族の復興」を果たし、国際社会の尊敬を集めることを目指している。2人のゴールは根本的に異なる。

 経済発展に主眼を置くなら、外交でも「誰とつきあえばお金を稼げるか」と考える。投資を呼び込み、技術を取得するため米欧諸国をはじめとする「大国」を相手にした。

 この政策はもはや通用しなくなった。胡錦濤前国家主席の時代の後半には、日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国といった周辺国との関係が悪化した。なぜか。12年の時点で、中国は世界の124カ国にとり最大の貿易相手国になった。いまや米国を除くすべての国が中国を経済規模で下回る。それなのに外交は鄧路線のままで米欧にばかり目がいっていたのだ。

 自国より経済規模が小さな国とつきあうには一定の配慮が必要だ。たとえば自由貿易協定(FTA)を結び、中国の安い製品がなだれ込めば相手国は脅威に感じる。その場合、中国側の関税を撤廃しても、相手国の関税は残して構わない、といった配慮が必要だ。周辺国に経済の恩恵を与えなければならない。言葉は悪いが友情を「買う」のだ。

 なぜ近隣国の支持が必要になるのか。国際社会の規制やルールをつくるうえで、こうした国々の助けが必要になるためだ。かつては大国同士が天然資源を争ったが、いまは過剰生産の時代だ。モノをつくっても、市場が見つからない。これからはモノを売るための規制やルールを誰が設けるのかが重要になる。ルールは一国ではつくれないのだ。

 中国にとってアジアで最も重要な国は日本だ。日本が中国に友好姿勢を示してくれれば中国の国際環境は劇的に改善する。だが、残念ながら安倍晋三首相は中国との関係が悪い方が好都合と考えているようだ。日本との関係改善が無理ならば、中国はせめて関係悪化を防ぐべきだろう。

 中国が理想とすべきなのは唐の全盛期、貞観の治(627~649年)と呼ばれた時代ではないだろうか。国内の調和がとれ、近隣国との関係は良好だった。唐に限らずエジプト、ローマ、英国といった帝国がいずれも永続しなかったのは改革が滞ったからだ。習氏の政策を評価しているが、それは様々な改革に力を入れているからだ。

(談)

Yan Xuetong 中国を代表する国際政治学者の1人。米カリフォルニア大学バークレー校政治学博士。2010年から現職。62歳。

2015/02/22 本日の日本経済新聞より「がん社会を診る 県別比較で分かること 中川恵一」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「県別比較で分かること 中川恵一」です。





 前回紹介したように、47都道府県中で、平均寿命が日本一で、がんの死亡率も全国で最も低いのが長野県です。逆に、ともにワーストなのが青森県です。厚生労働省の調査では、2013年の青森の男性の喫煙率は全国1位、女性も2位でした。

イラスト・中村 久美

 別の調査からも、青森は肥満指数がトップ級で、酒を飲む人の割合も食塩摂取量も高い傾向がある一方、野菜摂取や1日の歩数が足らないというデータが出ています。長野県民は喫煙も肥満も少なく、野菜摂取量は男女とも1位ですから、その差は歴然です。

 これまで長寿県の代名詞だった沖縄は、米軍の占領を機に、高脂肪・高カロリーの食事が広まりました。若い世代の死亡率が高くなり、男性の平均寿命は、10年には30位まで下がりました。

 沖縄はエネルギーを脂肪でとる割合が高く、肥満者の割合が1位ですが、野菜摂取量は男女とも下位です。少しの距離でも車を利用する社会であることも運動不足を招いていると思います。ただ、沖縄の女性は以前より順位を下げたといっても、平均寿命で3位を維持しています。男性に比べて女性の方が、生活習慣が変わりにくいためでしょう。

 さて、この沖縄で目立つがんは大腸がんで、13年の死亡率は全国2位です。沖縄の高脂肪食や野菜不足、運動不足、肥満などが、大腸がんのリスクを高めた可能性があります。大腸がんと並ぶ欧米型のがんの代表である前立腺がんも2位です。

 沖縄が全国で一番死亡率が高いがんは、意外にも、白血病です。鹿児島、宮崎、佐賀、長崎の各県も上位に並んでいます。これは、白血病の一つである「成人T細胞白血病」の原因となるウイルスが九州・沖縄に多いからです。

 白血病と並んで、九州、とくに佐賀や福岡に多いのが肝臓がんです。これは、肝臓がんの原因の7割以上を占めるC型肝炎ウイルスの感染が九州北部で多いことと関連しています。

 一方、沖縄は胃がんによる死亡率が最も少ない県です。胃がんを増やす食塩の摂取量が全国一少ないからです。逆に、胃がん死亡率のワーストは秋田で、青森、山形と塩分摂取が多い傾向にある東北の県が続いています。がんにも県民性があるのです。

(東京大学病院准教授)