2015/02/04 本日の日本経済新聞より「海外投資 今は徐行運転 資産分散で変調に備え」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「海外投資 今は徐行運転 資産分散で変調に備え」です。





日経新聞20150204海外投資今は徐行運転資産分散で変調に備え

 急激な原油安やスイスフランの急騰など、世界の金融市場が荒れ模様だ。昨年は急速な円安のおかげもあって大きな成果を上げた海外投資だが、足元ではその円安も一服気味。今後は少し慎重な姿勢で海外投資に臨む必要がありそうだ。

 「2015年の世界経済は波乱含み」。第一生命経済研究所の西浜徹主任エコノミストは予想する。懸念材料として挙げるのは、原油安の長期化(グラフA)、そして今年半ばともいわれる米国の利上げだ。

 

「つま先立ち市場」

 原油安は日本などエネルギー輸入国には恩恵をもたらすが、財政収入の大半を原油や天然ガスに依存する資源国には痛手。多くの資源国で景気や財政収支の悪化が懸念されている。

 一方、米国の利上げは世界のマネーの流れを変える可能性がある。リーマン危機後、米国の量的緩和であふれたマネーが世界の資産価格の上昇を支えてきたが、米国の利上げを機に「体力の弱い新興国などからマネーが逃避を始めるかもしれない」と指摘する。

 資産運用のプロも先行きには警戒的だ。「世界の金融市場はつま先立ちの状態」と話すのは、JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳グローバル・マーケット・ストラテジスト。緩和マネーが価格を押し上げ、世界の株式や債券などには割高感が強まっているからだ(グラフB)。

 例えば米国株(S&P500)の予想株価収益率(PER)は16倍台で、過去10年の平均(13.8倍)や25年平均(15.6倍)を上回る。米ハイイールド債(低格付け債券)や米REIT(不動産投資信託)も、利回りと長期金利の差などから判断すると「割高な領域にある」という。

 世界の金融機関はリーマン危機後の規制強化で厳格なリスク管理や自己資金投資の制限を求められてきた経緯があり、「リーマン危機級のショックの再来はない」(中窪文男・UBS証券ウェルス・マネジメント本部CIO=最高投資責任者)との見方が多い。

 だが、「つま先立ちの市場」は何らかのショックでバランスを崩す恐れがある。海外資産に投資する際は、ある程度はブレの大きな相場展開を覚悟しておいた方がよさそうだ。

 では、プロは具体的にどんな海外資産を当面の投資対象とみているのか。重見、中窪両氏が「相対的に安心感のある投資先」として挙げたのは米国株と米ハイイールド債だ(表C)。

 米国株は割安感は薄いが、米景気の回復を背景に企業収益の拡大が続きそう。米国の量的緩和は終わってもユーロ圏や日本では拡大中で、「世界の投資マネーは景気の強い米国に向かう」という見方がある。

 米ハイイールド債は昨年末、シェールオイル関連企業のデフォルト(債務不履行)懸念などで値を崩した。ただ、景気拡大を背景にデフォルト率の水準は安定している。先進国の国債利回りが歴史的水準に低下しているなかで、6%程度の利回りが期待できる。

投信は運用先確認

 新興国については米利上げの影響が読めずに慎重な見方。しかし中窪氏は「新興国の株式、債券という大ざっぱなくくりはせず、個別に判断する必要がある」と指摘する。原油輸出国のロシアやマレーシア、経済の構造改革が進まないインドネシアやブラジルには弱気でも、企業業績が堅調な台湾、原油安の恩恵が大きそうなインドなどは長期投資の対象になるという。

 実際の海外投資では、どんな点に注意すべきか。中窪氏は「新興国や米ハイイールド債で運用する投資信託を買うときは、目論見書で具体的な投資先まで確認すべきだ」とアドバイスする。波乱含みの市場環境では、それぐらいの注意や手間が必要というわけだ。

 「今年は分散投資が大きなテーマ」。イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕代表はそう主張する。今年の金融市場はどこに落とし穴が待ち受けているかわからない。「そんなときこそリスクを抑えた分散投資を心がけるべきだ」 重見氏も資産分散の重要性を指摘する。「多くの個人の海外投資は利回り重視で海外REITやハイイールド債に偏っている可能性があり、資産構成の見直しが必要」という。期待リターンは低下しても、他の資産と値動きの連動性が低い先進国の国債を一部、組み入れることを勧める。

 「市場環境が不透明でないときはない。リスク資産を持っていない人が運用を始めるにはむしろいいタイミング」(鈴木英典・アーク東短オルタナティブ取締役)。そんな見方もある。長期投資と割り切って積み立てを始めれば、資産価格が急落する場面では底値買いができるかもしれないし、少しずつ投資に慣れながら買い場を待つという方法もある。

 「ただし投資額は自分の値下がり許容度の範囲内に収め、相場が急落しても絶対に手放さないと決めてから始めるべきだ」。リスクを過剰に恐れているだけでは、実質金利がマイナスの現状では、資産価値を守れないのも事実だ。

(編集委員 北沢千秋)

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