大機小機 財政は立て直せるのか 2015/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 財政は立て直せるのか」です。





 ギリシャの債務危機はとりあえず小康を得たが、翻って日本の財政再建は大丈夫なのか。

 政府は6月末に新たな財政健全化計画を公表した。2020年度に国・地方の基礎的財政収支の黒字化を目指すという。

 基礎的財政収支というのは、税収のみで政策的経費を賄うとした場合の収支のことである。

 名目成長率と長期金利(国債金利)が等しい状態で基礎的収支がバランスしていれば国債など長期債務残高の国内総生産(GDP)比は一定だ。金利が成長率を多少上回っても基礎的収支の黒字が確保できればやはり安定する。

 長期債務残高の名目GDP比はこの10年で倍増し今年度末には2倍を超える見通しだが、この上昇にストップがかかれば長期債務は管理可能だ。この意味で基礎的収支を財政健全化指標とした小泉純一郎政権以来の方針が堅持されていることは評価できよう。問題は目標が達成できるかだ。

 新財政健全化計画にあわせて内閣府が示した中長期の財政見通しでは、成長率の前提を名目3%、実質2%とする経済再生ケースでも、20年度に6.2兆円の赤字が残る。この見通しは甘すぎないか。試算では20年度の税収を約69.5兆円とみている。今年度予算では54.5兆円だから今後、年率5%で増加すると想定しているわけだ。

 成長率に対する税収の伸び率(税収弾性値)は実に1.66になる。ちなみに1970年度から昨年度までの税収弾性値は1.05である。税率が累進的な個人所得税の比重が低下していることを考慮すれば今後も1程度とみるべきだ。

 成長率3%という想定自体、かなり現実離れしているうえに、税収弾性値を高く見過ぎている。

 一方、歳出。基礎的財政収支対象経費は年率2.3%で増加するとみている。15年度までの5年間では0.55%で伸びてきた。

 政府の姿勢をみる限り歳出見通しの方は案外、的を射ているのではないか。来年度政府予算の概算要求基準が決まったが、歳出総額の上限を設定しないのだという。昨年からの税収増で早くも歯止めがきかなくなったのだろう。税収を過大に見積もっているのだから、歳出削減に不退転の覚悟で取り組まなければ財政再建は危うい。

(一直)



中国株動揺(下)習指導部、市場に脅し 改革後退懸念広がる 2015/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「中国株動揺(下)習指導部、市場に脅し 改革後退懸念広がる」です。

完成バブルでも仕掛けんかの中国のなりふり構わぬ市場介入は、いずれ自らバブルを呼び、史上崩壊の大惨事になるものと思われます。経済をカネで御そうとすればするほど、御せなくなる負のスパイラルに中国は陥りそうです。





 株価急落後の混乱が収まらない上海株式市場で、政権の思惑が株価を左右する「官製相場」が再現される場面があった。演出したのは習近平国家主席だ。

 「高速鉄道は中国の対外協力の目玉商品だ」。習氏は今月17日午前、国有鉄道車両大手、中国中車の傘下企業(吉林省長春市)を訪れ、こう持ち上げた。中国中車の株価はこの日、一気に6%超上昇し、習氏は「中国経済は総じて良好だ」と地元幹部に強調した。

 上海の株価は政策期待がけん引し、企業業績や実体経済とかけ離れる形で6月中旬までの1年間で2.5倍に膨らんだ。中国の今年上半期の実質成長率は前年同期比7.0%と、今年の政府目標である「7%前後」に踏みとどまったが、景気の実態はより厳しいとの見方が強い。

 今年上半期の金融業の国内総生産(GDP)の伸びは17.4%と、成長が鈍るほかの産業を尻目に突出した。株高やその後の乱高下に伴う株取引の急増がGDPを押し上げる形となったのだ。「金融業のかさ上げ分を除いた6%台前半の成長率が実感に近い」と、北京の金融筋は指摘する。

 上海の株価は6月12日から7月8日までに3割超も急落した。経済が想定を超えて悪化すれば、失業増など社会不安を引き起こす恐れがある。焦りを強めた習指導部は、強権を振りかざし、動揺を力ずくで抑え込む手法に打って出た。

 新規株式公開(IPO)を強制的に延期する一方、証券会社の資金を投入して露骨な株価維持策(PKO)を講じた。公安当局は「悪意ある空売りを取り締まる」と市場に脅しをかけ、共産党は「株価問題を政治問題化するな」と国内報道機関の言論統制を強めた。

