2015/02/14 本日の日本経済新聞より「エネルギー迫る選択の時(3)省エネ技術は宝 「使わぬ」知恵、成長の糧に」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「エネルギー迫る選択の時(3)省エネ技術は宝 「使わぬ」知恵、成長の糧に」です。

エネルギー費用、ある意味、削減の対象として想起しにくいコストですが、そこをうまくやっている星野リゾートの実例には感心します。





 与謝野晶子や島崎藤村ら多くの文人に愛された長野県の老舗旅館「星のや軽井沢」。敷地を流れる川や水路の落差を利用した水力発電や地中熱で旅館に必要なエネルギーの75%を自給する。

エネルギー自給率75%を実現した「星のや軽井沢」の水力発電機(長野県軽井沢町)

 旅館・ホテル業の光熱費は一般に売上高の1割前後。東日本大震災後の電気料金値上げは痛手のはずだが、どこ吹く風だ。エネルギーコストは電力・ガス会社から買う場合の2割程度で済む。星のやを運営する星野リゾート(長野県)は「浮いた分を施設管理やサービスの充実に回し」、競争力強化に生かす。

石油危機に似る

 震災後の日本のエネルギー供給構造は第1次石油危機当時と似ている。2012年度と1973年度をみると、海外から輸入する化石燃料への依存度はともに約9割、原子力は1%足らずだ。

 2度の石油危機に見舞われた70年代は、原子力発電所が20基でき火力から転換が起きるとともに省エネが一気に進んだ。

 国内総生産(GDP)あたりのエネルギー消費量(エネルギー利用効率)は73年度から79年度までに2割近く改善。企業は工場排熱を再利用して生産費を下げたり、光熱費を節約できる製品を開発したりして逆境をチャンスに変えた。現在までの改善率は4割を超す。

 エネルギーを外部に依存しない究極の省エネビル――。1月下旬、大成建設が実証実験中の次世代オフィスビル(横浜市)を視察した望月義夫環境相は期待を示した。「未来はこうあるべきだ」

 座ったり立ち止まったりした場所だけ照明がつく独自のセンサーなどを使い、まず建物の消費エネルギーを一般ビルの4分の1に抑制。屋上の太陽光パネルだけでなく、三菱化学と共同開発した窓や外壁に張れるフィルム状の太陽電池で発電量を稼ぎ、電気を賄う。

 かつてのように原発に多くを頼ることは難しい。火力発電には環境規制、再生可能エネルギーの大量導入には送電網整備や国民負担増大の問題が立ちはだかる。供給が制約されるなか、クローズアップされるのは「使わない知恵」だ。

 国立環境研究所は、省エネ対策を着実に実施すれば、経済成長を維持しながら30年にエネルギー消費量を10年比で最大18%減らせると試算する。

新興国の手本に

 「日本は省エネ技術で世界に貢献できる」。エネルギー政策で米政府の顧問を務めるリチャード・ムラー米カリフォルニア大バークレー校教授はこう指摘する。エネルギー需要が増す新興・途上国は今後、日本と同じ問題に直面するとみる。

 パナソニックは街の輸出をめざす。太陽光発電と蓄電池を活用し、街全体の電力需給をIT(情報技術)で管理する街づくりに「家電や住設機器、住宅などの総合力を生かせる」(井戸正弘役員)。マレーシアの主要都市ジョホールバル周辺で進む巨大都市開発は、同社が神奈川県で手掛けるスマートタウンがモデルだ。

 石油危機で芽生え、東日本大震災を機にさらに深化する日本の省エネ技術。国内のエネルギー事情を変えると同時に、経済成長の新たなエンジンになる可能性がある。

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