2015/03/06 本日の日本経済新聞より「大機小機 日本株を買わぬ1600兆円」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「日本株を買わぬ1600兆円」です。





 1600兆円を超える個人金融資産の半分以上が預貯金に偏っていることを問題視し、証券投資へ誘導すべしと唱える声が多い。確かに、日銀の資金循環統計では、2014年9月末の家計金融資産1650兆円の構成比率は、預貯金53%、保険等27%、株式9%、投信5%であった。預貯金の比率が突出している。

 この議論の際に引き合いに出されるのが、日米の家計マネーの投資行動の違いである。米国では株式、保険等の比率がそれぞれ33%、投信が13%なのに対し、預貯金は14%にすぎない。

 証券投資の一端を示す投信の資産構成を見ると、さらなる違いに気づかされる。

 わが国では海外投資が全体の54%を占める。国内投資は株式18%と債券13%とをあわせて31%である。一方の米国では、株式投資が52%と過半を占め、債券投資は38%であった。

 つまり、わが国では国内投資よりも海外投資が強く選好され、米国では株式投資が「主」、債券投資が「従」の位置づけである。

 さらに投信の中身を比べてみる。個人マネーが向かう先は、日米で顕著な違いがある。

 わが国で指向性が高い海外投資の主要な投資対象は、ハイイールド債券(低格付けの高利回り債券)などの外債投資や、不動産投資信託(REIT)などである。

 さきほど指摘したように、米国は株式投信が主流だが、その中心は国内株式で外国株式は脇役である。また、資産規模で上位に位置する投信の多くは、S&P500種株価指数を代表とする米国の大型株を投資対象にしている。債券投信においても、米国内の公社債が主流で米国からの外債投資は目立たない。

 「貯蓄から投資へ」のスローガンが官民で声高に発せられているのは、預貯金に眠る個人マネーが証券投資に向かわないために経済再生が制約されているとの考え方が背景にあるからだ。しかし、投信の実態が物語るように、個人マネーは海外投資に傾斜しており、国内株、特に主力株への指向性は決して強くない。自国の主要企業への投資が主流の米国とは極めて対照的だ。

 この事実は軽くない。「貯蓄から投資へ」の議論は、表面的な日米比較だけではなく、内容に踏み込んでおこなうことが肝心だ。

(陰陽)

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