2015/02/06 本日の日本経済新聞より「目覚める資本 質を磨く(3)報酬に自社株導入数 275社 株主と社員目線合わせ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「目覚める資本 質を磨く(3)報酬に自社株導入数 275社 株主と社員目線合わせ」です。





 「最優秀賞には500株を贈呈します」。カルビーが毎年、会社の業績に大きく貢献した社員をたたえる表彰式で今年度、新しい賞品が加わった。自社株だ。

UTホールディングスは5年勤務した社員に報酬として自社株を配る(東京都品川区)

賞金より株選択

 受け取ったのは営業担当の川瀬雅也(40)。ディスカウントストアのドンキホーテホールディングスなどが取引先で、売上高を1年で7億円伸ばした。賞金100万円を現金でもらう手もあったが、自社株をあえて選んだ。妻から「面白そう」との後押しもあった。

 上級執行役員の外波山昇志(57)は「会社が利益を出して株価が上がれば、社員も報われる仕組みづくりだ」と話す。実際、川瀬も「気にしたことのなかった株価を毎日見るようになった」。業績が好調なカルビーの株価は1年で8割高。今の株価なら、川瀬の持つ時価は210万円になる。

 社員の目線と株式市場の目線を合わせたい。給料か利益かを取り合う関係でない道を企業が探っている。特にここ2年の株価の反転で、より前向きに意味を込められるようになった。

 1月23日、製造業向けに人材を派遣するUTホールディングスの本社に新入社員らが集まっていた。「5年後には皆さんも株主になってもらいます」。将来の報酬に、現金ではなく自社株を組み入れたESOPと呼ぶ従業員向けの持ち株制度の説明だった。

 人材派遣業は社員の入れ替わりが多い。「会社と一体感を持ってもらいたい」と社長の若山陽一(43)が2012年に導入。5年勤めた社員に1千株を渡し、経営への参加意識を引き出す狙いだ。給与明細には時価が毎月書き込まれ、増えたり減ったりする。

 ESOPの第1号は10年前に登場、業績連動の報酬や退職金制度などの手段として採用は昨年末で275社に広がった。株価の低迷が続くと機能しにくいが、株高へ期待が生まれれば好循環の輪がつながる。

 株主であることと社員であることを、もっと重ね合わせる仕組みをとるのが医療機器のニプロだ。物差しは自己資本利益率(ROE)。資本の効率性を示すこの指標が上がれば、社員の賞与も連動して増える。

 ニプロ単体のROEが3.33%なら月例給与の4カ月分が賞与。これが10%になれば8カ月分をもらえる。13年度のROEは8%。心臓外科製品が伸び、海外の開拓も進む。株価もここ2年で5割上げた。「社員のがんばりと株価が目に見えてつながるサイクルに入ってきた」のが取締役の中村秀人(56)の実感だ。

事業への参加証

 日々の株価がない非上場会社も株式の生かし方がある。ファスナーのYKK。会長の吉田忠裕(68)は「株は事業への参加証」という。従業員持ち株会が筆頭株主で18.2%を持つ。

 創業者の父、忠雄は「従業員は労働者であり経営者である」と説いた。年に2回、持ち株会と経営陣の会合には社員約2千人が参加する。「率直な意見に刺激を受ける」と吉田。売れば関係も切れる単なる株主よりも、経営に厳しい。

 外国人株主が増えるなど資本の保有構造はより複雑になった。「だからこそ企業の文化を理解し連帯できる株主の必要性が認められる」と甲南大学特別客員教授の加護野忠男(67)はいう。社員と株主、経営者が同じ方を向いた価値の高め方がある。

(敬称略)

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