2015/04/18 本日の日本経済新聞より「大還元時代(4)米アップルに株主の圧力」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「大還元時代(4)米アップルに株主の圧力」です。




 「アップルが株主還元をさらに増やすのではないか」。こんな思惑が米国で広がっている。アクティビスト(物言う株主)の大御所、カール・アイカーン氏が2月、アップルに再び自社株買いの拡大を迫ったからだ。

自社株買い迫る

 アイカーン氏は2013年にアップル株を大量に取得、ティム・クック最高経営責任者(CEO)に自社株買いを直談判した経緯がある。

 その後、アップルは自社株買いを300億ドル増やすと発表。追加分を含めて12~15年末に自社株買いと配当を合わせて計1300億ドル(約15兆5000億円)実施する計画だ。

 それでもアイカーン氏は満足していないようだ。最近になって「アップル株は216ドルの価値がある。株主還元策によるテコ入れが必要だ」と指摘、再び矛先を向け始めた。アップルの株価は現在120ドル台で、アイカーン氏の考える「価値」との差は大きい。

 米国の主要企業は14年に自社株買いと配当で9000億ドル(約107兆円)を株主に還元。ピークだったリーマン・ショック前の07年を上回った。日本の上場企業の14年度実績(13兆円)の8倍超に及ぶ規模だ。

 この背景にはアイカーン氏のようなアクティビストの存在がある。株主に押し切られ、自社株買いや配当の拡大を打ち出す米企業は多い。

 ゼネラル・モーターズ(GM)は今年3月、株主の要求に応じる形で、100億ドルの株主還元を決めた。アクティビストのハリー・ウィルソン氏は過去に経営破綻したGMの再建チームに加わったことがある。今回は投資ファンドの代表としてGMの経営陣と対峙し、「可能なかぎりキャッシュを還元する」との約束を勝ち取った。

 ゼネラル・エレクトリック(GE)も今月10日、金融資産などの売却とあわせて、500億ドルの自社株買いを決めた。この決定を株式市場は好感、翌日のGE株は一時11%上げた。

 もっとも株主還元の強化が市場の評価に直結するわけではない。その典型例がIBMだ。

 クラウドコンピューティングの波に乗り遅れ、新たな成長の柱を見いだせないIBMは昨年10月、「1株あたりの営業利益を20ドル以上にする」という中期の目標を取り下げた。それを受けて株価は急落。慌てたバージニア・ロメッティCEOは自社株買い枠を50億ドル拡大すると表明したが、市場の信頼は戻らず、株価は1年前に比べて2割前後安い水準にある。

 最近では株主還元を優先する姿勢に疑問を示す声も増えている。

 「経営者は企業の長期的な成長に力を注ぐべきだ」。世界最大の資産運用会社、ブラックロックのローレンス・フィンクCEOは3月末、米主要企業の経営者に宛てた書簡でこう述べた。

 フィンク氏はアクティビストなど物言う株主の圧力にあらがえないまま、経営資源を自社株買いや配当に振り向ける事例が目に余ると批判。「企業が成長を続けるには技術の革新や高度技術者の育成、設備投資が重要だ」と強調した。

M&Aの要求増

 アクティビストの姿勢にも変化の兆しが出ている。情報会社のアクティビスト・インサイトによると、14年にアクティビストらが一般公開した企業に対する要求内容では、自社株買いなどで資本効率の改善をもとめる割合は増えていない。

 「自社株買いは標的ではなくなり、その代わりにM&A(合併・買収)の要求が増えている」とアクティビスト対策を企業にアドバイスするコンサルタントは話す。

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏は今年の株主への手紙のなかで「株価が本質的な価値を下回っていると信じた場合のみ自社株買いを承認する」と述べ、株主に迎合的な還元に警鐘をならした。持続的な成長を導き、市場に長く評価される株主還元とは何か。企業の模索が続く。



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