2015/03/06 本日の日本経済新聞より「会社研究 富士フイルム 技術融合、新たな「像」結ぶか」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「富士フイルム 技術融合、新たな「像」結ぶか」です。





 写真フィルム市場収縮の危機を克服すべく富士フイルムホールディングスが進めてきた構造改革が、最終段階に入る。合理化にメドをつけ、医療分野などで一定の成果が出始めた。次は、お家芸の光学や画像からハイテク素材、医療まで幅広い技術を融合し、将来の「飯の種」を一刻も早く探り当てることだ。

技術の融合で未来のヒット商品創出を目指す(東京都港区の本社にあるOIH)

本社に「実験場」

 「20歳の肌をいつまでも保てる化粧水」「データを永遠に保存できる磁気テープ」。東京・六本木にある本社の一角。2014年1月に開設した「オープンイノベーションハブ」(OIH)では、一見、夢物語にも思える商品づくりが真剣に議論されている。

 約500平方メートルの館内には、映像、印刷や高機能フィルム、化粧品、再生医療など独自技術がずらりと並ぶ。これまで国内外の企業や大学、官公庁などから約2000人が訪れ、富士フイルムの開発部門や営業部門担当者らと知恵を出し合う。

 極秘で進めるプロジェクトの中には、近く成果が出そうなものもある。例えば、高い遮熱性能と太陽光の反射を抑える機能を持つ素材で自動車や家を包み込めば、内部の快適性が高まる。OIHは今までにない「クルマ×富士フイルム」「家×富士フイルム」で新しい市場を作り出す実験場。10年以上に及ぶ構造改革の仕上げの舞台だ。

 フィルムカメラからデジカメへの変化に直面した同社の「会社まるごと作り替え」は、00年代前半に始まった。事務機の富士ゼロックスを連結子会社化し、写真フィルム・カメラ部門で5000人を削減。その後は米診断機器ソノサイトの買収など医療分野を中心に積極的なM&A(合併・買収)を進めてきた。

 15年3月期の予想営業利益は1700億円で、01年3月期(1497億円)からの上積みは多くないが、中身は様変わりしている。

 かつて年間500億円以上の利益を出していたイメージング部門(カメラなど)は05年3月期から13年3月期まで赤字が続き、前期ようやく35億円の黒字に浮上した。今は事務機部門が1000億円弱、超音波診断装置や医薬品、液晶パネル材料といったインフォメーション部門が700億円強を稼ぐ。

 特に事務機は毎年1000億円以上の営業キャッシュフロー(現金収支)を生み、主力事業が低迷する時期を資金面で支えてきた。「00年以降で、研究開発と設備投資にそれぞれ約2兆円、M&Aに約7000億円を投じた」(古森重隆会長兼最高経営責任者)一方で60%前後の自己資本比率を維持し、財務の強さを見せつけた。

ROE7%目標

 必要に応じて身の丈を縮ませる「断捨離」を経て、M&Aなどで手駒を増やし、再成長に向けた準備は整った。今期からの3年間で2000億円強の株主配分を打ち出し、自己資本利益率(ROE)を7%に高める目標を掲げたのも、先行きの自信の表れといえる。

 株価は4000円台を回復し、08年6月以来の高値圏で推移する。ただ「売上高の伸びが小さく、コスト削減中心の利益改善に見える」(国内証券)ため、17倍台で市場平均並みのPER(株価収益率)は切り上がりにくいとの指摘もある。

 今期の予想売上高2兆4800億円はピークのまだ9割弱。アナリスト予想では、16年3月期の売上高と1株利益は3%増にとどまる。上場企業全体が来期2ケタ増益との見方が出ている中で物足りなさは否めない。

 みずほ投信投資顧問の蛭川修一氏は「単なるコングロマリット(複合企業)では成長につながらない。時間をかけて核となる商品を2つ3つ育てるべきだ」と言う。改革後の会社の姿がくっきり像を結ぶような、例えば「映す・写るでは何でも世界一」の技術や商品。成長期待を高めるには、そんなブレークスルーが不可欠だ。

(稲葉俊亮)



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