2015/04/18 本日の日本経済新聞より「円相場、長期で考える 「購買力平価」では円高へ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「円相場、長期で考える 「購買力平価」では円高へ」です。

円とドルの相場を占う上で非常に重要な購買力平価に関する記事です。これによると、長期的にはやはり円高に振れるとのことです。




 今の円相場は適正な水準にあるのかないのか。判断基準の一つとして新聞記事や金融機関のリポートでよく紹介されるのが「購買力平価」。その通貨でどれだけのモノを買えるかという購買力をベースに、為替相場の高安を判定するための物差しだ。短期的な相場予測には向かないが、長期的に相場を考えるうえで有効になる。

 「為替は短中期では金利差や貿易収支の影響を強く受けるが、長期では購買力平価が最も重要」(元大蔵省財務官で現在は国際通貨研究所理事長の行天豊雄氏)。為替の変動要因を短中期と長期で区別するこの考え方は、多くの経済学の教科書でも共通だ。

 購買力平価は「絶対的購買力平価」と「相対的購買力平価」に分かれる。絶対的購買力平価は、同じ商品の価格をある時点で比べる考え方。英エコノミスト誌が算出する「ビッグマック指数」が代表例として知られる(図A)。

 同誌によると、1月時点でマクドナルドのビッグマックの価格は例えば米国で4.79ドル、日本で370円。両国間で同じ価格で買えるよう為替は均衡するはずだと考え、「370円=4.79ドル」となる水準を求めると1ドル=約77円。実際の円・ドル相場は118円前後だったので、絶対的購買力平価から見て円は3割ほど安すぎたことになる。

 ただし1つの商品で比べるのは現実に即さないため、市場参加者の間でよく参考にされるのが相対的購買力平価のほうだ。国全体の物価動向を2国間で比べ、通貨の相対的な価値を測る考え方だ。

 例えば米国では企業物価指数が1980年代前半と比べて2倍に上昇し、この間にドルの購買力は半分に落ちた。これに対して日本では物価が若干の下落で、円の購買力は逆に上がった。両国の物価動向を反映し、長期的にドルの価値は円に対して半分弱に落ちるはずだと考える。

 グラフBは相対的購買力平価と実際の円・ドル相場の動きだ。購買力平価が長期的に円高・ドル安方向に動いているのは、米国の物価上昇率が日本の物価上昇率より高い状態がずっと続き、ドルの円に対する価値が落ち続けたことを示している。

 実際の為替相場も、数年おきに波のようにうねりながらも、長期では購買力平価のトレンドに回帰することを繰り返してきた。「インフレが進む国の通貨は下がり、デフレ下にある国の通貨は上がる」(竹中正治龍谷大学教授)という購買力平価の原則を裏付けているといえる。

 黒田東彦日銀総裁が2%の物価上昇の目標にこだわるのも、購買力平価が1つの根拠とされる。他の主要先進国の物価上昇率はこれまで長期的には2%程度。日本の物価が目標に近づかないと、為替市場では円高圧力がかかりやすくなる。

 購買力平価は、起点とする年や用いる物価指数によって変わる。為替の高安を判断するうえでは「実際の為替相場が購買力平価からどれだけかけ離れて動いているかを見るのが有効」とJPモルガン・チェース銀行の佐々木融・債券為替調査部長はいう。

 2月末の購買力平価(企業物価指数ベース)は1ドル=約100円。現在の円相場はこれより約2割円安方向にかい離している。円安方向へのかい離の度合いとしては、過去最大だった80年代前半(最大27%)に近づいている。

 日米金利差の拡大見通しなどから短中期的に円安が続く可能性があるが、購買力平価で考える限り、長期ではいずれ円高方向への回帰が起きるのが経験則だ。

(編集委員 田村正之)




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