2015/03/29 本日の日本経済新聞より「がん社会を診る 現役世代で医療費首位 中川恵一」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「現役世代で医療費首位 中川恵一」です。

がんにおける早期り患の可能性を説き、早期発見、早期治療の重要性を明らかにした秀逸な記事です。





 2012年度の保険診療の対象となった医療費の総額(国民医療費)は推計39兆2117億円で、6年連続で過去最高を更新しています。この国民医療費は国内総生産(GDP)の8.30%、国民所得の11.17%に相当します。

 病気別にみると、循環器疾患に対する医療費がトップで、がんが第2位です。しかし、65歳未満の働く世代に限ると、がんが13.1%と1位で、循環器疾患(11.7%)を逆転します。

 日本は全国民が何らかの公的な医療保険制度に加入することになっています。中小企業などで働く従業員とその家族など約3600万人が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」のデータでも、がんが医療費のトップです。

 協会けんぽが、12年度の医療費の支払い明細を分析した結果、がんが医療費の10.2%を占めました。高血圧症が7.0%、糖尿病が4.5%、心臓病が3.8%、高脂血症などが3.2%、脳血管疾患が2.9%と続いています。

 年代別にみると、女性の場合、がんに対する医療費は40~50代にピークがあります。一方、高血圧、糖尿病、心臓病では、74歳まで年齢とともに増えていきます。これは、子宮がんが30代、乳がんが40代に最も多いのに対し、多くの生活習慣病は年齢とともに増えるからです。女性の就業率がもっと上がれば、現役世代の医療費に占めるがんの割合はさらに高まるでしょう。

 定年の延長も会社員のがんを増やします。今後、協会けんぽや大企業の社員が加入する健保組合の支払いにおいて、がんのウエートがさらに高まっていくと思われます。

 そもそも、男女合わせるとがんと診断される人の3人に1人が20~64歳で、20~69歳で約半数を占めます。現在、働きながら治療を続けているがん患者は約32万5千人に上ります。現役世代の死亡のおよそ半分が、がんによるものです。進行がんに対する薬物療法が高額になり、月額50万~100万円も珍しくないなか、会社にとって、がん対策の重要性は増しています。

 社員をがんから守り、生産性を維持しつつ、医療費を抑えるためのポイントは、がん検診による早期発見です。早期であれば、長期の入院なしにほとんどが治り、医療費も少なくなるからです。

(東京大学病院准教授)

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