2015/03/26 本日の日本経済新聞より「真相深層 中国軍艦船、じわり接近 尖閣めぐり「けん制」と「融和」 自衛隊無線には応答」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「中国軍艦船、じわり接近 尖閣めぐり「けん制」と「融和」 自衛隊無線には応答」です。





 どう、理解したらよいのだろう。尖閣諸島をにらみ、中国軍が「けん制」と「融和」という、正反対のアクセルを同時に踏んでいる。中国の真意はどこにあるのか。舞台裏を探ってみた。

 中国沿岸から、ざっと330キロのところにある尖閣諸島。その中間よりちょっと尖閣寄りの公海上には、ほぼいつも、2~3隻の中国軍艦船がとどまっている。

 そこに常駐するようになったのは、2012年9月に日本政府が尖閣を国有化してから。遠くから尖閣付近の様子をうかがい、時々、近づいたかと思うと、再び離れていく。そんな行動を繰り返している。

 複数の政府関係者によると、最近、このパターンに異変が起きている。以前はどんなに尖閣に近づいても、100~120キロ以上は一切、接近しなかった。ところが14年11月下旬ごろからは、最短70キロぐらいまでやってくるようになったというのだ。

 中国軍艦船の動きはいずれも公海上であり、国際法に違反しない。ただ、日本政府は「強い関心を持って、注視している」と、中国側にひそかに申し入れている。

 尖閣が国有化されて以来、中国はずっと、監視船を尖閣領海に侵入させつづけている。だが、これらの船は中国軍ではなく、日本の海上保安庁にあたる中国海警局の所属だ。

 その一方で、中国は「軍艦などによる挑発は、ずっと控えてきた」(日本の安全保障担当者)。軍が前面に出れば、緊張が一気に高まり、米軍が介入する口実を与えてしまう。こう判断しているようだ。

 では、中国はなぜ、ここにきて軍艦をさらに尖閣に近づけはじめたのか。軍事緊張も辞さない路線にかじを切るつもりなのだろうか。

 現場の動きを注意深くみると、真相はそう単純ではないように思える。中国軍は同じタイミングで、むしろ緊張を和らげるような行動にも踏み切っているからだ。

衝突防止へ転換

 「こちら○○。いま○○の方角に向かっている」。中国軍艦船は14年末ごろから、東シナ海で自衛隊艦船との無線交信に応じ、自分の位置や航路を伝えるようになったという。英語を操れる船員を乗せており、中国側から呼びかけてくることもある。

 こうした交信は意図しない衝突を防ぐのがねらいで、主要国間ではふつうに実施されている。ただ、尖閣の北方にいる中国軍艦船は、自衛隊艦船との交信には応じようとしなかった。この方針を転換したのである。

 中国は15年に入り、衝突を防ぐための「海上連絡メカニズム」協議や、日中安保対話の再開にも次々と応じている。「上層部からは、日中海上連絡メカニズムを早く設けるよう指示されている」。中国当局者は一連の協議で日本側にささやいた。

 中国は、南シナ海で環礁埋め立てなどの強硬策を続け、米国やアジア各国と対立を深めている。「2正面対立」を避けるため、東シナ海では軍事衝突を招かないよう注意しながら、淡々と尖閣に監視船を送り続けるつもりだ――。中国軍が東シナ海で衝突防止の対策をとりはじめた理由について、日米両政府の関係者らはこう分析する。

 だとすれば、中国軍艦船をさらに尖閣に近づけるようになったのは、どう理解すればよいのか。その疑問を解くヒントが、艦船の行動パターンにひそんでいる。

海警局と訓練?

 関係者らによると、彼らが尖閣に近寄ってくるのは、たいてい、海警局の監視船が尖閣領海に入ってくるときだという。将来、尖閣で危機が起きたとき、海警局と軍がうまく協力できるよう、連携を図る訓練をしている可能性がある。

 日本側は尖閣を念頭に、海保と自衛隊の連携を探るほか、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定し、米軍との協力も強めようとしている。これに対抗する動きともいえる。

 衝突は起こしたくないが、揺さぶりは強めていく。尖閣をめぐり、そんな底意をうかがわせる中国。それが事実なら、危機でも、平時でもない緊張状態が、これからも長く、続きそうだ。

(編集委員 秋田浩之)

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