 強権で安定を保った代償は大きい。IPOの強制停止により、株式市場を通じて新興企業を育成するという理念は色あせた。習指導部がめざす国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)への人民元の採用も、海外を中心に「確率が低下した」(BNPパリバ)との見方が広がった。

 「応急措置は短期的なものだ」。習指導部の意向を映す共産党機関紙、人民日報は23日、株価対策は市場安定のためのやむを得ない措置であり、「改革は後退しない」と主張する論説を載せた。

 構造改革が遅れれば、中国経済の持続的な成長が難しくなるだけではない。改革の旗を掲げてきた習氏の権威が失墜し、経済政策に名を借りた政治闘争にさえ火が付きかねない。そんな危機感がにじむ。

 27日、いったん小康状態になっていた上海株が再び大幅に売られ、前日比8%安と約8年5カ月ぶりの下落幅を記録した。株価対策が近く終了するとの観測が市場に広がったのがきっかけだった。市場は国家の思惑通りには動かない。

(北京=大越匡洋)



中国株動揺(上)「買い手は政府だけ」 不満を恐れ、なりふり構わず 売り圧力はなお強く 2015/07/30 本日の日本経済新聞より

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 中国株の急落が習近平指導部を揺さぶっている。民衆の不満が政府に向かうことを恐れる指導部は、なりふりかまわぬ株価対策で市場の動揺を抑え込んだようにみえるが、「買い手は政府だけ」で売り圧力はなお強い。株価を支える極端な介入策は、習指導部が進める市場重視の改革に水を差す可能性もある。

(上海市)

証券会社の店頭で株式を売買する個人投資家
(上海市)

 「中国政府が株価対策をやめたら市場の状況はさらに悪化する。株価対策をやめることはできないはずだ」

 上海総合指数が前週末比8.5%安と約8年5カ月ぶりの急落を記録した27日、香港に本社を置く資産運用会社、恵理集団のディーリングルーム。上海株の運用を担当する李以立シニアファンドマネジャーは点滅しながら急落していく株価を見つめ、こう考えていた。

 この日、市場では「中国政府が株価対策を縮小する」との思惑が渦巻いていた。2014年夏から始まった強気相場の主役だった個人の信用取引は非正規分を含めると市場推計で2兆4000億元(約48兆円)も減った。今や市場を支えているのは政府の株価対策しかない。市場の噂通り、中国政府が株式市場から「退出」すれば、相場が下落することは確実だった。

 李氏の読みが当たり、証券監督当局は27日深夜、「中国証券金融は市場を安定させるために株式買い入れを続ける」と発表、「中国政府が株価対策を縮小する」との見方を完全否定した。中国人民銀行(中央銀行)も28日朝、「下期も穏健な金融政策を続ける」と緩和気味の金融政策で株式市場を支援する意向を示した。

 株価対策の継続発表を受けて、上海市場は再び落ち着きを取り戻しつつある。上海総合指数は29日、前日比3.44%高の3789で終わった。だが「中国政府といえども、永遠に介入を続けることはできない」(瑞銀証券の汪濤チーフエコノミスト)。それでは今後中国政府はどういう手段を打ち出すのか。

 国務院(政府)は24日、貿易促進策の一環として人民元の変動幅を一段と拡大すると発表した。これを受けて市場では「中国政府が今後、穏やかな人民元安により寛容になる」(英バークレイズ)との見方が浮上している。人民元安による輸出増をテコにした株式相場支援策だ。

 世界取引所連盟(WFE)によると、上海市場の時価総額は6月末時点で米ニューヨーク、米ナスダックに次ぐ世界第3位の規模だった。深圳市場と合計すると世界第2位となる。だがその内実は先進国とは比べようがない。中国の国有上場企業は規制や支配株主である政府の動向を重視し、投資家が最も重視する技術革新(イノベーション)を二の次にしてきた。

 株式相場を安定させるには、政府の市場介入や売買停止などびほう策に頼るのではなく、上場企業がイノベーションの追求によって魅力を高める努力が不可欠となる。

(上海=土居倫之、香港=阿部真也)

金利規制がバブル誘発 マネーの流れ、いびつに

 【上海=土居倫之】中国で常に投資バブルが発生してきた要因の一つが、金融システム保護の名目で低く抑えられてきた銀行の預金金利だ。かつては物価上昇率を下回ることもあり、余剰マネーが利ざやを求めて移動し、バブルを生み出す歴史を繰り返してきた。

 中国では2013年末時点で50万元(約1000万円)を超える大口預金者が預金者全体の0.37%しかいない。多くの国民が低すぎる預金金利に魅力を感じず、余ったお金を不動産や株式のような投資商品に振り向けてきた。

