2015/04/14 本日の日本経済新聞より「経営書を読む カーネマン著「ファスト&スロー」(1) 「正しいこと」が通らないわけ バイアスは人間の本性」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の面にある「カーネマン著「ファスト&スロー」(1) 「正しいこと」が通らないわけ バイアスは人間の本性」です。

今回から先生が変わりました。慶応大学ビジネススクールの清水勝彦先生です。





 今回はカーネマン教授の(行動経済学のと言ってもいいでしょう)集大成の著作です。人間の非合理性に関する書籍は本欄でも取り上げてきました。私がこれにこだわるのは「正しいこと」は企業や個人の成功に「必要条件」ではあっても「必要十分条件」ではないと思うからです。

 「正しい戦略」を立案したのに上司らの協力が得られなかったり、「合理的な意見」を言ってもわかってもらえなかったりした経験は多くの人がしているはずです。そうした不思議を理解し、組織を成功に導く「十分条件」に対するヒントが本書にあると思うのです。

 教授は2002年にノーベル経済学賞を受賞。当時のアメリカ心理学会は「心理学が科学と認められた」といったプレスリリースをしています。彼が証明した意思決定にかかわるバイアス(先入観や偏見)は、「愚かな人間の問題」ではなく「普通の人間の性向」であることが公に認められたのです。

 タイトルの「ファスト」とは直感(システム1)を「スロー」とは時間をかけて熟慮する知的活動(システム2)を指します。合理的で「考える葦(あし)」のはずの人の意思決定の大半は実はシステム1に委ねられています。その方がエネルギーを使わず効率的なだけでなく、「おおむね正しい」のです。が「時には決定的に間違っている」のです。

 その間違いをシステム2がチェックできればいいのですが、人間の注意力は有限なので簡単になくなってしまうのです。カーネマン教授はそれをやゆして「システム2は怠け者だ」と言います。

 システム1でも専門家が長年の訓練と経験で得た「直感」は別です。ただし、専門的直感が意味を持つのは一定の規則性のある事象に限られ、株などの予測ではあまり役に立ちません。ウソだと思われる方は、毎年1月3日に日本経済新聞に掲載される予想を年末に確かめてみてください。

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