2015/04/17 本日の日本経済新聞より「大還元時代(3) 株主優待は「第3の道」」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「大還元時代(3) 株主優待は「第3の道」」です。





 「高価なハムをありがとうございます」。プリマハムには昨秋以来、こんな電話や手紙が舞い込む。業績の回復を機に昨年、株主優待制度を導入。2014年9月末で千株以上を持つ株主に3千円相当の自社製品を送った。松井鉄也社長は「株式を保有してくれる個人に製品の味を伝えられた」と満足そうだ。

個人株主増える

 プリマハムの自己資本比率は約30%。業績は堅調とはいえ、配当や自社株買いを大きく増やすほど財務は盤石ではない。

 配当を年2円に据えおき、自社株買いを見送る一方、株主に報いるために打ち出したのが株主優待だ。使った資金は数千万円程度と、配当総額(約5億円)を大きく下回るが、導入前に約1万人だった個人株主数が一時1万5千人に増えるなど一定の効果があった。

 稼いだ利益を原資にする配当や自社株買いとは違い、株主優待は営業損益の段階で費用に計上される。厳密には株主への利益還元ではない。それでも手元の資金を株主のために有効活用する点では同じ。「第3のリターン(還元)」と位置づける企業が増えている。

 大和インベスター・リレーションズによると、株主優待を導入している企業は3月末に1210社と過去最多となった。上場企業全体の33%を占める。業績の拡大で余力が増しているためだ。

 少額投資非課税制度(NISA)が14年から始まり、投資家の裾野が広がったことも、導入を後押しした。各社は多くの個人に株を長く持ってもらうため、株主優待に工夫を凝らしている。

 リコーは昨年、自社のラグビーチームの試合やカメラ教室に個人株主を招いた。コストをかけず、事業や社会活動への理解を深めてもらう狙いだ。最近ではQUOカードなど金券も目立つ。運営会社のクオカード(東京・中央)によると、近鉄エクスプレスや日本取引所グループなど200社近くが採用する。

 優待を含めた利回りに注目する個人は多い。2月に優待制度の導入を発表した三浦工業は、最低投資単位で得られる優待品(QUOカードの場合2千円)の金額に一株配当を加えた利回りが約2.6%と、配当利回りの2倍強に高まる。

 この「第3の還元」には課題もある。一つが機関投資家への対応だ。

 3月期末が過ぎると、日本マスタートラスト信託銀行の本社に次々と宅配便が届く。年金や投資信託など機関投資家から信託を受け、同社名義で持つ株式の優待品だ。14年度は前年度より100社多い1100社から優待品が届いたという。

 生鮮品を福祉団体に寄付するほかは、換金性のあるものは、業者を集めて入札を実施する。手にした資金は各投資家の持ち分に応じて配分するという。こうした日本独特の風習には海外投資家を中心に反発が強く、「公平に配当へ回してほしい」(外資系投信の運用担当者)との声は多い。

情報管理が課題

 もう一つの課題は株主の情報管理だ。

 「株主の個人情報が漏れたのでは」。サンリオやロート製薬は今月初め、事実確認に追われた。IR支援会社インベスター・ネットワークス(東京・港)のシステムを使い優待商品を株主に提供していたが、情報が外部に流出した恐れがあると分かった。サービスを利用するアルデプロは9日、優待の中止を決めた。

 優待は様々な商品やサービスを株主に届けるため、配当支払いなどに比べ管理する情報が多い。早くから優待制度を導入し個人株主が昨年末に20万人を突破したカゴメも、情報管理には特に気を配る。社内で情報にアクセスできる人を制限、監査も定期的に行う。

 株主調査サービスのアイ・アールジャパンホールディングスの寺下史郎社長は「個人情報の管理で信頼できる会社か見極めが必要」と話す。



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