2015/03/08 本日の日本経済新聞より「がん社会を診る 働く女性、検診しやすく 中川恵一」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「働く女性、検診しやすく 中川恵一」です。





 がんは一種の老化で、定年延長は現役会社員にがんを急増させると繰り返しお伝えしてきました。また、若い世代では男性より女性にがんが多いため、女性の社会進出により若い社員にがんが増えることになります。

 厚生労働省も現役会社員へのがん対策に力を入れており、職域でのがん検診受診率の向上やがん患者の就労などを支援する国家プロジェクト「がん対策推進企業アクション」を6年前から推進しています。私もアドバイザー会議議長として応援しています。

 このプロジェクトに賛同して「パートナー企業」として登録している企業は2月25日時点で1543社、総従業員数では344万4120人に上ります。そして今回、パートナー企業を対象としたアンケート調査を実施し、413社から回答を得ました。

 がん検診の受診率は全体で71.4%、とくに肺がんでは88.6%に達しました。しかし、乳がんでは57.1%、子宮頸(けい)がんでは50.5%と、若い女性に多いがんの受診率は低いままです。

 なお、2013年の国民生活基礎調査でも、胃、肺、大腸のがんに対する検診はそれぞれ69%、73%、67%が職場で受けていたのに対し、乳がんは50%、子宮頸がんでは43%にとどまりました。女性も仕事を持つのが当たり前になった今日、職場で女性が検診を受けやすくする環境整備が必要でしょう。

 今回のアンケート結果では、推奨できない検査方法を採用していたり、受診すべき年齢でない社員に実施したりといった問題点も浮かび上がってきました。科学的に有効性が示されていないがん検診は、無駄な被ばくなどのマイナス面がプラスを上回る可能性があり、要注意です。

 また、検診によってがん死亡を減らすには受診率を上げるだけでなく、指示された場合は精密検査を受けなければなりません。実際には、3割近い企業で精密検査を受けた社員の数を把握できていませんでした。

 さらに、がんと診断された社員の数を把握できていない企業が7割に上り、大企業ほど未把握率が高い傾向にありました。仕事と治療の両立に向けて支援している企業はわずか11%で、会社でのがん対策の強化が求められます。

(東京大学病院准教授)

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