 余剰マネーは06年以降、まず株式に流入し、そこから不動産、そして信託商品に代表される理財商品へと移動した。14年、相次ぐ債務不履行(デフォルト)騒動で理財商品ブームが去り住宅価格も下落に転じると、行き場を失った資金は再び株式市場に流れ込んでいた。

 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は3月、預金金利の上限規制について「今年なくす可能性が非常に高い」と述べた。その言葉通り金利の自由化を実現し、いびつになったマネーの流れを正常化できるかが試されている。



辛言直言 文理のあり方(上) 理系学部、英語を公用語に 米カリフォルニア大教授 中村修二氏 2015/07/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の大学面にある「辛言直言 文理のあり方(上) 理系学部、英語を公用語に 米カリフォルニア大教授 中村修二氏」です。





 青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏は、米カリフォルニア大の教授として61歳の今もレーザー照明の研究開発の最前線に立つ。政府は世界最高水準の研究力・教育力を備えるための大学改革を目指している。英語習得で苦労したという中村氏に、実体験などから世界に通用する理系の高等教育の課題について聞いた。

 ――一連の改革の中で、政府は英語教育を強化する方針を打ち出しています。理系のグローバル人材育成に役立つでしょうか。

 「正しい方向だが、まだ全く不十分だ。世界をみると理系や文系を問わず最先端で活躍している層の大半は英語が流ちょうだ。そうした一流の人材と渡り合って認められるためには高いレベルの英語習得が不可欠だ。英語教育のレベルの低さのせいで日本は世界のグローバリゼーションの波から置き去りにされている」

島国根性改めよ

 「まだ日本の多くの大企業では英語が上手だと『あいつは語学屋だ』と嫉妬されることが多い。そんな企業文化のせいで家電メーカーなどは長く国内市場にとらわれ、欧米や中韓の企業に世界のマーケットシェアを奪われる結果となった。日本はまずこうした島国根性を改める必要がある」

 ――日本の研究者の英語力を高めるためにどのような施策が必要でしょうか。

 「少なくとも理系の学部では英語を公用語と位置づけて、学内でしゃべるときは英語に限るなどラジカルな改革が求められる。子どもが人生の早い段階で集中的に英語教育を受けられる機会を増やさないといけない。家族とともに海外で語学を習得するための休職制度を企業に設けるのも一案だろう。米国では子どもに新たな語学を身につけさせるため家族ごと外国に1年くらい移り住む例は少なくない」

 ――政府内では研究者の海外流出を懸念する声も聞かれます。

 「そういう心配をする人はグローバル化の意味をわかっていない。意欲がある優秀な人材がどんどん国外に出て活躍するのはむしろ望ましいことで、結果的に日本のためになる。私も海外で働くことで日本に貢献していると自負している」

 「何でも日本において日本人で全てやろうという考えを捨てなければいけない。日本人のノーベル賞受賞者を増やすべきだという議論も意味があるとは思えない。世界経済や人の流れがこれだけボーダーレスになっているのに、日本だけが突出して自国に強いこだわりを持ち続けている」

恵まれた点も

 ――一方、海外から見て日本の高等教育の強みはどこにあるのでしょうか。

 「国民性や道徳教育のおかげで日本人は世界のどの国民と比べても極めてまじめだ。研究開発のために必要な装置や機材を特注すれば、日本企業はきちっと与えられた図面通りに期限内に作ってくれる。米国ではそんな事例はほとんどない」

 「日本の研究者はこの点、非常に恵まれており、日本は今後も世界のイノベーションセンターの一つであり続けるだろう。ただ、新たな技術を開発しても、世界に売り込む人材が不足していたら激しいグローバル競争で負け続ける。モノ作りを商売よりも上位に置く江戸時代以来の身分制度の意識を変える必要がある」

 ――日本の暗記中心の大学受験の弊害をかねて指摘されています。

 「受験のために求められる激しい暗記作業が最も大事な生徒の学問への興味や意欲、創造性を損なう結果となっている。未開地で様々な壁をぶち破っていく人間を育てないと日本経済も大きな成長は見込めないが、異能の人材にとって息苦しい画一的な日本の教育制度ではそうした起業家タイプの人材は育ちにくい」

 ――日本のベンチャー企業育成の必要性を訴えられていますね。

 「日本ではベンチャー企業はまず国内で成功した上で海外に向かうというパターンが大半だ。私は米国で2つのベンチャー企業を経営しているが、立ち上げ段階から当然のように世界市場に照準を合わせている。ドイツや中国、台湾、シンガポールの起業家も同様だ。日本の若い世代には最初から世界進出を視野に起業してほしい」

