2015/03/19 本日の日本経済新聞より「アジアVIEW 香港「投資移民ビザ」認めず じわり、汚職抜け穴封じ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のアジアBiz面にある「香港「投資移民ビザ」認めず じわり、汚職抜け穴封じ」です。





 中国の李克強首相は15日、全国人民代表大会(全人代)閉幕後の記者会見で「腐敗の土壌を取り除く」と述べ、汚職官僚の追及を一層強める考えを示した。「一国二制度」が適用される香港でも抜け穴封じの動きが静かに進んでいる。

香港には中国本土からの投資移民ビザの申請を代行する業者も少なくなかった

 「これ以上投資を呼び込む必要はない。我々が求めるのは資本ではなく人材だ」。香港政府トップの梁振英行政長官は1月14日の施政報告で海外の投資家に居住権を認める「投資移民ビザ」の受け付けを同日限りで打ち切る方針を表明した。寝耳に水の発表を受けて、ビザの申請窓口には深夜まで長い列ができた。

 投資移民ビザは株式や債券、保険など政府が指定した金融商品に1000万香港ドル(約1億5000万円)以上を投資する人に、香港への居住権を認める制度だ。重症急性呼吸器症候群(SARS)で香港経済が大きな打撃を受けた2003年10月に導入された。

 香港は相続税や贈与税がなく、株式譲渡益(キャピタルゲイン)課税もゼロという富裕層にやさしい税制で知られる。投資移民ビザの登場は移住先としての人気をさらに高めた。14年末までに4万2000人が申請、2万6000人がビザを取得し、投資した資産は2160億香港ドル(3兆3000億円)に上る。

 香港政府が投資移民ビザの廃止に踏み切った表向きの理由は不動産価格の高騰だ。中国本土からのマネー流入で不動産相場は最高値を更新し続け、ビクトリアピークの高級住宅街には1軒75億円のタウンハウスも登場した。結婚しても家を買えない若者の不満は強く、学生らが香港中心部を占拠する運動の遠因になったとの指摘もある。

 一方、中国政府の影を感じ取る向きもある。投資移民ビザは中国本土の住民は対象外だが、例外として他国で永住権を取得済みの人は申請できる。ビザ申請代行業者はガンビアやギニアビサウなど実際に訪れなくても書類だけで申請できるアフリカの一部の国で先に永住権を得る手法を推奨してきた。「他国の永住権を持つ中国籍」の申請者は3万8000人と全体の9割を占める。

 ある金融関係者は「投資移民ビザを取得しても、香港には住まずに欧米と行き来するケースも多い」という。中国国内で私腹を肥やした官僚や国有企業幹部が家族や資産を国外に脱出させ、自分もいつでも逃げられるようにする。「裸官」と呼ばれるこうした動きの封じ込めが真の狙いとの見方は少なくない。(A)

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