2015/03/18 本日の日本経済新聞より「中国「新常態」の波風(上) 疲弊にじむ外資 規制緩和に期待と不安」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「中国「新常態」の波風(上) 疲弊にじむ外資 規制緩和に期待と不安」です。

中国人を食い物にしようとして進出するも、逆に中国に食い物にされる企業の苦悩が書かれています。





 中国の習近平体制は今年の経済成長率の目標を「7%前後」まで下げ、景気の減速を当たり前の状況と受け止める「新常態(ニューノーマル)」を政策の基本に据える。外資の導入をテコに急成長を遂げた中国経済は転機を迎え、ビジネスの世界にも波風が立つ。

春節明け恒例の合同就職案内会の求職者は年々減っているという(13日、広東省東莞)

 「海外の資金を呼び込みたい」。中国の未公開株を登録する上海市内の店頭市場「上海股権托管交易センター」の担当者は、新たな資金の出し手を待ちわびている。

 センターには金融機関の融資を受けにくい中小企業を中心に4千社超が登録する。これまで中国の機関投資家や一部の個人が私募債や第三者割当増資を引き受け、成長のための資金を流してきた。海外の投資家に目を向けるきっかけは、センターが今月1日から規制緩和の実験区「中国(上海)自由貿易試験区」の対象に加わったことだ。

賃金5年で2倍

 2013年9月にできた試験区の機能が、店頭市場にまで広がれば「中国の新たな対外開放の窓口になる」(関係者)と期待を集める。

 規制緩和を通じて市場の活力を引き出す――。習近平指導部の改革の本質だ。商務省は外資投資について新たな規制緩和策を練り、「今年が改革の全面的な深化のカギとなる」と李克強首相は語る。ただ必死にアピールすればするほど、現状への危機感が浮かぶ。

 今月13日。広東省東莞の中心部で開かれた恒例の合同就職案内会に昔日のにぎわいはなかった。「5年ほど前までは大盛況だったのに」。案内会に参加した地元家具メーカーの採用担当者、林伝鑫さんは昨年より求職者が2割減ったとみる。

 東莞は安い労働力を支えにパソコンや携帯電話機などの工場を誘致し、改革開放の象徴だった。「世界の工場」として経済をけん引してきたが、この5年でざっと2倍のペースで賃金が上昇し、撤退企業も増えた。1月末には、かつて2万人が働いた米マイクロソフトの携帯電話機の工場からも人けがなくなった。

 今や東莞は成長が鈍る「新常態」の負の側面を先取りしたかのような街だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、中国に出た日系製造業の14年の営業損益は2割強が赤字に陥る見込み。「中国で20年も事業を続けてきたが、経営環境は厳しさを増すばかりだ」。日系の中小工場の経営者はやつれた表情で語る。日系と米系の双方で、中国から撤退する企業がじりじりと増えている。

官僚は変わらず

 「中国疲れ」がにじむ外資系企業にとり規制緩和を柱とする改革は業績を底上げする糸口になり得る。ただすんなりと進む保証はなく、看板倒れに終わる恐れもある。

 「販売店との契約内容を指導通り変えて下さい。さもなければ……。分かりますよね」。昨年夏、独フォルクスワーゲン(VW)中国法人の幹部に独禁法当局の調査担当員が言い放った。VWが販売店に補修部品などを不当に高く押しつけている疑いがあるとして調査に来たが、結論ありきだった。明確なルールを示さないまま、権勢を振るう官僚の体質はなかなか改まらない。

 50兆円規模のペースで膨らむ中国の消費市場は今なお魅力だ。しかし、改革開放から30年を過ぎても市場原理は十分に浸透せず、ビジネスの公平性や透明性に欠く。中国にとどまるか。疲れ果てて退出するのか。新常態は外資系企業に厳しい選択を迫っている。

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