(サンクトペテルブルクで、田中孝幸)



中国不安、米市場に波及 NY株、半年ぶり低水準 資源関連に売り圧力 2015/07/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「中国不安、米市場に波及 NY株、半年ぶり低水準 資源関連に売り圧力」です。





 【ニューヨーク=山下晃】中国株式市場の動揺が米国市場にも広がってきた。27日の米国市場ではダウ工業株30種平均が5日続落し、ほぼ半年ぶりの安値となった。28日は上昇して始まったが上値が重い。発表が相次ぐ米主要企業の決算は主にドル高が負担となり、さえない。中国景気減速への懸念で商品相場の下げが続き、資源関連株への売り圧力も続いている。

 昨年末比の騰落率をみると、28日午前のダウ平均は約2%安い。日経平均株価(16%高)やドイツ株価指標(12%高)を大きく下回る。市場では「米国の株価がさえない主な要因は企業の業績」(ブラックロックのストラテジスト、ケステリッチ氏)との見方が多い。

 2015年4~6月期の決算発表では、キャタピラー、マイクロソフトなど業績が事前の市場予想を下回る例が相次いでいる。米主要企業の4~6月期決算について、すでに発表された結果とアナリスト予想をもとに調査会社トムソン・ロイターが集計したところ、24日時点で前年同期に比べ0.3%の減益だった。

 14年4~6月期は9%近い増益を保っていただけに減速感は鮮明だ。

 中国景気への不安に端を発する商品相場の下げが追い打ちをかける。原油先物相場は新たに中国景気の減速に伴う需要減の観測という重荷を負った。28日も売りが優勢で推移している。

 S&P500種株価指数の業種別騰落率を年初来でみると「エネルギー」はマイナス13%で、最も大きな下落幅を記録した。ダウ平均採用銘柄ではエクソンモービルやシェブロンの下げが目立っている。

 影響はエネルギー関連にとどまらない。ゴールドマン・サックスは27日、機械業界への投資判断を「中立」から「警戒」に引き下げた。

 中国不安は債券市場にも広がる。エネルギー関連企業の発行が多いハイイールド債券(信用リスクが相対的に高い一方、利回りも高い債券)に投資する代表的な上場投資信託(ETF)「SPDRバークレイズ・ハイ・イールド債券ETF」への売りが目を引く。



新興国 マネー流出加速 中国株安で市場動揺 ドル実効レート、12年ぶり高値 2015/07/29 本日の日本経済新聞より

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 新興・資源国からの資金流出が加速している。中国株が再び下落基調を強めたことを受け、外国為替市場ではインドネシアや南アフリカなどの通貨が軒並み歴史的な低水準に下落した。中国経済の減速が世界経済の停滞につながるという警戒感が強まっている。流出した投資マネーは米ドルに集まっており、米ドルの総合的な実力を示す実効為替レートは約12年ぶりの高値を記録した。

 27日から28日にかけて新興・資源国通貨が対米ドルで安値を付けた。インドネシアルピアはアジア通貨危機の影響が残る1998年8月以来、約17年ぶりの低水準。南アフリカランドは約13年ぶり、ブラジルレアルも約12年ぶりの安値を記録した。中国との貿易が活発なオーストラリアドルも約6年2カ月ぶりの水準まで下落した。

資源国にも連鎖

 週明けから中国株が再び崩れたことが新興・資源国通貨の総崩れにつながった。6月下旬の急落後にいったん落ち着いた上海総合指数は今週2日間で10%超下げた。6月12日の直近ピークと比べると約3割安い。

 中国経済が一段と減速すれば資源需要が弱まるとの見方から国際商品市況も悪化。新興国だけでなく、資源国の通貨にも売りが連鎖した。

 インドネシアや豪州などは今年前半に中央銀行が利下げに踏み切った。自国通貨安で輸出競争力を高め、景気を下支えする狙いがあったからだ。ところが「肝心の需要国である中国景気の減速で輸出増による景気下支えどころか、通貨安による資金流出を加速させた」(三井住友銀行の岡川聡氏)という皮肉な結果を招いている。

 新興国も通貨防衛に動き始めた。マレーシアリンギは安値を付けた後に下げ渋ったが、市場では「中銀がリンギ買い・外貨売りの為替介入に動いた可能性が高い」という指摘が出ている。ただ介入の原資になるマレーシアの外貨準備高は7月15日時点で前年同期から約2割減り、介入の余力が確実に弱まっている。

