2015/03/12 本日の日本経済新聞より「利上げは3カ月に一度 米ピーターソン国際経済研究所長 アダム・ポーゼン氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「利上げは3カ月に一度 米ピーターソン国際経済研究所長 アダム・ポーゼン氏」です。





 米雇用の回復傾向が鮮明になり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを前倒しするという観測も強まってきた。これからの米金融政策は何が焦点となり、米国と世界経済はどこへ向かうか。識者に聞いた。

 ――2月の雇用者数は市場予測を大幅に上回り、米経済の底堅さを裏付けた。

 「米経済の先行きには明白なリスク要因はみられず、原油安もあって景気循環の面からみれば良好だ。ただ、従業員一人が生む付加価値(労働生産性)が下がっているのは気がかりだ。労働時間が長くなっているのに生産量が高まっていない。賃金の伸びが鈍い原因になる。ドル高で物価に下落圧力が高まっているが、一時的であり日本やユーロ型のデフレ懸念はない」

 ――17日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに「忍耐強くなれる」との時間軸(フォワード・ガイダンス)を修正するか。

 「表現は変更するだろうが、実際の利上げ時期はデータ次第でFRBも受け身にならざるを得ない。FOMC内では利上げの積極派と慎重派の距離が広がっている。圧倒的多数の支持で利上げしたいイエレン議長は調整に時間をかけるだろう。6月の利上げは難しく9月だとみる」

 ――利上げのペースを巡ってFOMCメンバーと市場参加者の予測のかいりが広がっている。

 「利上げ時期よりはるかに重要な点だ。利上げの間隔は3カ月に一度だろう。最初の3回ほどは慎重に上げ、それからペースを加速させていくはずだ。歴史を振り返ると、利上げ後の金利はFOMCの想定したシナリオに沿って動くことが多かった」

 「イエレン氏が引き締めに慎重なハト派とみるのは市場の過信だ。同氏の1990年代以降のFOMCでの投票行動や発言を分析するとそれほどハト派ではなく、条件さえ整えばためらいなく利上げに動く」

 ――米国で賃上げの動きは広がるか。

 「流通、保険などのいくつかの大手企業が賃上げに動いたが、理由は様々で賃上げ圧力が強まっているわけではない。本格的な流れだとみるのはまだ早い」

 ――政界でドル高への批判も強まっている。

 「米議会で真剣にドル高に怒っている議員は数人だ。議会の攻撃対象は為替でなくFRBそのものだ」

 ――世界経済の先行きをどうみるか。

 「今年の成長率見通しは中国が6.5~7%、米は2.75~3%、日本は1%超と上出来だ。ユーロ圏の見通しも1.5%に上方修正した。市場には過剰ともいえる悲観論が残るが、実際には世界経済はかなりよくなっている」

 ――日銀の追加緩和観測もくすぶっている。

 「労働市場の調整に伴って日本では一時的に賃金に押し下げ圧力が高まっているが、半年程度でインフレ率は上がってくるのではないか。黒田総裁のインフレ目標の枠組みは適切だが、約束の中身が具体的すぎる。(変動の大きいエネルギーなどを除く)コアのインフレ率でみた傾向を目標として掲げるべきだ」

(聞き手はワシントン=矢沢俊樹)

 Adam Posen 国際経済や金融政策の専門家で、1990年代の日本の金融危機に関する著書もある知日派。2009~12年には英中銀の政策委員も務めた。13年1月から米ピーターソン国際経済研究所長。米ハーバード大博士。

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