2015/02/05 本日の日本経済新聞より「青学大、最強集団「半歩先に目標」 箱根駅伝初Vの陸上競技部・原晋監督」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の大学面にある「青学大、最強集団「半歩先に目標」 箱根駅伝初Vの陸上競技部・原晋監督」です。





 第91回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)で初優勝した青山学院大学陸上競技部の原晋監督(47)が日本経済新聞のインタビューに応じた。「ワクワク大作戦」を合言葉にチームの明るさを前面に打ち出し、従来の陸上界にない発想で弱小集団を強い組織に変貌させた。就任11年目で悲願を達成した原監督に躍進の秘密を聞いた。

 優勝メンバーが多くチームに残り、早くも連覇を期待する声が出ています。

 何を言ってるんですか! 選手には走る気持ちが湧いたら練習しよう、当分休もうぜ、と言いました。年に1度のビッグイベントで、大会新記録で優勝したんですよ。

 遮二無二1年間やってきたのに、明日から練習となれば誰でも嫌になる。仕事でも大きな成果を出した翌日からすぐ、働かされたらうんざりするでしょ。きっちり切り替えるためにも喜びに浸ることは大事。成功体験は脳に残り、次の意欲につながりますから。

 中国電力を退社し、OBでもない青学大の監督に就任しました。あえて新天地に飛び込んだ理由はなんですか。

 人間、退路を断って初めてエネルギーが出る。みんな頑張ってます、と言うけど実際は崖っ縁の随分と手前。僕が尊敬する坂口さん(泰氏、中国電力陸上部監督)はエスビー食品を辞め、中国電力で陸上部をゼロから立ち上げた。私が青学大に行くのも100人中、100人が反対しました。

 期待されて陸上選手として中国電力に入社したが、まったく恩返しもできずに現役を引退した。指導者として今度は逃げまい、と誓いました。

 中国電力時代、“伝説の営業マン”と呼ばれたそうですね。ビジネスでもまれた経験は選手の指導・育成に生かされていますか。

 伝説のカリスマ営業マンでしたよ。本当に(笑い)。1つの目標に向かってどう取り組むのか、鍛えられました。今でも根っからのサラリーマンという気持ちは変わりません。就任前は3~4年で箱根出場、7~8年でシード権、10年で優勝争いと大学側に僕のビジョンを説明しました。サラリーマンでも信頼を勝ち取るには、ある程度時間がかかります。陸上の指導もビジネスと同じです。

 指導する上で、工夫した点はありますか。

 ビジネスマン時代の習慣だった「目標管理シート」をチームに取り入れました。A4用紙に1年間の目標と1カ月ごとの目標、その下に個人の具体的な目標を書き込む。これを6人のグループミーティングで進捗状況など随時、チェックします。大事なのは自分で目標を決め、自分の言葉で具体的に書き込ませることです。これが選手の「自立」につながるのです。

 自分は体幹が弱いので、この練習を何回繰り返すといった具体的な数字を書かせます。もう少し速く走る、といった抽象的な目標はダメ、実現がほぼ不可能な目標設定もいけません。私は「半歩先」が口癖です。一歩一歩とよく言いますが、それより少し手前のイメージ。今できることの半歩先を見つめながら、少しずつ向上していくだけでも4年間でものすごい成長につながるのです。

 明るさ、そして「チャラさ」がチームの代名詞になっていますね。

 Qちゃん(高橋尚子選手)を育てた小出義雄さんも外向きは明るいが、厳しい練習で有名です。我々も明るさや楽しさが今は表に出ていますが、陰では血のにじむような努力をしている。(練習を見てもらうと)あれ、原さんって笑顔で楽しくなんじゃなかったの、と驚くんじゃないかな。

 陸上部を本気で強化するためには専用グラウンドを持つなど練習環境の整備も重要でしたね。

 当初は専用グラウンドがなく、強化費も少なかった。しかし、それで箱根に出られないといった愚痴は一切、吐きませんでした。与えられた環境の中でできることを探して取り組むことが大切です。ただ強くなるにはこれが必要、と大学とは粘り強く交渉しました。

 僕が言わないと動いてくれなかったんです。「改革マインド」ですね。男ですから。ぐだぐだ遠回しに言っても仕方ない。営業でもどちらかと言えば、はっきり言う方でした。うちは陸上部長が低姿勢な方。2人でバランスが取れている。僕みたいなのばかりいたら組織はつぶれちゃうけど、特攻隊長もいないとダメじゃないですか。

(聞き手は企業報道部 阿部将樹)

 はら・すすむ 広島・世羅高3年時に主将として全国高校駅伝で2位。1989年中京大卒業後、中国電力に陸上部1期生で入社。93年には主将で全日本実業団駅伝初出場。27歳で引退。社業に専念し10年間のサラリーマン生活を経て、2004年に青学大陸上部監督に就任。

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