2015/02/22 本日の日本経済新聞より「がん社会を診る 県別比較で分かること 中川恵一」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「県別比較で分かること 中川恵一」です。





 前回紹介したように、47都道府県中で、平均寿命が日本一で、がんの死亡率も全国で最も低いのが長野県です。逆に、ともにワーストなのが青森県です。厚生労働省の調査では、2013年の青森の男性の喫煙率は全国1位、女性も2位でした。

イラスト・中村 久美

 別の調査からも、青森は肥満指数がトップ級で、酒を飲む人の割合も食塩摂取量も高い傾向がある一方、野菜摂取や1日の歩数が足らないというデータが出ています。長野県民は喫煙も肥満も少なく、野菜摂取量は男女とも1位ですから、その差は歴然です。

 これまで長寿県の代名詞だった沖縄は、米軍の占領を機に、高脂肪・高カロリーの食事が広まりました。若い世代の死亡率が高くなり、男性の平均寿命は、10年には30位まで下がりました。

 沖縄はエネルギーを脂肪でとる割合が高く、肥満者の割合が1位ですが、野菜摂取量は男女とも下位です。少しの距離でも車を利用する社会であることも運動不足を招いていると思います。ただ、沖縄の女性は以前より順位を下げたといっても、平均寿命で3位を維持しています。男性に比べて女性の方が、生活習慣が変わりにくいためでしょう。

 さて、この沖縄で目立つがんは大腸がんで、13年の死亡率は全国2位です。沖縄の高脂肪食や野菜不足、運動不足、肥満などが、大腸がんのリスクを高めた可能性があります。大腸がんと並ぶ欧米型のがんの代表である前立腺がんも2位です。

 沖縄が全国で一番死亡率が高いがんは、意外にも、白血病です。鹿児島、宮崎、佐賀、長崎の各県も上位に並んでいます。これは、白血病の一つである「成人T細胞白血病」の原因となるウイルスが九州・沖縄に多いからです。

 白血病と並んで、九州、とくに佐賀や福岡に多いのが肝臓がんです。これは、肝臓がんの原因の7割以上を占めるC型肝炎ウイルスの感染が九州北部で多いことと関連しています。

 一方、沖縄は胃がんによる死亡率が最も少ない県です。胃がんを増やす食塩の摂取量が全国一少ないからです。逆に、胃がん死亡率のワーストは秋田で、青森、山形と塩分摂取が多い傾向にある東北の県が続いています。がんにも県民性があるのです。

(東京大学病院准教授)

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