 新興・資源国から流出した投資マネーの受け皿になっているのが米ドルだ。週初に米ドルの実効為替レートは2003年4月以来、約12年ぶりの高値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)の年内利上げ観測も中国株安と相まって米ドル買いを後押ししている。

円は売られず

 バンクオブアメリカ・メリルリンチのカマル・シャーマ氏は米ドル高の加速について「利上げ観測が強まる米国と緩和が目立つ新興国の差が際立つためだ」と指摘する。ただ米ドル高は米輸出の悪化要因になるため、米景気の先行きを不安視する声も出始めている。

 一方、円はドルに対して大きく売られず、1ドル=123円台を中心にもみ合っている。中国経済の減速からリスク回避目的で円にもマネーが流れているためだ。



上海株乱高下、動揺続く 一時5%安、上昇の場面も 2015/07/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合2面にある「上海株乱高下、動揺続く 一時5%安、上昇の場面も」です。





 【上海=土居倫之】中国・上海株の動揺が収まらない。市場全体の値動きを示す上海総合指数は28日、前日比5%安に急落したあと一転して上昇するなど乱高下した。景気への懸念が強まるなか、中国政府はあからさまな市場介入で株価を押し上げようとする姿勢を変えていない。しかし、その効果には限界がみえ始めている。

 28日の上海総合指数は1.68%安の3663で取引を終えた。中国政府が株価対策を縮小するとの臆測から急落した27日と合わせた2日間の下落率は、10%を超えた。

 証券監督当局は27日夜に「(政府系金融機関の)中国証券金融は株式の買い入れを続ける」と表明した。中央銀行の中国人民銀行も28日朝に「下期も穏健な金融政策を続ける」と発表した。市場にくすぶる「人民銀の金融緩和姿勢が後退しているのではないか」との観測を打ち消すためだ。

 しかし、弱気に傾いた投資家心理を好転させるには力不足だった。

 中国の露骨な市場介入には国際的な批判が高まっている。米ブルームバーグ通信は24日、「国際通貨基金(IMF)が中国に株価対策を解除するよう促した」と報じた。

 瑞銀証券の汪濤チーフエコノミストは「中国政府といえども永遠に介入を続けられない。市場が安定したあとは徐々に介入をやめるだろう。投資家のリスク意識は明らかに高まっており、投資に慎重にならざるを得ない」と話している。



税金考 気になる光景(3) 過熱ふるさと納税 寄付なのにもうかる 2015/07/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「税金考 気になる光景(3) 過熱ふるさと納税 寄付なのにもうかる」です。





 東京都港区に住む金森重樹さん(45)の自宅の冷蔵庫は全国の特産品でいっぱいだ。紋別の毛ガニから丹波の黒豆まで。食材が毎日全国から届く。

 「食費はただ。毎日の食卓は外食よりぜいたく」。こう語る金森さんが使うのはふるさと納税だ。例えば、自治体に10万円寄付すると2千円の手数料を除いた9万8000円を本来払うべき税額から減らせる。自治体から送られてくる返礼分はまるまる得する。

住民税の4倍

 ふるさと納税が今、過熱気味だ。北海道上士幌町は20万円の寄付に「羊牧場の仔羊」1頭を届ける返礼を出しネット上で評判を呼んだ。2014年度の寄付額は町の個人住民税収の約4倍にあたる10億円弱に膨らんだ。全国の自治体では寄付を集めようと返礼品を豪華にする競争が続く。

 08年に始まったふるさと納税による寄付金額は6年間で合計1126億円。各地の自治体と納税者の新たな関係を育み地域の活性化を促した。その新たな息吹を地方の再生につなげられれば良いと思うがどうも様子がおかしい。

 寄付はもともと公益のために私財を投じる行為だ。寄付金を所得から差し引く「寄付金税制」を使えば税負担は軽くなるが寄付したお金と合計すると結局は手取り収入は減る。

 だが、ふるさと納税でざっと200カ所に約300万円を寄付する金森さんの場合、返礼分を入れると手取り収入が実質的に増える。納税すると財布が豊かになる奇妙な仕組みだ。

 ふるさと納税の過熱は新たな段階に入りつつある。

タコが足を食う

 「とられてばかりじゃダメだ」。愛知県小牧市の山下史守朗市長(40)は6月、ふるさと納税で他の自治体に税収が奪われないよう異例の取り組みを指示した。小牧市民が小牧市にふるさと納税をしてくれるよう返礼メニューを作った。1万円を寄付した市民は小牧市内で使える3000円分の商品券がもらえる。

