2015/02/27 本日の日本経済新聞より「朴政権 3年目の憂鬱(下) 「輸出主導の成長」限界 中小育成も財閥頼み」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「朴政権 3年目の憂鬱(下) 「輸出主導の成長」限界 中小育成も財閥頼み」です。





 昨年12月、韓国南東部の慶尚北道亀尾市を訪れた朴槿恵(パク・クネ)大統領は上機嫌だった。「結婚式で息子や娘を送り出すようなうれしい気持ちだ」。朴氏は自らの肝煎りで準備してきた「創造経済革新センター」の開所式に臨んだ。

朴大統領(中)が創造経済革新センターにかける期待は大きい(昨年12月、慶尚北道亀尾市)=聯合ニュース提供

17カ所で育成

 同センターは昨年9月の大邱を皮切りに、今年6月までに全国17カ所に開く中小・ベンチャー企業の育成拠点だ。1997年の通貨危機の後、韓国の重点課題であり続けた「脱財閥経済」を推し進める原動力として期待が高まっている。

 中小企業を育てる取り組みは長く必要性が叫ばれながら、遅れてきた。朴氏は結果を出すため、奥の手と言える仕掛けを用いた。財閥を中心とする大企業に17のセンターをそれぞれ受け持たせ、技術開発や販路開拓を手ほどきする仕組みだ。

 大邱と慶尚北道はサムスングループ、南西部、光州は現代自動車、釜山はロッテが担い、主な支援業種も各財閥の得意分野により違う。財閥同士のプライドや政権への忠誠心を競わせる狙いだ。慶尚北道のセンター長にはサムスン電子出身の金鎮漢(キム・ジンハン)氏が就いた。

 朴政権が中小・ベンチャーの育成をテコに内需拡大をめざす背景には、財閥による輸出主導の成長モデルの限界がある。ウォン高で現代自は日本勢との競争に苦しみ、サムスンは中国でスマートフォンのシェアを奪われた。韓国貿易協会によると、14年の輸出は前年比1.5%減の603兆ウォン(約63兆円)と2年連続で前年割れとなった。

地位乱用の悪弊

 目先の雇用吸収力が弱まるだけでなく、急速な少子高齢化が将来の危機感を増幅する。韓国の生産年齢人口(15~64歳)は17年に減少に転じる見通しだ。1990年代から日本が長く経験してきた人口減による低成長のワナから逃れるには、1人当たりの稼ぐ力を高めるほかない。

 一方で中小企業の育成を財閥に頼む皮肉な構図には限界も浮かぶ。

 「契約書を作らずに口頭で納品を要求し、報酬を払おうとしない」「強引に資料を持ってこさせて技術を奪う」。韓国で中小・ベンチャーが育たなかった主因は、優越的な地位を乱用した財閥による搾取の現実がある。朴政権が旗を振ってもすぐに悪弊が改まる保証はない。

 さらに17カ所のセンターの職員には公務員や財閥の関係者が多く、斬新な発想や起業の意識を高められるのか不安がつきまとう。朴氏を支えるはずの政府関係者から「財閥は節目節目で成果を演出するだけだ」「政権が代わればセンターは尻すぼみに終わる」と冷ややかな声が早くも漏れる。

 「国民はこの2年の朴政権の経済政策が完全に失敗したとの評価を下した」。最大野党の新政治民主連合は朴政権のかじ取りを激しく批判する。昨年8月には非正規労働者の数が初めて600万人を超えた。中小・ベンチャーの育成には時間がかかる。国民の不満を希望に変えられるかどうかが、朴政権の残り任期3年を左右する。

 内山清行、小倉健太郎、加藤宏一が担当しました。

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