2015/04/07 本日の日本経済新聞より「大機小機 AIIBと新通貨戦争」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「AIIBと新通貨戦争」です。





 中国の習近平政権が進める一帯一路構想は、中国から東南・中央アジア、欧州、アフリカに至る一大経済圏を構築する現代版シルクロード計画だ。共存共栄を強調するが、急速な軍拡や頻発する領海問題を併せ考えると、かつての日本の姿に重なる。

 そうした中で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が誕生しようとしている。当初資本金500億ドルで、途上国の巨額のインフラ資金需要に応えようというわけだ。アジアだけではなく、英国をはじめとする欧州やロシア、南米、なども参加しそうだ。

 先進7カ国で真っ先に手を挙げた英国の思惑は中国経済への優先的な関わり強化にある。半面、米国はこの動きを強くけん制、日本も戸惑いながら距離を置いている。

 中国がいかに柔和な説明をしても、一帯一路構想やAIIBはアジアを中心とした経済・金融秩序の要に中国が陣取る戦略であることは明白だ。

 中国の深慮遠謀は、AIIBをテコに人民元を国際化することにあるのだろう。近年、用心深く進められてきた人民元の自由化と国際化で、世界の資金決済に占める人民元の比重は過去3年間で0.25%から2.06%に急伸し日本円に迫る。

 AIIBは4兆ドル近い中国の外貨準備を活用しながら人民元決済圏を広めていく有力な手段にもなる。その先には、人民元の基軸通貨化を視野に入れている。米国が警戒する最大のポイントだ。

 単なる人民元の国際化なら米国は承服できる。だが、基軸通貨として米ドルに取って代わろうとする野望があると分かれば、全力で阻止するだろう。米国の最大の強みは金融パワーにあり、その源泉は米ドルが基軸通貨であり続けることにあるからだ。

 ドル体制防衛に向かった時の米国の強さには日本も苦い経験がある。プラザ合意時の円高誘導や日本の提案したアジア通貨基金構想を頓挫させた力はいまだ健在だ。国際通貨基金(IMF)や世界銀行を核としたグローバル金融秩序は米国の国益そのものである。容易には手放さない。

 巨大な隣国の動向に無縁でいられず、アジア戦略の観点からもAIIBにはある程度の関与が必要だろう。だが、その場合にも当面はドル基軸通貨体制が続くという前提で上手な距離感を保っていくべきだ。

(鵠洋)

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