 実は市民から寄付を受けると返礼品を送っても市財政は潤う。寄付に応じて減る税収分は、国の所得税、愛知県の県民税と小牧市の市税で分担するためだ。1万円の寄付に伴う市税の減収分は3840円。寄付収入の1万円から市税の減少分と3000円の返礼代、1000円の郵送料を引くと、2160円の黒字だ。

 国からの仕送りである地方交付税交付金を受け取る自治体の場合、黒字はさらに膨らむ。地方交付税法は税収が減ると交付金で国が補填する仕組みをもうけているためだ。

 「市民が1万円寄付すると、交付金の支給額が7500円増えることになる」(片山善博慶大教授)。山口県のある市長は昨年末、市に寄付するよう職員に指示を出した。補填の原資は国民が納めた税金。たこが足を食うような話だ。

 約1億2600万人の日本の人口はこれから半世紀でざっと4000万人減る。厳しい時代を乗り切るためには、ふるさと納税の熱気をテコに国から地方への権限・税源の移譲や自治体の再々編に取り組む時期のように思えるが……。

お得すぎる寄付 富裕層「食費タダ」も

 ふるさと納税は地方自治体に寄付をすると手数料の2千円を除く寄付額すべてを税金から減らせる。さらに自治体から特産品などの返礼品がもらえ、その分が丸々、お得になる。寄付額は年収ごとに上限が設けられており、富裕層ほどふるさと納税の減税効果が大きい。

 限度額は年収が300万円の人の場合、3万1000円。一方、1千万円では18万8000円、3千万円では106万2000円まで跳ね上がる。一時は「還元率100%」と称し、寄付額と同等の価値のある返礼を出す自治体もあった。

 自治体にとっても富裕層から寄付を受けられるかで寄付額の差が大きくなるため、競争は過激だ。北海道当別町では100万円の寄付に「高級オーダー家具」を、鹿児島県鹿屋市は「特産品1年分」を用意している。100万円以上の寄付ができる年収3000万円以上の人はふるさと納税を利用すれば、1年間の食費がただになる可能性がある。

 関西学院大の小西砂千夫教授は「ふるさと納税が寄付の趣旨から逸脱しお得感を求める制度になってしまっている以上、段階的な見直しは避けられない」と指摘する。お金持ちの減税効果が極端に大きい仕組みも含め改善の余地がある。



夏休みで一気に 私の英語上達法 2015/07/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「夏休みで一気に 私の英語上達法」です。

いろんな方がご自分のライフスタイルやし好に合わせた英語学習方法を開発されており、非常に興味深い記事です。





 グローバル化が進み、英語を学ばなければならないビジネスパーソンが増えている。楽天が英語の社内公用語化を打ち出した2010年以降、英語能力テスト「TOEIC」の受験者数は急増している。一方で勉強が続かない、英語がうまく使えないとの嘆きも多い。そこで、留学経験のない「国内勉強派」4人に、夏休み中に一気に上達が見込めるオススメ勉強法を聞いた。

初級 著名人の英語講演聴く

 受託臨床検査大手のLSIメディエンス、大田正規さん(30)は大学院時代のTOEICは400点台だった。入社後も英語に縁がなかったが、2月から半年間、会社でアルク教育社の英語研修を月に1度受講することになり「英語の勉強に目覚めた」と話す。研修を始めて3カ月でTOEICは720点になり、社長の欧州出張に同行することが決まった。

LSIメディエンス 大田正規さん

 今はもっぱら片道1時間45分の通勤時間を使い、スマートフォンで英語による著名人の講演会「TED」を聴いている。5分程度の短い講演も多く、長くても20分程度で終わるので「集中力が途切れない。夏休みにもお薦めだ」という。

 テーマを見て「おもしろそうだな」と思った講演を選び、3回聴く。最初は英語の字幕をつけ、次は字幕なしで、最後は日本語の字幕をつけて。英語研修の講師から聞き取りやすいと米ポップスデュオ、カーペンターズを薦められたが、「まだ英語の歌詞を完全には聞き取れない」との不安も残る。

 大田さんは今、ドーピング検査の研究に取り組んでいる。LSIメディエンスは世界反ドーピング機関公認の国内唯一の検体分析機関で、2020年の東京五輪・パラリンピック時に海外から多くの研究者が集う予定だ。「それまでに英語で専門用語を交えて会話できるようになっていたいし、そうならなくてはいけない」と語気を強める。

