2015/03/17 本日の日本経済新聞より「一目均衡 マネー退潮への備え 編集委員 梶原誠」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「マネー退潮への備え 編集委員 梶原誠」です。

ここに来て日経平均が異常なほどの上昇を見せています。一方、米国の利上げによるマネー潮流の変化が控えています。非常に不気味に感じるところです。





 インドネシアのジョコ大統領が来週、日本と中国を訪問する。UBSの資産運用部門でアジア向け株式投資を統括するジェフリー・ウォン氏は、このニュースに接し、とっさに目的を悟った。「インフラ投資を誘致するためだ」と。

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 同国の通貨ルピアは、1ドル1万3000ルピアの節目を17年ぶりに下回っている。鉄道や道路をはじめ、脆弱なインフラを整備して成長基盤を作る長期的な投資を引き寄せれば、マネーの不安を和らげることができる――これがウォン氏が読むジョコ大統領の狙いだ。

 インドネシアは2012年以降経常赤字が続き、マネーが逃げやすい国と位置づけられてきた。1990年代末には通貨危機を経験したが、危機を経て黒字に転じた韓国からも、赤字とはいえ急速にその幅を縮小しているインドからも見劣りする。

 ジョコ大統領は昨年10月の就任以来、市場の懸念を拭おうと動いている。財政を圧迫していたガソリンの補助金を削減する一方、ひねり出した資金は国営企業の資本増強に投じてインフラ整備を促した。

 マネーを引き付けるためのジョコ大統領の苦闘に首をかしげる市場関係者もいるだろう。世界は今、カネ余りのさなかにある。

 米エバーコアISIによると、過去3年の緩和措置は世界で500件を超えている。世界的な株高も、欧州で拡大する債券のマイナス金利も、膨張する緩和マネーを抜きに語れない。

 だが、そんな「人工的な流動性の海」も、いずれ退潮する。その時露呈するのは、カネ余りという追い風を生かして地道に競争力を高めてきた国と、追い風に油断して改革を怠ってきた国との差に違いない。

 立場上、金融危機の専門家といえる国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は昨年、カネ余りが終わってもマネーに選ばれる国の条件を示した。「投資家は経済を、政府の強さを、政策の見通しやすさと実行力を見極めて、その国にとどまるかを決める」

 リーマン危機後で初めてとなる米国の利上げは、世界的なマネー退潮への出発点だ。米連邦公開市場委員会(FOMC)は18日に出す声明で、最短で6月の利上げをにじませるとの見方が根強い。94年の米利上げがメキシコ通貨危機を生むなど、米利上げと危機は密接な関係にある。

 波乱の芽は日本にもある。急ピッチで進む株高と、市場心理の虚を突く米引き締めの組み合わせは危うい。それはアベノミクス相場が始まって半年後の13年5月23日、米量的金融緩和の終了観測から日経平均が1143円も急落した一件が示している。政府はラガルド氏が示した条件を今こそ問い直すべきだろう。

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 企業も同じだ。「投資家は業績を、経営陣の強さを、経営戦略の見通しやすさと実行力を見極めて、その企業にとどまるかを決める」。追い風はもちろん、逆風が来ても選ばれる企業の条件となる。



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