2015/02/03 本日の日本経済新聞より「経営書を読む 伊丹敬之著「経営戦略の論理・第4版」(4) 不均衡ダイナミズム 能力超える挑戦で成長へ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「伊丹敬之著「経営戦略の論理・第4版」(4) 不均衡ダイナミズム 能力超える挑戦で成長へ」です。





 成功戦略に必要なのは受動的な適合だけではありません。本書では不均衡ダイナミズムという概念が提唱されています。

 自社から働きかける能動的な適合、さらには「見えざる資産」を活用したテコ的な適合というようにより高レベルの適合が重要になります。

 特に情報という「見えざる資産」は学習を通じて蓄積していきます。学習を行う主体は人間ですから、人を動かすための心理的働きかけも戦略成功のカギになります。

 本書以前の戦略論では不均衡は矛盾であり、非合理と扱いがちでした。適合というテーマを掲げた本書が不均衡という結論に至るのはやや不思議かもしれません。

 顧客適合では消費者調査を綿密にしても今のニーズに応えるだけで、その商品を市場に投入するころには時代遅れになりがちです。しかし、宅急便サービスのように潜在ニーズや未知のニーズを「先取り」できれば、市場の創造になり、不均衡を作り出せます。

 不均衡を作り出すことは競合との差別化につながります。そのためには事業運営の方法(ビジネスシステム)も他社が模倣し難いものに設計しなくてはいけません。新たなビジネスシステムはそれ自体がまた不均衡を生む可能性があります。

 アップルは携帯型音楽プレーヤー「iPod」を出す際、音楽ダウンロードサービス「iTunes」を始めました。これはCD販売企業との間に大きな不均衡を生み出し、競合する電子機器メーカーとも圧倒的な差別化を実現しました。

 「カニは己の甲羅に似せて穴を掘る」と言いますが、身の丈に合った戦略だけでは成長できません。あえて能力以上の挑戦をし、不均衡を作り出していくというのが、著者のいう不均衡ダイナミズムです。

 大企業にはカニの甲羅の力学が強く働きがちですが、それを打破することが新たな成長に求められているのです。

=この項おわり

(ケーススタディーなど全文を「日経Bizアカデミー」に掲載)

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