2015/04/16 本日の日本経済新聞より「大還元時代 (2)「頑固3兄弟」も動き出す」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「大還元時代 (2)「頑固3兄弟」も動き出す」です。





 「配当への考え方を教えてほしい」。空気圧機器大手のSMCに最近、投資家からこんな問い合わせが相次いでいる。

 SMCはこれまでキーエンス、ファナックと並んで、収益力は高いが、投資家との対話には後ろ向きで株主還元にも慎重な「頑固3兄弟」と冷やかされてきた。

 その一角のファナックは物言う株主として知られる米投資ファンド、サード・ポイントの自社株買い要求を一つのきっかけに姿勢を転換。稲葉善治社長が3月、「現在30%の連結配当性向の引き上げを検討する」と表明すると、ファナック株は一気に上昇した。

SMCに注目

 投資家はSMCを「第2のファナック」の候補として注目する。SMC株は10日に上場来高値をつけるなど足元でも好調だが、還元姿勢が変わるとさらに上昇する可能性がある。そのカギを握るのが2015年3月期で13%にとどまる連結配当性向の引き上げ余地だ。

 積み上がるキャッシュをどう使うかは優良企業に共通の悩みだ。SMCの15年3月期の純利益は3期連続で最高を更新したもよう。営業利益率が3割に達する高い収益性で積み上げてきた現預金は14年末で約4300億円に上り、自己資本比率は80%台を維持する。

 SMCも前期に減価償却額の約2倍の設備投資を実施するなど資金の活用を進める。それでも投資家の目には資金を持てあましていると映る。水面下で既存投資家と接触しその意向をうかがいながら、投資とのバランスも踏まえた還元のあるべき水準を探る構えだ。

 「頑固企業」のもう1社、キーエンスも変化を始めている。長く60円で張り付いてきた年間配当を15年3月期、200円と3倍強に引き上げた。

 ファクトリーオートメーション(FA)用のセンサーが伸び、15年3月期の連結純利益は20%増の1030億円を見込む。だが配当性向はなお11%台と低い。将来の投資に備え手元資金を厚めにしてきたが、多くの投資家は株主還元がまだ十分でないと考えている。16年3月期にさらに配当を増やすか注目される。

 市場からの資金調達が困難になった08年の米リーマン・ショックから約7年。上場会社の手元資金は100兆円に迫る。14年に企業は株主還元だけでなく、設備投資や海外M&A(合併・買収)に積極的に資金を振り向けたが、それでも手元資金は空前の規模だ。

 投資と還元のバランスをどうとるか、各社は試行錯誤を続けている。

投資とバランス

 二兎(にと)を追う姿勢が明確なのがキヤノンだ。資金を株主還元に振り向ける一方、「将来の成長へ3000億~4000億円のM&Aに投じることにちゅうちょしない」と、御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)は話す。

 2月にスウェーデンのネットワークカメラ大手、アクシス(ルンド市)を約3300億円で買収すると発表。一方、14年12月期の連結純利益2547億円に対し、配当と自社買いの合計額は約3150億円に上った。

 川崎重工業はROIC(投下資本利益率)を導入し、資金の使い方に基準を設けた。営業利益から税金を引いた数値を投下資本(株主資本+有利子負債)で割った指標で、部門ごとの投資効率性を判断、全体では19年3月期に12%をめざす。三菱重工業も自己資本利益率(ROE)を目標に設定。投資が十分な成果を上げられないと、配当を増やすなどして資本のスリム化を迫られる。

 一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授はこうした指標の役割について「効率よい投資先を見つけられなければ、お金を株主に返すという経営の規律付けになる」と話す。



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