2015/04/07 本日の日本経済新聞より「一目均衡 友達の多い企業、少ない企業 編集委員 西條都夫」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「友達の多い企業、少ない企業 編集委員 西條都夫」です。





 企業財務の世界では資産や資本は数字で表される。企業の持つ土地や貯金や債権を時価評価して足し算したものが資産(asset)であり、そこから負債を差し引いた残余が自己資本(equity)だ。

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 だが、大切なものがすべて数値化できるわけではなく、金額には置き換えにくいが、企業評価の際に無視できない重要な要素がいくつか存在する。それらについても半ば比喩的にエクイティやキャピタル(資本)と表現されることが多い。例えばブランドの重要性を強調するためにブランド・エクイティという考え方があるし、ノウハウや技術力を評価するための「ナレッジ・キャピタル(知の資本)」という言葉がある。

 こうした新種の「資本」の中で、最近とりわけ注目されているのが「ソーシャル・キャピタル」だ。これは別名「リレーション・エクイティ」とも呼ばれ、日本語に訳せば「関係資本」となるだろうか。

 当該企業が、多くの他の企業や大学、研究所、政府機関と信頼、協力関係で結ばれていれば、その企業はさらに成長する可能性が高い。逆に友達が少なく、孤立した企業の未来は暗いという考え方である。

 例を挙げよう。コマツは日本の製造業の中で、インターネットを使った事業モデルの革新という点で先頭ランナーの一つだが、手持ちの経営資源ですべてが足りているわけではない。

 同社が最近発表した「スマートコンストラクション」構想では、ドローン(無人飛行機)を飛ばして、人手をかけずに工事現場の3次元データを作成する自動測量技術が注目された。そのカギとなるのが、上空からの写真を解析し、地面の起伏を正確に再現するアルゴリズム(計算技術)だが、機械工学中心のコマツにとってこれは苦手分野。そこで米西海岸のスタートアップ企業、スカイキャッチ社と手を組み、足らざる技術を外から調達した。

 さらに全国各地のコマツびいきの中小土建会社も貴重な関係資本だ。「ブルドーザーの刃先を自動制御するICT(情報通信技術)建機を彼らに工事現場で使ってもらうことで、様々な課題が浮き彫りになり、システムとしての完成度が増す」とコマツの黒本和憲常務執行役員はいう。

 こうした例は枚挙にいとまがない。日立製作所の医療機器部門にとって、貴重なパートナーはお医者さんだ。「大学病院などとうまく連携すれば、その効果は計り知れない。社外の人と上手に協力できるかどうかで技術革新のスピードが変わる」と同社の川村隆相談役はいう。DeNAとの提携が話題になった任天堂も、これまでの「栄光ある孤立」路線を捨てて、DeNAの持つネットゲームのノウハウ吸収に踏み出したと株式市場で評価された。

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 他者の強みを素直に評価して、オープンマインドで信頼関係を醸成する。そんな開かれた姿勢が大切なのは個人も国家も、そして企業も同じである。



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