2015/04/17 本日の日本経済新聞より「スクランブル 動いた「ROEの山」 平均10%、広がる銘柄格差 証券部次長 川崎健」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「動いた「ROEの山」 平均10%、広がる銘柄格差 証券部次長 川崎健」です。





 今の日本株市場をROE(自己資本利益率)から読み解くと、隠れていた事実が見えてくる。日経平均株価が2万円の大台を前にして膠着感を強めているのは、ROEから逆算した適正水準に近づいているのが大きな理由だろう。企業の資本効率の改善が引っ張る相場全体の水準訂正は一段落ということになるが、個別銘柄に目を移せば新しい景色が姿を見せる。

 「バリュエーション(投資尺度)からいいところまで来ているというのは多くの投資家の感覚。結果、注文は売りと買いがほぼ均衡しますね」。16日、前日終値を挟んだ小幅な値動きで推移する日経平均を横目で見ながら、大手証券の日本株トレーダーは話した。

 今の相場がおおむね適正な水準にあることは、ROEから見て取れる。

 ROEとPBR(株価純資産倍率)には相関関係がある。上のグラフは2013年以降の月末時点の東証1部の平均ROEとPBRをプロットしたものだ。ROEが8%以下の水準ではPBRは1倍前後で推移し、ROEが8%を超えるとPBRが右肩上がりで上昇していることがわかる。

 なぜ8%が分岐点かというと、株主が企業に求める期待リターン(株主資本コスト)が8%程度だからというのが定説。8%に達していなければ株価は解散価値でしか測られず、PBRは1倍前後の水準で推移する。8%を超えて初めて収益力で評価されるようになり、PBRが切り上がる。

 野村証券によると、現時点の東証1部の今年度の予想ROEは9.9%。これをグラフに当てはめると適正なPBRは1.5倍程度となり、その場合の日経平均は2万円程度。「今の日経平均の水準は資本効率の引き上げによって平均ROEが約10%まで改善することを織り込んだ」。野村の松浦寿雄氏は指摘する。

 下のグラフは東証1部企業のROEの水準別の分布を示したものだ。2年前には2.5~5%の企業が最多だったが、利益率の改善や株主還元の強化で全体的に位置が右側にシフト。日本企業の平均値が株主が求める最低水準である8%を超えた。

 だがこの「ROEの山」の右シフトを今の相場は織り込んでしまった。さらに株価が上昇するにはROEを一段と上げる新たな材料が必要だが、現時点で過度の期待は禁物だろう。「過去にもっと高い時期もあったが長続きしなかった。見極めが必要だ」。みさき投資の中神康議社長は言う。

 もっとも別の視点から山を眺めると、違う投資のヒントが浮かぶ。雪崩を起こしたように山頂が低くなる一方、山の右側の裾野の幅が厚くなっているのだ。

 「米欧市場ではROEの山の裾野はもっと広い。高ROEの銘柄は一段と買われ、低い銘柄が放置される銘柄選別が続くだろう」。UBS証券の大川智宏氏は指摘する。食品株や医薬品株の高騰に見られた割高な銘柄が一段と買われる相場展開は続くというのだ。

 これは良い銘柄が一段と買われ、悪い銘柄が売られると言い換えてもいい。山は動いた。日経平均の膠着の陰で、市場内部の構造変化は着実に進んでいる。

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