初級 人気漫画の英語版読む

 ケーブルテレビ最大手、ジュピターテレコム(JCOM)の笠原悠さん(27)は学生時代に英語ができる友人がまわりに多く、コンプレックスを抱いていたという。いまはグローバル化が進み英語が必要といわれている時代だ。考えを改め「大人のやり直し英語」をうたう書籍を買ってはみたものの、身についた感じがしなかった。

ジュピターテレコム 笠原悠さん

 英語コンプレックスに苦しんでいた笠原さんに光明が差し込んだのは、英語の漫画本を読んだことがきっかけだ。日本の人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」や「NARUTO―ナルト―」の英語版のセリフと絵とを一緒に読むことで「ストーリーがわかり、うれしい気持ちが自信につながった」。

 音感がいい人には、妻の英語学習法が参考になるかもしれないとも助言する。徹底的に音から入るやり方だ。あらゆるジャンルの洋楽を聴き、発音や単語の意味を学ぶ。1年前に2人で海外に出かけたときには、彼女の方が流ちょうだったと話す。

 実は会社から国際的な情報セキュリティーの専門資格「CISSP」の取得を勧められた。これまで以上に英語を勉強する必要が出てきたので、オンライン英語講座「グローバルイングリッシュ」を始めた。「今は仕事帰りにカフェで勉強することが日課」と笠原さん。今年の夏休みは英語の漫画本を読んだり、講座を復習したりする時間に充てるつもりだ。

中級 手書きカードで猛特訓

 邦銀、米監査法人を経てファーストリテイリングに入社した神保拓也さん(34)。できれば英語を使わないで過ごしたいと思っていたが、日本語だけでは限界を感じていた。

ファーストリテイリング 神保拓也さん

 ファストリでは、会議で1人でも日本語を母語としない社員がいると、英語で話すルールができた。このためいいたいことがいえない。「オブザーバー状態であまりにもどかしく」英語を勉強すると腹を決めた。

 数カ月前から行き帰りの通勤時間にNHKラジオ講座では最も難しい「実践ビジネス英語」を聴いている。能力以上のレベルにしたのは、モチベーション維持のためだ。入門編の英語がわからないと気持ちが萎える。段階を追って勉強すれば時間がかかる。「だったら短期間に最高峰を乗り越えようと考えた」

 今は会議で外国人が話す内容の85%は理解できる。TOEICは20代半ばの600点から880点に上がった。

 もう一つ取り組んでいるのはカードを使った独自の単語・会話勉強法だ。表に書いた日本語を3秒以内に英語で話し、裏の英語と見比べる。間違っていたら「留年ボックス」に入れ翌日も試す。正解なら「卒業ボックス」に。名付けて「イングリッシュ・ユニバーシティー」だ。

 「まとまった時間がとれる夏休みはカードの手書き時間に充ててはどうか。我が子のように思えて『卒業』まで面倒を見たくなる」とほほ笑む。

上級 目的持ち勉強法を考案

 英語を学ぶには「自分の欲望に忠実な勉強法」に尽きる。コンサルティング会社、アクセンチュアに勤める小田麻奈美さん(30)はこう言い切る。何がしたくて英語を学ぶのか、という目的をかなり具体的に想定して勉強しないと続かない。「あとはそれに向けて、最もふさわしい勉強法を自分でプログラミングすればいい」

アクセンチュア 小田麻奈美さん

 小田さんは昔、ある団体の海外派遣に参加したいと考えた。最低基準はTOEIC900点以上。応募までの1カ月間で目標点を取るため、やるべきことをすべてリストアップした。

 過去の問題集に加え、単語や熟語は「DUO3.0」、会話は「英会話・ぜったい・音読」といった教則本を使い、900点を突破した。残念ながら選には漏れたが、このときに基礎力がついたと振り返る。

 英語力を高めるために、プレゼンテーション前に関連している英単語をリストアップして覚え、想定される質問項目をシミュレーションしながら答えている。米国で調査する際に必要な単語を選び、ノートの左側に日本語、右側に英語を書いて一気に覚えた大学院時代の方法は今も続けている。

 今は、海外拠点と連携した世界規模のプロジェクトを増やすことを目標にしている。そのためには「海外ニュースを見聞きするなどして、専門的な英語も駆使できるようになりたい」と話す。

