2015/02/11 本日の日本経済新聞より「G20、揺らぐ協調 成長持続へ具体策示せず、米独にすきま風」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「G20、揺らぐ協調 成長持続へ具体策示せず、米独にすきま風」です。





 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は10日、世界経済の減速に歯止めをかけるため「柔軟な財政政策」の活用で一致した。だが議長国トルコの肝煎りだった投資の追加目標案はあっさり霧消。構造改革も色あせ、各国が金融政策頼みに突き進む構造をさらけ出した。G20の協調は揺らぎ、出口の見えない停滞ムードに覆われた。

 「追加目標など無理だ」。9日、初日討議後のG20高級事務レベル折衝。欧州連合(EU)などはトルコが示したインフラなどの投資目標案に一斉にかみついた。

 G20が決定済みの「2018年までに成長率を2%底上げ」との目標に向け、トルコは目玉作りにこだわったが、緊縮派のドイツを筆頭に徹底抗戦された。サパン・フランス財政相は9日、記者団に「個別の目標設定は支持しない」と明言。声明は「財政は重要な役割を果たす」にとどまり、有名無実化した。

 米国はトルコとタッグを組んだ。9日の夕食会でルー米財務長官は「経常黒字国は内需刺激へ幅広い政策手段を用いるべきだ」と独に歳出増を促した。欧州側でスピーチできたのは議長国が指名した欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁のみ。ショイブレ独財務相は不機嫌そうに押し黙り、米独にすきま風が吹いた。

 米経済は消費拡大を追い風に3%程度の安定成長期待が強まる。原油安で世界全体でも成長が上向いておかしくない。だが実際には需要減と物価低下圧力の勢いがまさり、先進国の成長力は低下傾向。それでもG20は成長持続の具体策を示すことはできなかった。

 金融政策の扱いでも対立が浮き彫りに。9日深夜の声明折衝。当初案にあった「正常化が許されるまで金融の緩和的状態を続けるべき」との一節に米当局者は「丸ごと削除してもらいたい」とかみついた。15年半ばの利上げもにらむ米連邦準備理事会(FRB)の手足を縛りかねないためだ。

 米が利上げに動けば巨額の資本が米に流れ、各国は通貨危機に見舞われかねない。

 昨年10月以降だけでオーストラリア、カナダなど20を超える各国中央銀行が利下げに踏み切った。ECBによる量的緩和でG20各国にはさらに利下げ圧力が強まる。「もはや通貨切り下げ競争といっても過言ではない」。10日の討議である新興国の代表は言い放った。

 金融緩和への依存が過ぎれば、財政や労働市場など構造改革の手綱が緩みかねない。一斉利下げを盾に中国の通貨・人民元改革が足踏みするのではないか。警戒するルー氏は9日、急きょ麻生太郎財務相と短時間会談し「為替は国内目的に向ける」との主要7カ国(G7)声明を確認した。中国へのけん制だった。

 G20と平行し、G7当局はひそかにギリシャ問題の協議も続行した。米当局者は「G20の影の主題はギリシャに尽きる」と言い切った。2日目の会議開催前。ドラギ総裁と欧州委員会のモスコビシ欧州委員(経済担当)、フランス中銀のノワイエ総裁は会場の一角で真剣な表情で話し込んだ。

 徹夜明けのG20当局者はやつれた顔で漏らした。「しばらくユーロ圏の乱気流に翻弄されそうだ」

(イスタンブール=矢沢俊樹、御調昌邦)

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