2015/03/11 本日の日本経済新聞より「大機小機 権威主義の崩壊」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「権威主義の崩壊」です。





 社会が豊かになり価値観が多様化する中、権威主義からの脱却なくしてイノベーションは生み出せない。権威主義がはびこる組織はコンプライアンス(法令順守)上の課題を抱え、新しい発想を阻害し、衰退していく。

 ダイバーシティ(多様性)への抵抗は、権威に対する男社会の不文律が崩れることへの警戒感の表れ。ハラスメント問題の本質は、権威を笠に人を動かそうとすることだ。警察や軍隊、スポーツなど上下関係がはっきりした組織でいまだに多い。ハラスメント問題を起こす人の共通点は、役職にすがり肩書を利用して権威を振りかざすことだ。権威主義の下では組織に閉塞感が漂い、自由な発想が出てこない。

 弁護士や公認会計士などの専門家も、資格という権威だけで尊敬される時代は終わった。資格を背景に一方的に結論を示すのでなく、判断に至るプロセスこそ丁寧に説明すべきだ。結論ありきでなく、相手に納得してもらうことが大切だ。

 大学教育も大きく変わりつつある。教授という立場で体系的な知識を示すだけの一方的な講義では、学生は育たない。思考力が問われる時代、知識を活用する訓練が求められ、教授に期待される役割も変わる。

 権威主義に代わるアプローチが対話だ。多様な価値観の社会では、対話のプロセスが解決策をもたらす。唯一絶対の解決策がない時代だからこそ、対話を通じて着地点を模索する。創造的な問題解決に導くには、利害調整力(ファシリテーション)が求められる。

 問題解決のため最近着目されているのが「交渉学」だ。経験や駆け引きで相手を説得する交渉術ではない。ウィンウィンの着地点を探る交渉力が求められる。

 例えば第1次産業などの分野では、有識者が権威を背に体系的な知識を一方的に教えても浸透しない。対話を通じて関係者の理解を深める必要がある。イノベーションにつながる新しいアイデアは、様々なバックグラウンドを持つ人々が「よそ者視点」で対話を重ねることで生まれる。

 今の時代に不可欠なことは、権威ではなくフラットな関係による対話だ。そのためには、交渉学の基本であるミッションの共有に向けた事前準備と論理的思考に加え、信頼関係の構築が前提であることを忘れてはならない。

(小五郎)

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