(1)慣用表現50個覚える(2)シーン別に表現蓄積(3)専門の語彙増やす 田中茂範・慶大教授がコツ伝授

 日英両語が当たり前に使われるグローバル企業の現状にあわせ、日本独自につくり上げたのが「グローバルコミュニケーション能力認定試験」(GC認定試験)だ。試験を監修した慶応義塾大学の田中茂範教授(英語教育学)に、短期間で英語力を引き上げる方法を聞いた。

 ――英語に苦手意識を持っているビジネスパーソンが多いようです。

 「英語はcanかcan’tではなく、doかdon’tで考えるべきだ。自分の持っている英語力で話すという覚悟を決めることがまず大事になる」

 ――初級レベルのよい勉強はありますか。

 「まずは慣用表現を使いこなせるようにする。これを使えば自分の言いたいことを的確に、しかも簡単に表現することができる。夏休みなら50個、状況とともに覚えてみよう。たとえば『ひどいじゃないか』という意味の“How could you?”なら、上司から理不尽なことを言われた状況を思い浮かべながら覚えるといい」

 「加えて基本動詞の意味を改めて確認する。breakは壊すのほか“break one’s bread”なら『パンをちぎる』という意味になる。『力を加えて形や流れを壊す』という意味があるとわかれば、いろいろな表現ができるようになる」

 ――中級向けではどうでしょう。

 「自分の生活シーンのつぶやきを英語にしてデータベース化するとよい。息子のお弁当を作るのはmake his lunchだか、忙しくて作るのがストレスに感じているときは“Why do I 

have to make his lunch?”と表現できる。データベースが豊富になれば、会話や文章を書くときに楽だ」

 ――上級者も磨きをかけるには。

 「専門分野の語彙を増やすことが必要になる。有効なのは日本語のテキストに英単語を書き込む方法だ。日米首脳会談後の共同声明なら、日本側の発表文書にある『(普天間)移設』の箇所に、米国側の文書にある単語relocationを添える。日本語のリポートを外国人の上司に英語で説明するといったバイリンガルな環境では、日本語の文脈で覚えるのが効率がいい」

(聞き手は編集委員 木村恭子)



起業の軌跡 「オイスターバー」広げる カキ浄化施設 決意の投資 ヒューマンウェブ社長 吉田秀則氏 2015/07/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の新興・中小企業面にある「起業の軌跡 「オイスターバー」広げる カキ浄化施設 決意の投資 ヒューマンウェブ社長 吉田秀則氏」です。





 オイスターバーの「ガンボ&オイスターバー」などを28店展開するヒューマンウェブ。今年3月に東証マザーズに上場した。飲食店運営のほか、広島県や沖縄県と連携してカキの養殖にも携わる。創業者で社長の吉田秀則(48)は「生産まで遡って国内のカキ市場を広げたい」と意気込む。

 オイスターバーとの出合いは1996年ごろ。エイベックス在籍中、海外出張で訪れた米国で初めてその存在を知った。浜焼きなどで食べることがほとんどだったため、カキがワインなどと一緒に提供されているのを新鮮に感じた。いつか事業を興したいと考えていた吉田は2000年にエイベックスを退職し、ヒューマンウェブを立ち上げた。当時33歳だった。

 1号店は東京・赤坂に開いた。カキ専門店は当時、珍しく話題性は抜群だったが、ロスや欠品が多く顧客の固定化に腐心した。そこでメニュー数を絞り生カキ中心の業態に転換。専門性を高めたことが奏功し、ほどなく月商1200万円の人気店となった。

 順調に店を増やしていったが、06年に転機が訪れる。ノロウイルスの流行だ。生食が避けられるようになり、売り上げが7割も減少。従業員への給料の支払いもままならなくなった。

 「どうせ潰れるならチャレンジしてから」。吉田は銀行や役員の猛反対を押し切って、約4千万円を投じ広島県に無菌化海水でカキを浄化する施設を建てた。食中毒の心配のないカキを作れば客が戻ると踏んだのだ。狙いは当たり、品質へのこだわりが評価され、2年ほどで客足が戻った。

 吉田のビジネスの原点は大学時代のアルバイトにある。東京・六本木のディスコで接客業の面白さに開眼し、卒業後はそのまま就職。不振店を次々に立て直した後、親会社のエイベックスに移って依田巽(当時は会長)の下で経営を学んだ。

 「100%安全なカキの養殖が成功すれば一気に市場は広がる」と吉田。競合が少ないだけに、今後は卸売りに進出しカキ市場の活性化に期する。

=敬称略

(中川竹美)

 よしだ・ひでのり 1990年日大工卒、ノヴァ・インターナショナル入社。2000年にヒューマンウェブを設立し社長に。岩手県出身