2015/04/13 本日の日本経済新聞より「グローバルオピニオン 新興国通貨にミスマッチ 米ハーバード大教授 ジェフリー・フランケル氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「新興国通貨にミスマッチ 米ハーバード大教授 ジェフリー・フランケル氏」です。

米国の金融緩和終了は世界経済を大きく揺るがす可能性があり、具体性について言及した記事です。為替が米ドル高になり、その側面作用として、各国市場で株価の下落などが生じる可能性があり、注視する必要があります。





 米連邦準備理事会(FRB)が年内にいよいよ政策金利引き上げに踏み切りそうだ。これに伴い、新興国経済への影響に関心が集まっている。心配なのは、FRBの金融引き締めへの転換を契機に発展途上国が金融危機に陥った1982年や94年の事態が再現されることだ。米国の低金利と安定した国際金融市場がもたらす新興国への潤沢な資金流入は、条件が逆転すればあっという間に途絶える。

 90年代後半に東アジアなどを襲った通貨危機で、新興諸国の政府は重要な教訓を学んだ。弾力的な通貨レート、外貨準備高の積み増し、景気循環増幅的(プロシクリカル)な金融政策の排除、経常収支の黒字化、外貨建て債務の圧縮という5種類の改革が、危機回避にとくに有効だということである。

 こうした改革に取り組んだ国では、08~09年のグローバル金融危機の影響はおおむね小さくて済んだ。だが優等生だった国々でも、残念ながらその後に政策は逆戻りしている。ブラジルなどは10~14年の景気回復期に財政健全化に取り組まなかったため困難な状況に陥っている。

 80~90年代の通貨危機が破壊的だったのは、ドルで借りていた国の通貨がたびたび下落したからだ。債務はドル建て、収入は自国通貨建てというミスマッチが起きた。ドル建て債務の返済に従来の2倍の自国通貨が必要となれば、本来健全だった国内銀行やメーカーも立ち行かなくなり、深刻な景気後退を招いた。

 このことを身をもって学んだ新興国の借り手は、03年に国際投資家が新興国投資を再開した際、外貨での借り入れを回避し、代わって直接投資や株式投資、または自国通貨での借り入れを選ぶようになった。これは08~09年のグローバル金融危機が過去のケースほどの痛手にならなかった理由の一つである。一部の例外を除けば、大方の国の傷は浅くて済んだ。

 しかしこの5年間、多くの新興国はまたしても外貨で借り始めている。政府はドル建て債務を避けるケースが多いものの、民間部門は超低金利に幻惑されたようだ。

 中でも最大の問題は、中国の民間部門である。彼らの最近の借り入れのほとんどは、痛い目に遭って学んだ過去の教えに反しており、外貨建て、短期、シャドーバンク(影の銀行)による仲介、不動産担保債務となっている。

 FRBはまだ利上げに踏み切ったわけではない。にもかかわらず米経済の力強い回復と今後の利上げ見通しを背景に、昨年を通してドルは他の大半の通貨に対して上昇した。FRBが緊縮に転じれば一段のドル高となろう。通貨のミスマッチを抱える国は大やけどをする可能性がある。

((C)Project Syndicate)

Jeffrey Alexander Frankel 専門は国際経済学。米マサチューセッツ工科大博士。1996~99年、米クリントン政権の大統領経済諮問委員会委員を務めた。62歳。

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